量子化学計算とシミュレーションを用いた柔軟な分子のビルドアップ機構の理論的解明
Project/Area Number |
21K04806
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岸本 直樹 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60302080)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 量子化学計算 / 反応経路自動探索 / 超分子ナノ構造体 / ネットワーク構造 / 生成初期過程 / 二水素錯体 / 分子動力学 |
Outline of Research at the Start |
分子は集合して秩序構造を形成することでエントロピーを失うが、エントロピーロスを上回るエンタルピーの安定化を分子間力によって得てGibbs自由エネルギーの低下が起きているはずである。したがって分子集合系のポテンシャルエネルギー曲面を解析してエンタルピーの低い安定な構造を調査することで、超分子の最安定構造と異性体を決定することができる。超分子の形成過程で分子の自己集合が起こる理由は、「弱い結合力」が「多点」で起こることで繰り返し異性化を起こすためと考えられる。本研究では、弱い結合力を計算する第一原理計算を用いて量子力学が支配するナノレベルの構造体の形成メカニズムを明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
金属原子とペプチド分子からなる巨大環状錯体(超分子ナノ構造体)の生成過程について、化学反応経路自動探索法GRRMを用いて、初期過程の分子会合過程を量子化学計算を用いて調べた。また、巨大環状錯体の光学特性を調べるための円二色性(CD)測定の結果を、量子化学計算を用いて解析を行った。一方、二水素錯体を用いた水素分子(あるいは重水素分子)の吸着反応を量子化学計算法を用いてギブズエネルギーを計算して実測と比較した。温度に依存したギブズエネルギーから信頼度の高い密度汎関数法を明らかにし、H2/D2の分離能の予測法を確立した。 さらに、以下のような架橋ネットワーク構造生成過程の反応シミュレーション法を開発した。 1.分子触媒を用いた架橋ネットワーク構造生成過程のためのCat-GRRM/MC/MD法の開発:熱硬化性樹脂生成において、近接する分子との相互作用によって活性化エネルギーが下がる反応過程を考慮した反応シミュレーションを開発することで、実験と遜色ない力学特性を得ることが出来た。 2.多段階可逆反応経路を経由する架橋ネットワーク構造生成過程のためのMultistep-GRRM/MC/MD法の開発:GRRMを用いて得られる中間体を経由するケースで、吸熱反応過程にも対応した反応シミュレーション法を開発した。 導電性高分子を用いた化学増強型SERS(表面増強ラマン分光法)によって試料中の分子の振動をレーザーで測定することで高感度に分子の分析を行うことができる。化学増強型SERSの発現機構について、量子化学計算を用いた電子構造から考察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子化学計算と分子シミュレーションを用いて柔軟な分子のビルドアップ機構を明らかにする研究は様々な方向に進展しつつ、順調に成果が得られている。2022年度は物理化学、計算化学、錯体化学、分子科学、複合材料科学などの分野で対面式の学会発表を多く行って、これまで得られた成果について専門家と議論を行うことが出来た。 学会で成果を発表した3つのテーマ(架橋ネットワーク構造の生成過程の分子反応シミュレーション、超分子ナノ構造体の生成過程の量子化学計算、二水素錯体の水素分子吸着過程とH2/D2分離)に関しては、全て国際的な学術誌での論文発表の準備を進めている。また、導電性高分子を用いた化学型SERS機構に関しては論文投稿中である。 以上を総合的に判断して、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まだ国際的な学術誌で発表する論文としてまとめるに至っていない「量子化学計算を用いた巨大環状錯体の光学特性(円二色性(CD)測定)の解析」のテーマについては、引き続き研究を継続して論文発表を行えるようにする。このために、連携研究者だった三宅亮介博士(お茶の水女子大学)を分担者に加えて、類似した巨大金属錯体の合成と解析を行ってもらえるように変更した。2023年度には、中心金属原子や配位有機分子を変えて制御するキラリティ変化を量子化学計算を用いて解析する予定である。 また、化学増強型SERSに関しては非金属結晶による増強効果の発現機構が明らかになっていないのでその解明を量子化学計算を用いて行う予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(27 results)