A study on restoration of historic building under the law for the preservation of national treasures
Project/Area Number |
21K04455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
三浦 要一 高知県立大学, 文化学部, 教授 (70305803)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 国宝保存法 / 建造物修理 / 当初復原 |
Outline of Research at the Start |
昭和4年の国宝保存法は、建造物を保護していくために必要な現行の規制にあたる現状変更が成立した。ところが、竣工後は当初形式に必ずしも復原されたわけでなく、部材の取り替えで痕跡が失われ、修理にともなう新しい知見が報告書として発行されていない。 応募者は土佐国分寺金堂の当初形式に関する所見を発見し、讃岐国分寺本堂は現状変更の詳細を明らかにし、当初形式に復原されなかった論文を発表した。本研究は国宝保存法時代における修理に関する建築史資料を集成することで、現状変更が確立していった過程とどのように運用されていたかを検証し、修理後の寺院建築の当初形式を復原する基礎的研究に位置づける。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年の令和3年度は、国宝保存法時代に復原が現状変更として取り扱われ、国宝保存会の諮問で211件が許可されていたことに着目した。先行研究を手掛かりに、国宝保存法時代における寺院建築の修理を抽出し、現状変更のデータベースを作成した。 2年目の令和4年度は、国宝保存法施行細則にもとづく「精算書等」の資料調査とその資料的性格を検討した。これまで建築史研究において比較的関心が低かった精算書等は、修理の方針などが記載され、資料的価値が高いことが認められる。その内容は現在の修理報告書の水準に必ずしも達していないが、資料の所在調査を実施して収集を図った。 3年目の令和5年度は、これまでの2年間における資料調査の成果を踏まえ、国宝保存法時代に修理された寺院建築のうち報告書が刊行されていない場合、遺構調査を併用しながら、当初形式を復原することができる指標の選定を検討した。古社寺保存法時代の修理は、小屋組などの構造的な部分に調査が充分におこなわれず、近世の軒の規矩を熟知した明治の大工が技術者となり、中世の軒の規矩を理解しないまま修理されていたことが確認できるからである。 事例には元亀2(1571)年頃建立の土佐神社本殿を取り上げ、令和修理において屋根葺替工事が実施されており、現地における調査の機会を得た。昭和3年に半解体修理が竣工していたが、昭和28年に竣工した屋根葺替工事において小屋材が取り替えられ、昭和3年以前の小屋材が現存していないことが判明した。国宝保存法時代の修理は、現状変更等によって当初形式がどこまで解明され、どこまで忠実に復原がおこなわれていたかを検証するには、あらためて当初部材の残存状況を踏まえることが必要となり、補助事業期間を1年延長することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国宝保存法時代の修理について、現状変更等によって当初形式がどこまで解明され、どこまで忠実に復原がおこなわれていたかを検証するには、当初形式を復原するための指標の選定を再検討することが必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
国宝保存法時代は、建造物を保護するための規制である現状変更により、形式だけではなく、構造も当初のものが尊重されるようになった。国宝保存法時代の寺院建築の修理における現状変更と当初形式の復原にむけて、以下の3期に時期区分する。 ①前史:明治30年(1897)から昭和4年(1929)までの古社寺保存法時代は、設計変更が現状変更の前身にあたる。平成28~30年度の科研費では、古社寺保存法の設計変更の特徴点をまとめている。国宝保存法時代の現状変更と比較考察することで、設計変更の特有性を明らかにする。 ②形成期:昭和15年に「国宝建造物維持修理要項」が定められ、修理の範囲や種別、現状変更の内容が成文化された。昭和4年から昭和15年までは土佐国分寺金堂を事例に、必ずしも当初形式に復原されない修理が竣工していた。学術的価値が高く、現状のまま修理された事例に焦点をあて、現状変更は試行を重ねながらも徐々に精度をあげていたことを明らかにする。 ③確立期:昭和15年から昭和25年の文化財保護法以前は、昭和18年の讃岐国分寺本堂を事例に、痕跡調査を実施して現状変更が許可され、後世の附加物を撤去する復原が行われていた。現行の現状変更に受け継がれる方針の礎が示されていたことを明らかにする。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)