格子内酸素により揮発性有機化合物の低温燃焼を可能にする新規な貴金属フリー触媒
Project/Area Number |
21K04642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
布谷 直義 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40715314)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 環境触媒 / 貴金属フリー / 揮発性有機化合物 / 酸化触媒 |
Outline of Research at the Start |
揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds; VOCs)は、有機溶剤として広く使用されているが、人体や環境に有害な化合物でもある。大気中のVOCsを高効率で酸化分解できる触媒としては貴金属系触媒があるが、希少な貴金属をできる限り使用しないことが重要となっている。本研究では、低温でもVOCsを完全燃焼できる貴金属フリー触媒を実現するため、触媒の格子内酸素をVOCs酸化反応に活用する。即ち、格子内酸素が触媒活性に与える影響を明確にし、得られた知見をもとに高活性な新規貴金属フリーVOCs燃焼触媒の創成を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
揮発性有機化合物(Volatile organic compounds; VOCs)は、ワックスやインク等の有機溶剤として広く使用されているが、人体や環境に有害な化合物でもある。本研究では、このようなVOCsをできる限り低温で燃焼できる貴金属フリー触媒の開発を目指している。本目的を達成するためには、大気中の酸素だけでは不十分と考えられることから、触媒の格子内酸素をVOCs酸化反応に関与させることが重要と考えられる。 前年度の研究において、格子内に酸化物イオンの伝導経路を有するアパタイト型La10Si6O27が、格子内からの酸素供給によりトルエン燃焼活性を促進できることを明らかにしている。そこで2022年度は、このLa10Si6O27に着目した。このLa10Si6O27に、低価数でありかつ価数変化しやすいCo2+/3+を導入したLa10Si5CoO27-dを合成したところ、高い酸素貯蔵放出特性が得られ、この材料自体を、触媒として用いたところ、トルエンを310℃で完全燃焼できることを明らかにした。 さらに、新しい助触媒として、ジルコニウム-スズ複合酸化物(ZrSnO4)に着目し、そこに低価数のSr2+を導入することにより酸化物イオン欠陥を形成させたところ、酸素貯蔵放出特性が向上することも明らかにした。これをPtとともにメソポーラスシリカに担持した結果、常圧80℃という温和な条件にもかかわらず、液相中のフェノールを99.7%除去できることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アパタイト型La10Si5CoO27-dは、従来から知られている主触媒であるペロブスカイト型酸化物などを担持せずとも、単独でトルエンを310℃で完全燃焼できることを明らかにした。このことはアパタイト型La10Si5CoO27-dが高活性な主触媒であることを意味している。さらに、新しい助触媒として、ジルコニウム-スズ複合酸化物ZrSnO4に着目し、低価数のSr2+を導入することにより酸素貯蔵放出特性が発現することも見出している。この触媒は液相中でのフェノール酸化分解に対して機能することを明らかにした。一方、2021年度に生じていた遅延の影響により、今年度も程度は小さいもののフィードバックに遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
アパタイト型La10S5CoO27-dが主触媒であることを見出したことから、合成法の工夫等による比表面積の増大を行う他、高温焼成により耐熱性を調べる。また、ZrSnO4系材料が助触媒として機能することを明らかにしたことから、ZrSnO4にSr2+以外の他の金属イオン(Ni2+/3+やFe2+/3+等)を添加し、酸素貯蔵放出特性を調べる。そこに、主触媒として分散担持させやすいLaCoO3やCo3O4を含浸担持した触媒を創成する。得られた触媒については、粉末X線回折測定、比表面積測定、X線光電子分光測定等の基礎物性評価に加え、酸素貯蔵放出特性および触媒活性を調べる。これらの測定から明らかになった知見は、随時触媒設計にフィードバックを行う。なお、2021年度のフィードバック遅延により2022年度も遅延が生じている。ただし、遅延程度は前年度と比較すると小さいため、合成条件等の精査により挽回する。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)