Project/Area Number |
21K04524
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 24020:Marine engineering-related
|
Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
田村 賢 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (20367832)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
|
Keywords | 脂肪酸 / 電場印加 / 熱伝達率向上 / 熱伝達向上 / 耐摩耗性 / 耐食性 |
Outline of Research at the Start |
脂肪酸を含有する油剤に浸した金属部材に電場を付与することにより,界面熱伝達係数が大きく向上する現象が,研究代表者が行なってきた研究(科研費採択課題:18K04596)において見出された。これまでの研究代表者らによって,現象の評価が行われて来たものの,この現象が発現するメカニズムについてはまだ解明できていない。本研究では,脂肪酸添加油中にて電場を付与することで熱伝達特性が向上するという現象のメカニズム解明を目的とする。これにより,本現象の広範な産業展開が期待できる。金属表面における脂肪酸分子の吸着・脱離,配向の挙動を調べて評価し,現象の物理・化学的なモデルを考えた上でのメカニズム解明を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
それぞれ異なる温度に保った2つのステンレス蓄熱体で油(脂肪酸)を挟み込み,ステンレス蓄熱体に電場を印加したときの非定常伝熱の測定と数値シミュレーションの併用により油層の熱伝達を評価する実験・解析系を開発し,本課題の研究を推進している。本研究の目的である「電場印加による熱伝達向上メカニズムの解明」について,金属表面(伝熱面)の性状の違いが電場印加時の伝熱特性に特異な変化を与えることに着目して実験を進めてきた。高温側金属蓄熱体の極性と蓄熱体表面の状態によって伝熱挙動が変化することに着目して,蓄熱体表面での脂肪酸分子の吸着状態を変えて伝熱実験を行った。 蓄熱体表面の化合物膜の有無が電場下における脂肪酸層の熱伝達率向上挙動に多大な影響を与えていることが明らかになった。印加電圧の極性の違いによる伝熱挙動の変化などを詳細に測定した結果,伝熱面に強固な化合物膜が形成されていない条件では,高温側を正極,低温側を負極とした場合に逆の極の組み合わせの時よりも界面熱伝達率が大きくなることが確認された。また,電極間(蓄熱体間)の油層での脂肪酸の流れが活発化する様子が観察でき,これを記録した。これらの成果をまとめ,「Heat transfer enhancement in fatty acid layer at the interface of two metallic bodies by applying DC electric field」と題して学術雑誌Journal of Electrostaticsに投稿し公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期温度が異なる2つの金属蓄熱体で脂肪酸層を挟み込み,ステンレス蓄熱体に電場を印加したときの非定常伝熱の測定と数値シミュレーションの併用により脂肪酸層の熱伝達を評価する実験・解析系を開発し,本課題の研究を実施している。本研究の目的である「電場印加による熱伝達向上メカニズムの解明」について,金属表面(伝熱面)の性状の違いが電場印加時の伝熱特性に特異な変化を与えることに着目して実験を進めている。本年度は,高温側金属蓄熱体の極性と蓄熱体表面の分子の吸着状態によって伝熱挙動が変化することに着目して,蓄熱体表面での脂肪酸分子の吸着状態を変えて伝熱実験を行った。また,電極間(蓄熱体間)の油層での脂肪酸の流れが活発化する様子が観察でき,これを記録した。これらの成果をまとめ,「Heat transfer enhancement in fatty acid layer at the interface of two metallic bodies by applying DC electric field」と題して学術雑誌Journal of Electrostaticsに投稿し,掲載されるに至った。 伝熱面の表面分析をレーザ元素分析にて行うために機材のレンタルを検討し,業者と交渉をしていたが,昨今の導体不足による分析機材の生産遅れのためにレンタル機材の都合が付かず,レンタルするに至らなかった。本研究で明らかとなった現象(電場印加による熱伝達の促進)を多角的に確認し,さらに深く理解するために,これまでの油層を挟んだ伝熱,すなわち液相での電場印加による伝熱特性の向上についてのみならず,高温燃焼ガス(気相)から金属への熱伝達の電場による制御(促進・抑制)についても実験を実施し,有益な知見が得られつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である「電場印加による熱伝達向上メカニズムの解明」について,金属表面(伝熱面)の性状の違いが電場印加時の伝熱特性に特異な変化を与えることに着目して実験を進めている。本年度は,高温側金属蓄熱体の極性と蓄熱体表面の状態によって伝熱挙動が変化することに着目して,蓄熱体表面での脂肪酸分子の吸着状態を変えて伝熱実験を行った。また,電極間(蓄熱体間)の油層での脂肪酸の流れが活発化する様子を観察した。これらの成果をまとめ,「Heat transfer enhancement in fatty acid layer at the interface of two metallic bodies by applying DC electric field」と題して学術雑誌Journal of Electrostaticsに投稿し,公表したところである。 本年度は伝熱面の表面分析をレーザ元素分析器にて行うために機材のレンタルを検討し,業者と交渉をしていたが,昨今の導体不足による分析機材の生産遅れのためにレンタル機材の都合が付かず,使用するに至らなかった。来年度は,試料を外部の分析業者に預けて分析を依頼する予定である。費用や時間を考慮すると考察を行いながら数多くの分析を進めることが不可能であるので,条件を厳選して最低限の試料数で分析依頼を行うこととする。本研究で確認された「電場印加による伝熱促進現象」をもとにして,高温燃焼ガス(気相)から金属への熱伝達の制御(促進・抑制)についても検討する予定である。
|