遡上津波波圧による沿岸域構造物群の破壊過程に関する研究
Project/Area Number |
21K04278
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22040:Hydroengineering-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長山 昭夫 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (40621438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智行 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20452609)
柳川 竜一 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 准教授 (70649095)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 津波波力 / 遡上津波 / 模型実験 / 遡上津波波圧 / 共通化接続インターフェイス / OpenFOAM / OpenModelica / Co-simulation / 津波波圧 / FMI / 破壊 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、被災想定に限界を迎えつつある従来の手法から脱却し、遡上津波波圧による沿岸域構造物群の破壊過程を解明しようとするものである。 目的達成のために十分な分解能と計算領域をカバーしながら計算負荷を抑えるために、共通化接続インターフェイス(FMI)に着眼し、1)NS方程式の乱流成分を平均化したレイノルズ平均方程式の解法に有限体積法(FVM)、自由表面解析にVOF法を用いた流体解析ライブラリOpenFOAMと、2)マルチフィジックス法とパリス則に基づいた亀裂進展の解法に有限要素(FEM)を用いたCode_Asterによる連成計算を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
東北地方太平洋沖地震で発生した地震津波(発生頻度1/1、000年の巨大津波:L1津波)は東北から関東の沿岸域で遡上し、市街地の構造物群を破壊した。その後に実施された構造物の被災調査では、従来の浸水深を基礎とした被災想定と現実の被災状況は大きく異なることが指摘された。またこの被災を受け、陸上構造物に作用する津波荷重の評価方法について新たな指針が策定され、数多くの知見が得られている.しかしながら遡上波から戻り流れまでを対象としたビルの窓列や内空洞を考慮した構造物モデルに対しての津波力の検討は多くない.以上の背景を受け申請者は、大型波動水槽を利用しビル構造物を対象にその開口部を変化させた場合の津波波力について模型実験を行った.さらに得られた実験値が従来の推算式で再現可能かについて検討を行った.大型水槽を利用した津波の遡上波と戻り流れ作用時における構造物周辺でのFr数について検討した結果、今回の条件下では遡上波時に流れは射流となり、構造物形状に関係なくほぼ一定のFr数となることがわかった.一方、戻り流れ作用時には射流まはた常流となり構造物形状がFr数に影響を与える.戻り流れが集中する領域に構造物模型を設置した場合、戻り流れ時の壁面波力は遡上波による壁面波力と同程度の力が作用することがわかり、戻り流れ時における壁面波力の検討が必要性である.また、構造物模型への作用浮力については、遡上波時に最大値となり構造物形状により差異が生じた.特に間口を有し内部空洞が多い場合、作用浮力は減少傾向となり内部空洞が無い構造物と比べ25%程度減少したことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、[B] 構造物への作用力の評価:(1)単体構造物への作用波圧の検討と(2) 間口を有する構造物への作用波圧の検討について大型水槽を利用した模型実験を実施した。その結果、従来の壁面波力に関する算定式による遡上波時から戻り流れ時までの壁面波力の実験値の再現性について検討した結果、遡上波時では相関が高く、戻り流れ時では相関が低くなった.誤差の一因として構造物背面の渦の形成による流速変動が再現できていないことが考えられる.排水体積から作用浮力を算出する従来の推算式による実験値の再現性について検討した結果、遡上波時に相関が低く、戻り流れ時に相関が高くなる結果となった.この原因は、構造物内部の浸水体積を考慮していないために推算値が過大評価しているためであることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究の総まとめと位置づけ、以下の計画を遂行する。[C] 構造物群の耐久力の評価:(1)構造物群の破壊の検討:先行研究である円柱構造物群への遡上津波波圧測定結果より、規則配置されたRC構造物の倒壊現象について検討を行う。特にRC構造物の被災はa)壁面破壊、b)1階層崩壊、c)洗堀傾斜、d)転倒移動、e)流失に分類されるが、今回はa)壁面破壊とb)1階層崩壊に着目し模型実験と数値実験を行う。(2)構造物群の残存率の検討:沿岸市街地を想定した構造物群を対象に、L1津波が遡上した場合の倒壊を含む残存率の推定を行う。構造物の残存率に有意な差が生じるような構造物群の配置や設置間隔について定量的に検討を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)