超小型衛星を用いた防災・減災に資する新方式の海底地殻変動データ送信の実証実験
Project/Area Number |
21K04587
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25030:Disaster prevention engineering-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田所 敬一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70324390)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 海底地殻変動観測 / プレート境界地震 / 南海トラフ / 防災・減災 / キューブサット / 衛星通信 / 海底地殻変動 / LoRa / 音響測距 / GNSS測位 / リアルタイム・連続観測 / 海溝型地震 |
Outline of Research at the Start |
船舶を用いて行っているGNSS測位と海中音響測距を組み合わせた海底地殻変動観測をこの観測技術を防災・減災にさらに役立てるために、リアルタイム・連続観測技術の確立とデータ通信の低コスト化が急務である。そこで、研究用の超小型衛星(キューブサット)を用いて、海底地殻変動観測に必要なデータを陸上に送信する技術の実証実験を行う。実証実験は、通信にかかるソフト部等を完成するための陸上実験、実用を念頭に置き、実際の電力・通信インフラが未整備な場所において動作確認を行う離島実験、海底地殻変動の観測に始まり、揺動している海上プラットフォームからのデータ送信までの一連の実証を行う洋上実験の3段階で行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.データ送信プログラム更新とデータ受信プログラム作成 音響測距結果を人工衛星経由で送信するために,マイクロコンピュータESP32に組み込む送信プログラムを作成した.また,サーバでは指定したポートにデータが送られてくると,これをファイルに保存するプログラムを作成した.送信にはUDP通信を採用することとした.これらのプログラムの動作試験として,まずは,ASCII形式のデータをソケット通信によって送信する試験を2023年3月14日〜22日に研究室内において実施した.試験には模擬船上局を用い,予め保存しておいた音響測距生波形をノートPCから1分毎に処理用PCに送信し,処理用PC内で相関処理を行った後にWi-Fi経由で研究室内のサーバへ送信した. その結果,送受信およびファイルへの保存までの一連の手順が問題なく行えることを確認した. 2.リアルタイム高精度GNSS測位実験 海域においてリアルタイム海底地殻変動観測を行う際に必須となるリアルタイム高精度GNSS測位試験を行った.補強情報はTrimble社のサービスであるCenterPoint RTXを用いた.陸上での静止体の試験を2022年6月16日〜7月7日に名古屋大学屋上で,沖合での静止体の試験を 2022年7月22日に銭洲岩礁で,海上での移動体の試験を2022年8月16日〜8月24日に那覇〜宮古海峡沖〜新宮〜紀伊半島沖を航行する船舶にて行った.サンプリング間隔は1秒,測位に用いた衛星はGPSとGLONASSである.その結果,静止体では測位結果が安定している期間はmmオーダーでの測位が可能であり,移動体では測位精度は平均で2-3cm程度,95%点では水平7cm,上下±10cm程度であることが確認され,海底地殻変動観測にも有効であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の課題となった高精度なGNSS測位の試験は,陸上静止体,沖合静止体,海上移動体の試験を予定通り行い,海底地殻変動観測にも有効であることが確認された.また,人工衛星経由で音響測距データを送受信および保存するプログラム群の作成と試験は予定通り進んでいる.本来ならば,使用するキューブサット(超小型人工衛星)が2022年10月12日にJAXAのイプシロンロケットにより打ち上げられる予定であり,これを用いた通信試験を行うことにしていたが,ロケット側の不具合によって打ち上げが失敗した.これは当方の研究進捗状況が原因ではない.よって,総合的におおむね順調に進展している判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定のキューブサットの打ち上げは失敗に終わったが,再度の打ち上げに向けて衛星の製作に着手されており,次回の打ち上げ成功を受けて本研究課題で開発しているシステムの運用を行うため,開発研究を続行する.昨年度に作成したデータサイズを縮減するプログラムをESP32に組み込むとともに,1分間隔で送られてくる音響測距結果を1日分(1440回分)まとめてバイナリ形式で送受信するプログラムの作成を行う.このプログラムが本課題で開発するシステムの最終形である.このプログラムを用いた人工衛星経由でのデータ送受信試験として,安価で利用できるStarLinkを活用する.まずは名古屋大学屋上で試験を行い,プログラムの改善点の洗い出しと修正を行う.次に,伊勢湾等の海上から音響測距結果を送信し,陸上のサーバで受信する試験を行い,システムの完成とする.リアルタイム高精度GNSS測位としては,「みちびき」を用いたサービスの利用も検討する.
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)