Project/Area Number |
21K04872
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
|
Research Institution | Osaka University (2022) Tohoku University (2021) |
Principal Investigator |
中山 幸仁 大阪大学, 産業科学研究所, 特任准教授(常勤) (50312640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 純平 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (90373282)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | アモルファスシリコン / 走査トンネル顕微鏡 / 構造的不均一性 / クラスター解析 |
Outline of Research at the Start |
ガラスやアモルファス材料の原子配列は、数学的なランダムではなく局所的な原子の凝集を起因 とする不均一性が発現することが示唆されている。この構造的不均一性は、これまでX線や中性子回折法を用いた研究が精力的に進められてきた。ところが、これらの回折法では原子スケールの局所的な構造的不均一性を評価することは困難である。一方、STMは実空間の表面原子配列を原子スケールで観測することができ、アモルファス表面の原子座標データを近似なしに取得することが可能である。このSTM実験で得られた座標データに対してクラスター解析法などを適用することによりアモルファス/ガラスの原子配列に不均一性が存在するのか検証を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
電子線や中性子線を用いた従来の回折法では局所的な構造解析が困難であるガラスやアモルファス材料に対して、その構造的な不均一性を原子スケールで解明することに取り組んでいる。超高真空走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、実空間においてアモルファスシリコン表面原子配列を原子スケールで観測することを試みた。その結果、アモルファス表面の原子座標データを近似なしに取得することができた。これらの実験により、アモルファス状態の原子座標データが求めることができ、表面原子間距離や実空間における動径分布関数(PDF)を導出することかできた。 本研究は以下の3項目の達成を目指して研究を推進している。 (1)アモルファス表面原子構造を形成する急冷Si(111)表面に対してSTM観測を実施して原子座標データを取得する。また、クラスター解析法は、非階層的手法であ るk平均法を検討すると共に、階層的手法である凝集型階層クラスタリングを適応させて解析を進める。 (2)実験から得られた実空間データから原子間距離を算出し、定量分析の指標となるPDF解析法を活用するためのプロトコルを確立する。 (3)アモルファス中の原子クラスター形成を念頭におき、構造的不均一性発現の条件をPDFやクラスター解析法により見出せるか検証を行う。 従って、(1)と(2)における実験に関する項目はほぼ目安がついたといえ、最終年度の今年度は、実験で得られた実空間データからクラスター解析法を駆使して、その解析法の有用性を検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年4月に東北大学から大阪大学への異動したため、研究の進捗状況が当初の計画よりも遅延していた。当初、令和3年度内に、超高真空の実験環境 を整備し、その環境下でSi(111)表面の観測、ならびに急冷実験を行い、アモルファス表面の原子座標を求める実験計画であったが、令和4年度中に異動先の大阪大学において、令和3年度中の実験計画を完遂した。これにより、急冷Si(111)表面に対するSTM観測から原子座標データを取得することができ、令和3年度の実験計画を完了することができた。そのため、現在までのおおむね順調に進展していると判断した。 また、近年、本研究者のグループ(中山・岡田)から液体急冷法を用いることでアモルファスシリコンを量産できることが見出された。本研究成果はバルク状のアモルファスシリコンのサンプルが作製でき、本試料は多孔質構造も有することからリチウムイオン電池の負極材として利用できる可能性があり、今後は材料応用の観点から、アモルファスシリコン研究の裾野が大きく拡がる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度中に、アモルファスシリコン表面の原子座標データを近似なしに取得することができたことから、アモルファス状態の原子座標データが求められ原子間距離や、実空間における動径分布関数を導出することが可能になった。今後は、これらの実験データに対して、クラスター解析法を適用して、非階層的手法であ るk平均法を検討すると共に、階層的手法である凝集型階層クラスタリングを適応させて解析を進める。 また、アモルファス配列における原子クラスター形成を念頭におき、クラスター解析法における原子間距離を階層的に変化させた場合の、クラスター中の原子数や、クラスター間の相互作用の有無などを検証する予定である。 これらの研究成果は、国際学術会議や学術論文として公表する予定である。
|