Project/Area Number |
21K04183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高野 恭弥 東京理科大学, 創域理工学部電気電子情報工学科, 准教授 (10822801)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | SiGe BiCMOS / 共振器 / 位相検出器 / 集積回路 / センサ / テラヘルツ波 / 位相雑音除去 / エバネッセント波 |
Outline of Research at the Start |
テラヘルツ波帯には生体関連物質固有の吸収スペクトルが存在し、ウイルスの検出にも利用できる可能性がある。これまでのテラヘルツセンサは装置が大型で、リアルタイムに生体情報を計測することは困難であった。本研究では集積回路を用いて回折限界を超えて微小な物質の特性を検出できる可能性があるテラヘルツエバネッセント波を用いたセンサを実現し、リアルタイムに生体関連物質の計測、判定が可能であることを示す。原理検証のために、生体関連物質であるシスチンの吸収スペクトルのピークが存在する712.2 GHzをターゲット周波数とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、テラヘルツエバネッセント波を発生し、その電力強度と位相の両方を検出可能とした集積回路を実現し、生体関連物質のリアルタイム計測の可能性を示すことを目的とする。原理検証のために、生体関連物質であるシスチンの吸収スペクトルのピークが存在する712.2 GHzをターゲット周波数とする。 集積回路では生成できるテラヘルツ信号強度が小さく、減衰も大きいため、検出感度の向上が課題となる。そのため、集積回路を用いて生成した位相雑音の大きいテラヘルツ波を用いても、位相雑音の影響を受けることなく位相変化量を推定する位相雑音除去機構を提案し、有効性を確認した。しかし、特に測定試料による振幅減衰が大きいとき、出力信号はミキサ等の熱雑音の影響を強く受ける。そこで熱雑音の影響を除去し、位相変化量を測定する熱雑音除去機構を提案し、その有効性を確認した。本研究が提案するテラヘルツ物性センサは、信号源と共振器、位相検出器、移相器、により構成される。信号源により生成されたテラヘルツ信号を共振器に入力すると、共振器と接触する測定試料の誘電率の値により、共振器の実効誘電率が変化する。これは共振器の共振周波数が変化することを意味し、測定試料により透過波の振幅強度及び位相も同様に変化することを意味する。また、透過波の振幅強度変化量および位相変化量により、複素誘電率の導出を行うことができる。そして導出した複素誘電率より測定試料の特定が可能となる。以上がテラヘルツ物性センサの基本原理となる。本研究で提案する熱雑音除去機構は、位相検出器の出力をアナログ・ディジタル変換器に入力し、ディジタル信号に変換後に信号処理を行うことによって実現する。 また、提案するセンサに必要な、広帯域・高精度で位相変化が可能な移相器として、D帯ベクトル和移相器の設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で提案する熱雑音除去機構の信号処理方法は以下の通りである。まず測定後の出力信号をディジタル信号に変換する。2つ目に高速フーリエ変換を行う。3つ目に、平滑化処理を行う出力信号の低周波数領域を選択する。4つ目に、単純移動平均を行う。5つ目に、ガウス加重平均を行う。6つ目に高速フーリエ変換を行う。7つ目に、窓枠内の中央値から要素ごとの中央絶対偏差を求め、要素の値が中央絶対偏差の3倍以上の場合を外れ値とする。外れ値は区分的 3次スプラインにより値を内挿する。8つ目に、再度ガウス加重平均を行う。最後に、平滑化処理により得られた出力電圧にピーク検出を行い、推定位相変化量を導出する。提案手法の有効性を確認するためにMATLAB/Simulinkを用いてシミュレーションを行った。平滑化処理前と後の信号の不偏分散を計算し、分散比を求めた結果、減衰量が増加するほど単調増加するため、減衰量が大きいほど平滑化処理の有効性を確認することができた。 また、0.13 μm SiGe BiCMOSプロセスを用いてD帯ベクトル和移相器の設計を行った。ブランチラインハイブリッドとラットレースバランを用いて90°位相差生成器を構成し、中心周波数125GHzにおいては、誤差1°未満の正確な位相シフトを行うことが出来た。また、110GHz~145GHzにおいて、最大誤差7.5°未満であった。以上より、125 GHzで広帯域かつ高精度なベクトル和移相器を設計することができた。 2023年度の成果としては、本研究について国内会議で招待講演を1件、熱雑音除去機構について国内会議で1件発表しており、また、移相器については翌年度に国内会議で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は2022年度に試作した712.2 GHz位相検出器の評価を行う予定であったが、半導体チップの納品が遅れて3月になってしまったため、研究機関を1年延長し、今年度は納品された半導体チップの性能評価を行う予定である。また、提案手法によってシスチンが特定可能であることを示し、そのためのプログラムを作成する。試作した回路の評価はベアチップにプロービングすることにより行う。実験は国立研究開発法人情報通信研究機構の設備を利用することにより実施する。
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