Project/Area Number |
21K04668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26030:Composite materials and interfaces-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
國本 雅宏 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (60619237)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | Si電析プロセス / 理論化学計算 / 表面増強ラマン / 異種元素ドーピング / 表面増強ラマン散乱 |
Outline of Research at the Start |
太陽光発電デバイスに用いるソーラーグレードSi薄膜の大規模安定供給に際しSiの電解析出プロセスが大きな役割を果たすと期待される。本研究は、表面増強ラマン散乱分光法や理論計算解析などを利用したSi電解還元反応機構の分子レベル基礎解析を進めると共に、それらの解析結果に基づくプロセス設計を進める事によって、p-n接合構造を有する太陽光発電媒体を形成可能な新規電解析出プロセスの開発に取り組むものである。特にp-n接合形成に際して重要となるドーパント共析機構の解明に向けた基礎反応解析とそのプロセス応用を重点的に推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
新規な太陽光発電デバイス用シリコン(Si)媒体形成プロセスの提案を目指し、非水溶媒を用いたSi電析プロセスの開発に取り組んでいる。23年度はそれまでに得られた示唆を受け、電析Siの高純度化と、課題視されていたp型Si形成のためのアルミニウム(Al)ドーピングプロセス開発のための反応解析及び電析条件最適化を推進した。またそれに際して必須となった、電析Si薄膜用導電性計測システムの確立とその適用にもあわせて取り組んだ。 電析Siの高純度化とp型Si形成のための電析条件最適化では、22年度末に懸案となっていた、電位-Si純度の相関、また電位-Alドープ量の相関から検討した。その結果、この電析系における高過電圧条件と低過電圧条件それぞれの特徴を明らかにすることができた。高過電圧条件では、まず析出物が疎になることが改めて確認された。これはこれまでの検討でも指摘されてきたものであるが、第二に高過電圧下では、それが電位窓の範囲であったとしてもイオン液体等非水溶媒の分解が生じやすくなることが新たに示唆された。一方、低過電圧条件ではそうした溶媒の分解は生じにくいことを確認すると共に、その低過電圧領域においてSi電析が生じる下限の電位を新たに特定することに成功、またその電位での電析によって電析Siの純度が向上することを確認した。またAlの反応機構と対応させた最適低過電圧条件を探索することで、電析Si膜中におけるAlのドーパント濃度も向上させることに成功した。その後新たに導電率計測システムを立ち上げ、電析Si膜の特性解析に適用したところ、条件最適化によって導電率の向上も見込めることが示唆された。一方、有効なp-n接合の形成にあたっては現状をさらに上回るSi純度と導電率が必要となるため、今後電解液組成などの抜本的な調整も含めこれまでの基礎解析で得られた知見を総合した新規プロセス提案を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度もおおむね順調に進展したと考えている。22年度末の時点で策定していた以下の計画の実施とそれによる成果創出を達成したためである。 まず22年度末の時点では、(1)p型Si形成のためのAlドーピングプロセスの提案、(2)形成されたSi薄膜媒体の電気特性評価、を課題としていた。特に前者のp型Siに関しては、n型のものと比較して形成が困難であることが示唆されていたため、Al前駆体の反応機構解析も含めた基礎検討を基に条件の精密最適化を企図した。また後者に関しても、単に電気特性の評価を通じてp-n接合の形成をねらうのみならず、依然として課題視されていたSi純度の向上に対しても有効な対策を講じる必要があった。これらに対し、電気化学測定をはじめとする様々な角度から基礎解析を進めたところ、これまで特定されてこなかった高過電圧条件の短所が明らかになってきた。具体的には、イオン液体など非水溶媒の電位窓の範囲であったとしても、高過電圧条件では析出Siの作用などによって溶媒の分解は促進されてしまうということが示唆された。同時に、これまでSiの析出が確認されてこなかった低過電圧領域においても、それを可能とする条件を見出した。また同時にこの条件は、懸案となっていたp型Si形成のためのAlドーピングにも効果的であると示唆され、低過電圧条件を取り入れた新たなパルス波形を導入することで課題(1)の克服が可能であることを見出した。この改良電析手法は、課題(2)の電気特性の向上にも有効であることが確認され、このように22年度時点における目標が達成されたと考えている。一方、p-n接合形成を視野に入れると、現状のSi純度及び導電性にはなお向上の余地が残る。このため、当初の計画以上に進展したとは判断していないが、今後これまでの基礎的検討からの知見を総合することで抜本的対策を講じたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる24年度は、これまでに取り組んだ基礎研究からの知見を総合し、p-n接合形成に向けた高純度Siと高精度ドーピングを達成する新規プロセスの確立を目指す。 具体的には、電解液組成を大幅に見直しながら、これまでの研究期間全体を通じた解析から得られている反応機構に基づき、23年度に特に注力した電位の効果、22年度に特に注力した圧力の効果と最適後処理工程の知見を総合しながらそれらパラメータの調整を検討する。特に電解液組成の見直しが急務と考えている。これは、23年度に得られた電位窓範囲内における非水溶媒の分解に関する知見を基にしているが、特に高過電圧条件下では、それが電位窓の範囲内であっても溶媒が予想以上に分解しその分解生成物あるいは中間体が析出薄膜中に取り込まれ、Si純度を低減させてしまうことが示唆されている。このため溶媒を反応種として捉え直し、その組成を再設計することが重要であると考えている。より具体的には、導電性を保持できる環境を構築しながらイオン液体や有機溶媒などの溶媒系の組成を低減し、薄膜への不純物混入を最小化することで、Si純度向上とドーパント効果の最大化をねらう。これにより組成改善された電析Si薄膜の特性を分析しつつプロセスにフィードバックし、ひいてはp-n接合構造の形成につなげる。電解質組成をゼロにすることはできないため、不純物混入はなお避けられない見通しであるが、本研究事業の中で得られた圧力の効果に関する知見や後処理工程の利用が可能かを検討する中で、そうした不純物を可能な限り低減していくことを目指す。特にアニーリング処理やフッ酸処理をはじめとする後処理工程は、必須の工程になると予想しており、それらの段階的な工程を総合した、新規Si薄膜電析プロセス、及びp-n接合形成プロセスの確立を目指す。
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