Project/Area Number |
21K04782
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
押切 光丈 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (20354368)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 二酸化炭素還元 / 不均一光触媒システム / 多環式炭化水素 / 遷移金属 / 複素環式化合物 / 第一原理 / 量子分子動力学 / 電子構造 / 錯体 / 光触媒 / 二酸化炭素 / 還元 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、異なる環数の多環式炭化水素の組合せで集光アンテナを形成することを特徴とする光触媒に金属錯体を助触媒として吸着させたシステムを用いた、可視光による二酸化炭素還元(一酸化炭素生成)不均一光触媒システムに関するものである。ここではシステムの高効率化を目指し、当該不均一光触媒システムにおける全原子分子のダイナミクスや全電子構造を第一原理手法で調査し、その反応メカニズムを追究する。光触媒物質のみを取り扱う理論研究ではなく、光触媒、助触媒、反応物質すべてを含むリアルな全系を丸ごとシミュレーションする研究であり、得られる情報はシステム最適化設計に直結し見通しの良い設計手法が得られると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、複合的な環式炭化水素、複素環式化合物、および遷移金属元素イオンで構成される複雑な配位構造体と、二酸化炭素が溶存する反応液で構成される実際の組成に即したリアルな二酸化炭素還元用不均一光触媒システムの初期的計算モデルで得られた全体の電子構造と局所的各構成要素分子の電子構造の詳細な関連性に関する知見をもとに、不均一システムの構成要素分子の位置関係等を再構築し、実験温度で熱平衡状態にあるいくつかの計算モデルの電子構造を局所密度近似(LDA)レベルで検討し、不均一システム中のそれぞれの構成要素分子の巧妙な協同作用による二酸化炭素還元機能発現メカニズムの一端を見出だすことができた。今年度は、前年度までの基礎的研究知見をもとに、光励起電子の二酸化炭素分子への結合性をさらに向上させるための反応中心構造の探求を行い、特に有望な構造の不均一系に対しては、様々な濃度でキャリア注入を行うことで二酸化炭素分子運動へのキャリア濃度依存性を調べることができた。また、その膨大な計算量から、これまで当該不均一系の全電子構造はLDAレベルのみで検討してきたが、今年度は、より一層の計算手法の最適化を行うことにより、LDAレベルで使用した計算モデルを特に簡略化することなく、HF(ハイブリッドファンクショナル:相関エネルギーは局所密度近似レベルで計算するが交換エネルギー部分はハートリーフォック法の正確な交換エネルギーを利用する手法)レベルで全電子構造を得ることができ、二酸化炭素還元機能発現メカニズムをより正確に追究することができた。さらに、配位構造体中の金属元素種を変えることによる影響を調査するため、様々な金属元素に対する多様な擬ポテンシャルの準備も進め、その一部については、光還元用不均一系への応用を介してその性能が良好であることを確認することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合的な環式炭化水素、複素環式化合物、および遷移金属元素イオンで構成される複雑な配位構造体と、二酸化炭素が溶存する反応液で構成される実際に即したリアルな二酸化炭素還元用不均一光触媒システムの計算モデルに関して、前年度までの基礎的研究知見をもとに、光励起電子の二酸化炭素分子への結合性をさらに向上させるための反応中心構造の探求を行い、いくつか有望な不均一系モデルを見つけるに至った。また、これらのモデルに対してキャリア注入を行うことで二酸化炭素分子運動への影響を調べることができた。さらに、LDAレベルのみで検討されていた当該不均一系の全電子構造を、一層の計算手法の最適化を行うことにより、HFレベルで計算できるようになったことで、二酸化炭素還元機能発現メカニズムをより高い精度で理解できるようになった。最近では、配位構造体中の金属元素種を変えることによる影響をより高い精度で調査するため、様々な元素に対する多様な擬ポテンシャルの準備も進めている。これらのことから概ね研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引続き、ターゲット分子である二酸化炭素分子由来の電子構造位置(特に非占有準位の位置)の当該二酸化炭素分子周辺環境依存性を詳細に調べると同時に、配位構造体中の金属元素種の影響も詳細に調査し、光励起された電子をより効率よく二酸化炭素分子に供給できるようにするための検討を行う。LDA法だけでなく、必要に応じてHF法による電子構造計算をおこなうことで、より高い精度で機能発現メカニズムを追究し、二酸化炭素の光還元システムに関する見通しの良い一般的な設計指針の確立を目指したい。
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