Project/Area Number |
21K04814
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宝田 徹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (30336010)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 核酸 / DNA / ナノ粒子 / 自己組織化 / 透過型電子顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
異種ナノ粒子からなる2次元集合体(2次元アレイ)は、太陽電池やセンサーへの応用が期待される。本研究では、これらの製造技術になることを目指し、異種粒子の自己組織化法を開発する。原理として、短鎖DNAで覆われた粒子が示す自発的な凝集挙動を利用する。まず、反復配列をもつDNAの上に金ナノ粒子と量子ドットを交互に配置して線形の前駆体をつくる。次に、粒子間に凝集を誘起して前駆体を折りたたみ、基板上に2次元アレイを構築する。量子ドットが発する蛍光の強度が最大になるようにアレイ構造を最適化し、光学デバイスに応用する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ナノ粒子の2次元アレイは、太陽電池やバイオセンサーへの応用が期待されている。本研究では、これらの製造技術になることを目指してナノ粒子の自己組織化法を開発している。原理として、短鎖DNAで覆われた粒子が示すコロイド挙動を用いる。一本鎖DNA修飾ナノ粒子は、高塩濃度条件でも安定に分散するが、完全相補鎖を加えてDNAを二重鎖にすると、粒子は直ちに凝集する(非架橋型集合)。この集合はDNA末端の塩基対構造に強く依存し、DNA層の最表面に一塩基突出があると粒子は安定に分散する。そこで本研究では、完全相補と末端突出の二重鎖DNAで被覆された粒子を、反復配列をもつDNAに結合させ、これに非架橋型集合による折りたたみを誘起して、基板上に異種粒子の2次元アレイを構築する。 本年度は、ナノ粒子の2次元アレイをバイオセンサーに応用するための基礎検討を行った。まず、DNA層の最表面の微小構造が粒子のコロイド安定性に与える影響を解明した。具体的には、種々の長さのアルキル鎖を末端に結合した二重鎖DNAで金ナノ粒子を表面修飾し、その分散安定性を比較した。その結果、最適なアルキル鎖長の場合のみ、粒子の分散安定性が大きく増大することを見出した。さらに、この特異現象を検出原理として、腫瘍マーカーの代表例であるガラクトシダーゼの酵素活性を目視判定できるバイオアッセイ法を開発した。簡便かつ迅速な検査キットへの応用が期待できる。さらに、標的遺伝子増幅法(LAMP法)の検査溶液に、一本鎖DNAで表面修飾した金ナノ粒子を呈色試薬として添加することで、標的遺伝子の増幅を検査液の色調変化で目視判定することに成功した。具体的には、実サンプル中の結核菌の有無を目視検出できることを実証した。以上2つの検討結果は、本研究のナノ粒子集合体が医療診断分野にも応用可能であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、大小2種類の金ナノ粒子で構成される1次元集合体を前駆体として作製し、平均300個以上の粒子からなる2次元アレイの構築にほぼ成功した。一方で、アレイに用いるDNA修飾ナノ粒子について塩基配列を適切に設計することにより、医療診断に関連する酵素反応に応答する粒子分散系を構築することができた。しかしながら、これらの機能発現は孤立した単独粒子での実証にとどまっており、本年度では粒子集合体での機能検証には至っていない。粒子の数比や、粒子の全濃度、共存塩の種類と濃度、反応温度、反応時間を最適化することにより、2次元アレイにさまざまなセンサー機能を付与することを試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
設計通りの1次元集合体(ナノ粒子ポリマー)を作製するために、(1)固定用DNAの塩基配列、(2)鋳型DNAと固定用DNAの二重鎖形成の反応条件、を再検討する。(1)に関しては、固定用配列の長さについても最適化を行う。(2)については、全粒子濃度、鋳型DNA濃度、反応温度、反応時間について検討する。長鎖の鋳型DNAへの固定化反応が不完全にしか進まなかった場合は、計画を変更してナノ粒子オリゴマー(2量体または3量体)を前駆体に用いる。これまで前駆体に用いてきたナノ粒子ポリマーと、新しいナノ粒子オリゴマーの違いは、オリゴマーについてはゲル電気泳動による精製法が確立されていることである。アガロースゲル電気泳動法によって所定のナノ粒子オリゴマーを分離抽出することにより、完全体の前駆体のみから2次元アレイを構築することが原理的に可能である。同一サイズの金ナノ粒子からなるオリゴマーのゲル分離精製については、すでに手法を確立して論文発表をしており、サイズの異なる粒子(粒径5 nmと15 nmの金ナノ粒子)からなる2量体または3量体についても、同様に分離精製できることを予備実験で確認している。分離精製されたオリゴマーは完全体なので、これらが非架橋型集合して与える2次元アレイは、ナノ粒子ポリマーの折りたたみで得られるアレイよりも正確な粒子数比を示すことが期待できる。最終的にはこの方法論を、金ナノ粒子と量子ドットからなるヘテロなナノ粒子オリゴマーへと展開し、異種ナノ粒子の2成分2次元アレイを構築してセンサー等に応用する。
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