Project/Area Number |
21K04719
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26050:Material processing and microstructure control-related
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy Center for Maritime Safety and Security Studies |
Principal Investigator |
兼子 毅 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 准教授 (30403140)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 圧延加工 / 塑性加工 / 有限要素法解析 / 加工組織 / 集合組織 / EBSD / 変形特性 / 高温変形 / ひずみ経路 |
Outline of Research at the Start |
金属材料のうち板材などの素形材製造技術の一つである圧延加工では伸長した結晶粒が薄く延伸した圧延板内部に多数形成され,その後の熱処理によって結晶粒は再結晶粒としてパンケーキ状に変化することが多い.本研究課題では,加工を受けた結晶粒の長さ/幅の比率を自在に変化できるような擬平面ひずみ変形圧延加工法を開発し,その圧延加工法を用いて加工された金属材料の結晶方向(結晶方位)や結晶粒の形状,その後の熱処理による結晶方位変化や高温中の変形挙動について調査することで,新加工プロセスの妥当性を検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,塑性変形を受けた結晶粒の長さ/幅の比率を自在に変化できるような擬平面ひずみ変形圧延加工法を開発し,その圧延加工法を用いて加工された金属材料の結晶方向(結晶方位)や結晶粒の形状,その後の熱処理による結晶方位変化や高温中の変形挙動について調査することで,新加工プロセスの妥当性を検証することを目的としている.研究3年度は,2年度(2022年度)に実施した擬平面ひずみ変形圧延加工用ロールによる冷間加工材の機械的性質と微視組織観察・結晶方位測定と行い,高温引張試験条件の検討ならびに高温引張試験片作製を実施した. アルミニウム合金A5052とA5083材を供試材として擬平面ひずみ変形圧延加工材を全圧下率50%の条件で作製し,室温引張試験の結果,A5052では最大引張強さ約320MPa,破断伸びは約7%,A5083では最大引張強さ約450MPa,破断伸びは約9%と小さく十分な加工硬化を示した.SEM/EBSD法にて微視組織観察・結晶方位測定を行い,導入された相当塑性ひずみが0.8であっても,いずれの合金においてサブグレインやミクロせん断帯が発達した冷間加工組織が得られることを確認した.ロール溝形状の違いが結晶方位分布に及ぼす影響を調査した結果,ある領域では純銅型集合組織を示し,またある領域では黄銅型集合組織にミクロ集合組織が変化することなどが確認されたほかに,Goss方位が副方位として発達するなど興味深い結果が得られた.高温引張試験については高温引張試験片を作製し,予備試験を行う準備を整えている.しかしながら,研究3年度研究計画で当初設定した擬平面ひずみ変形圧延加工のパターンを変化させることやテーパーロールによる平坦化圧延での幅広がり効果の検証については,圧延加工時にロールバイトでの蛇行や圧延ロールへのかみ込み不良が多発したため,現時点では保留としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2年度に設計・製作した等半径円弧溝ロールと不等半径円弧溝ロールを用いて,マグネシウム添加量が異なるアルミニウム合金2種(A5052とA5083)に擬平面ひずみ変形圧延加工を行なった.これら冷間加工材の機械的性質評価と微視組織観察・結晶方位測定を行なった. 室温引張試験の結果,擬平面ひずみ変形圧延加工されたA5052では最大引張強さ約320MPa,破断伸びは約7%,A5083では最大引張強さ約450MPa,破断伸びは約9%となり十分な加工硬化を示すことを確認した.EBSD測定結果より,焼鈍板である供試材A5052の平均結晶粒径は23.6μm,A5083では15μmであり,再結晶集合組織の方位成分である{001}<100>立方体方位が優勢なミクロ集合組織であった.擬平面ひずみ変形圧延加工材は2パス目および3パス目による平坦化加工によりサブグレインやミクロせん断帯が発達した冷間加工組織を示した.等半径円弧溝ロールによる冷間加工材では,A5052材とA5083材の平均結晶粒径はそれぞれ11.6μmと7.7μmとなり,{112}<111>方位近傍に強い集積を持つ純金属型集合組織に近い集合組織となることが確認された.不等半径円弧溝ロールによる冷間加工材では,A5052材とA5083材の平均結晶粒径はそれぞれ11.4μmと7.4μmとなり,{110}<112>方位の他に{112}<111>方位近傍にも集積を持つ合金型集合組織に準じた集合組織を示した.また,1パス目の加工で発生した部分圧延部は続く2パス目以降の平坦化加工では未圧延部となるため,平坦化工程で板幅方向に沿って変形の不均一が生じ,純金属型集合組織と合金型集合組織を示す領域が交互に現れるような結晶方位分布となった.しかしながら,研究3年度に設定した高温引張試験については高温引張試験片を作製した段階であり,未実施となった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究4年度も,アルミニウム合金A5052およびA5083の擬平面ひずみ変形圧延加工材について圧延方向断面と板幅方向断面よりSEM/EBSD測定による結晶方位評価を行い,有限要素法解析によるひずみ分布との対応を調査する.研究3年度終了時点で未実施であったアルミニウム合金2種の擬平面ひずみ変形圧延加工材の高温引張試験については,引張温度573Kを軸に初期ひずみ速度0.0001から0.1の条件にて実施し,高温変形構成式の同定などの機械的性質の評価を行う.あわせて,高温引張試験後の微視組織観察と結晶方位測定を行うこととする.また,比較のため,全圧下率50%,3パス平圧延材も作製し,機械的性質と微視組織観察・結晶方位測定を行い,擬平面ひずみ変形圧延加工により発現した結晶方位の熱的安定性の可否について検証する.随時,公表可能なデータが得られ次第,学会口頭発表などで研究成果の公表を行う.また,研究計画書に掲げたAl-Zn-Mg系合金(A7075など)については板厚1.5mm前後の市販材を入手するには困難であることから,他の熱処理型アルミニウム合金であるAl-Mg-Si系合金(A6061など)を出発材として擬平面ひずみ変形圧延加工を行い,Al-Mg系合金との機械的性質と微視組織.結晶方位変化について比較して,本研究の全体総括を行う.
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