Project/Area Number |
21K04561
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25020:Safety engineering-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 康明 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (80314730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 放射線計測 / 天然放射性核種 / ラドン壊変核種 / ラドン壊変物 / 環境モニタリング |
Outline of Research at the Start |
放射線施設の安全管理を適切に行うために,自然放射性核種の影響を排除し,測定下限値を改善した低バックグラウンドな放射線モニタリングの実現を目指す. 時間情報付きリストデータ収集装置を用いることで,放射線を検出するたびにエネルギーおよび検出時刻を箇条書き的に記録する(リストデータ).自然環境中に存在するラドン壊変核種のうち,214Poが短い半減期164マイクロ秒で壊変することに着目し,リストデータからラドン壊変核種による事象を選び出す.それを測定データ全体から除去することで,低バックグラウンドを実現する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,放射線施設の安全管理を適切に行うために,自然放射性核種の影響を排除することで測定の下限値を下げ,低バックグラウンドな放射線モニタリングシステムの実現を目指すものである.時間情報付きリストデータ収集装置を用いることで,放射線検出をするごとに,放射線のエネルギーとその検出時間をいわば箇条書きのように記録する(以下では,「リストデータ」と呼ぶ).自然環境中に存在するラドン壊変核種のうち,ポロニウム214がごく短い半減期(164マイクロ秒)で崩壊することを利用し,リストデータをオフラインで解析することで,ラドン壊変核種の事象を選ぶ.それを全体から除去することで,低バックグラウンドを実現する. 今年度は,大容量エアサンプラーで空気中で収集した塵に含まれるラドン壊変核種ならびに標準線源から放出される放射線をPIPS測定器(シリコン検出器)で試験的に測定し,前段で述べたことを実現するためのオフラインデータ解析プログラムの開発を中心に研究を行った.ポロニウム214の半減期を考慮し,おおよそ数百マイクロ秒以内に放出され,かつ,エネルギーがポロニウム214に相当するアルファ線検出イベントを選び,それをバックグラウンド事象と見なすという考え方でプログラムを作成した.ただし,全体の計数率によって,バックグラウンドと見なすのに最適な時間差が異なる.この部分に関する検討が完了しておらず,来年度も引き続き最適化を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シリコンPIPS測定器を中心とする放射線測定システムを構築し,その装置から得られるリストデータをオフラインで解析する基本的なソフトウェアの作成は完了した.具体的には,エネルギースペクトル計測に加え,エネルギーおよび測定イベントの検出時間に関する情報を引きだした上で,理想的な測定条件下での”みかけの半減期”等を決定することが可能になっている.このことにより,測定システム自体は期待される性能を持っていることが確認できている. しかしながら,全てのリストデータの中からラドン壊変核種に関係する測定イベントを選びだし,それを全体から除去するための効率的なプログラムの完成には至っていない.このため,進捗状況は「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
プログラム開発に用いるテスト用データの測定に使っている標準線源の放射能強度や核種を変更し,よりシンプルな条件下での解析プログラムをまずは早急に作成させたい.その後,現実的な条件に近い状況(天然放射性核種以外を含む複数種類の放射性核種が混在している放射線場)に対応できるように,解析プログラムに修正を加えるという方針で研究を進める. さらに,新たにNaI(Tl)シンチレーション検出器(測定対象はγ線およびX線)を購入して,これまでに整備した測定システム(測定対象の放射線はα線およびβ線)を高性能化する.このことにより,現実の放射線モニタリングに近い条件での測定を可能にする. 以上のような計画で研究を行うことで,当初目的の低バックグラウンドでの放射線監視システムの基礎技術を確立することを目指す.
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