Project/Area Number |
21K04679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26030:Composite materials and interfaces-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
酒井 哲也 日本大学, 生産工学部, 教授 (70376961)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | プラスチック / 環境不適合 / 廃棄物処理 / ゼオライト / アルカリ水溶液 / 加水分解 / 熱硬化性樹脂 / リサイクル / 分解 / 耐酸性 / 無機粒子 |
Outline of Research at the Start |
耐酸性の不飽和ポリエステル樹脂と耐アルカリ性のアミン硬化エポキシ樹脂をマトリックスとし、それぞれに対し、無機系の陽イオンおよび陰イオン交換体ならびに天然ゼオライトを充填した試験片を作製する。これらを硫酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液および海水を想定した塩化ナトリウム水溶液にそれぞれを浸せきさせ、所定時間浸せき後、試験片の質量変化率、曲げ強度保持率を求め、劣化の程度を観察する。さらに、EDX分析によって,試験片に侵入した元素(例えば、NaOH水溶液であればNa)の深さを、顕微IRによって化学的劣化層の厚さなどを検討することで、各水溶液中における複合材料中のイオン交換体の効果を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
環境不適合性を利用した無機粒子充填プラスチック材料の分解に関する基礎的研究として、機械的特性と耐久性に優れている熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂に着目した。この不飽和ポリエステル樹脂は,環境不適合性としてアルカリ性環境では,加水分解反応により分解劣化を生じる。つまり、加水分解をコントロールすることができれば、劣化の抑制、もしくは促進が可能であると考えイオン交換機能を有する合成ゼオライトをこの不飽和ポリエステル樹脂に充填した試験片を作製し、アルカリ水溶液に浸せきさせて耐久性・耐食性について検討した。 試験方法は、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を10mass%と20mass%の2種類とし,温度は50℃で一定とした。浸せき試験前後の試験片の質量と厚さの増減と、EDSで水酸化ナトリウム由来のNaの存在領域を分析した結果から、溶液が試験片内部に浸入していることが確認された。さらに、乾燥後の質量と厚さの減少、FT-IR分析による樹脂の加水分解が確認された。時間の経過とともに試験片内部に溶液が浸入し、加水分解反応を生じ劣化する劣化形態を示した。充填したゼオライトの種類によって浸入を抑制する効果、促進する効果が確認された。例えば水素イオンを有するゼオライトを不飽和ポリエステル樹脂に充てんした材料は、低濃度(10mass%)では樹脂単体とナトリウムイオンを有するゼオライトに比べて水酸化ナトリウム水溶液の浸入と劣化を促進した。対して高濃度(20mass%)では樹脂単体と比べて溶液の浸入と劣化を抑制した。 以上の結果から、合成ゼオライトをプラスチック充填することにより、濃度などの環境の違いによって劣化メカニズムを変化させる材料開発の可能性が示された。この結果の一部は国際会議KJMST2024にて発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々なプラスチックと合成ゼオライトの組み合わせが考えられることから、当初の計画より研究実績の概要で報告した不飽和ポリエステル樹脂以外にも、例えば、エポキシ樹脂等についても同様の検討を実施した。しかし、時間の都合でデータがそろわない、もしくは予想以上に耐久性が高くなり本研究機関では結果が出ないこともあった。最終的には不飽和ポリエステル樹脂とアルカリ環境の組み合わせにおいて、目的とするデータはほぼ取得することができた。したがって、当初の目的は達成することができたが、まとめる作業が不充分となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度において、目的とするデータはほぼ取得することができた。2024年度においてはこの結果をまとめるとともに、必要があれば実験データの再検証等を行う。さらに、研究論文の作成と投稿、さらに学会での発表を計画している。
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