Synthesis of non-native phospholipids with an inverted polar headgroup by lipidmutation and their aggregation behavior
Project/Area Number |
21K05006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
玉井 伸岳 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (00363135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 均 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (40229448)
後藤 優樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (30507455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 非天然リン脂質 / リン脂質二重膜 / 高圧相挙動 / 示差走査熱量法 / 二重膜相転移 |
Outline of Research at the Start |
生体膜は化学構造の異なる多種多様なリン脂質によって構成されるが、スフィンゴリン脂質を除けば、それらは全てグリセロリン脂質であり、共通してグリセロール骨格にリン酸基がエステル結合した化学構造(PA構造)を有する。この共通性の生物学的・化学的意義を明確にすることを目指し、本申請課題研究では、リピッドミューテーションによる極性基転置非天然リン脂質の創製およびその二重膜構造・物性の評価を行う。同時に、非天然リン脂質を含めたより広範な研究対象における新たな脂質学を広く展開し、次世代に向けた膜研究の新たな潮流の創出を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
生体膜を構成するリン脂質は、スフィンゴリン脂質とグリセロリン脂質に大別されるが、膜中には後者の方が圧倒的に多く存在する。したがって、大半の生体膜構成リン脂質は、グリセロール骨格(B)にリン酸基(P)がエステル結合した分子構造(B-Pモジュール)を共通して有していると言える。我々の研究室では、これまで長年にわたって化学構造の異なる様々な天然グリセロリン脂質を対象に系統的に研究を行なってきたが、全てのグリセロリン脂質に共通するB-Pモジュールに関しては、その化学的特性および生物学的意義と分子構造との関連性を明確にすることは、研究対象を天然グリセロリン脂質に限定している限り、非常に難しいと言わざるを得ない。このような状況を踏まえ、本課題研究では、天然リン脂質の化学構造を部分的に改変した、いわば変異導入非天然リン脂質を合成し、その二重膜物性を調べることで、対比的に天然リン脂質分子の機能と特性を明確化することを主目的としている。本年度の研究成果は、以下の3点である。 (1)リン酸基を一つ有する極性基転置リン脂質(P1-N型リン脂質)の類似体(リン酸基に二つのエチル基が結合したカチオン性P1-N型リン脂質)の合成および精製。 (2)当初の計画には含まれていない新規非天然脂質の一種である、脱リン酸型脂質(TAP)の合成。 (3)中性およびアニオン性P1-N型リン脂質の合成・精製の検討。 (1)に関しては、幾つかの学会ですでに発表しており、これまでに得られた結果を公表するため、現在、論文作成に取り組んでいる。(2)に関しては、一連のアシル鎖長の異なるTAP型脂質の合成・精製に概ね成功しており、現在、成果報告に必要な物性データの取得に取り組んでいる。(3)については、現在進行中であるが、予想していた以上に困難であることが判明し、計画の見直しを含め、今後の進め方について再検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画においては、昨年度までに三種類の極性基転置リン脂質(P1-N型、P2-N型およびP3-N型リン脂質)の合成が完了していなければならないが、現状、カチオン性のP1-N型リン脂質の合成までしか到達していない。このような現状を踏まえ、当該年度の進捗状況を達成度に基づき判断すると、決して芳しいとは言えないものの、本研究課題の中心命題に対する研究としては着実に一歩一歩進んでいることから、「やや遅れている」とした。詳細は以下のとおりである。 (1)Pn-N型リン脂質の合成研究(達成度3):当初予定していた中性P1-N型リン脂質の類似体である、二つのエチル基を有するカチオン性P1-N型リン脂質の合成・精製に成功したものの、中性P1-N型リン脂質は物性測定に使用可能な高純度の生成物が得られておらず、またP2-N型とP3-N型リン脂質に関しては未だに合成に成功していない。 (2)脱リン酸型脂質(TAP)の合成(達成度8):当初の計画には含まれていない新規非天然脂質の一種である、脱リン酸型脂質(TAP)については、アシル鎖長の異なる種々のTAPの合成に成功しており、またその一部に対してはすでに物性測定(熱量測定および高圧相挙動)も行っている。 (3)中性およびアニオン性P1-N型リン脂質の合成・精製の検討(達成度5):中性P1-N型リン脂質は物性測定に使用可能な高純度の生成物が得られておらず、アニオン性P1-N型リン脂質に関しては、当初の計画の目的物ではないとは言え、合成に成功していない。 全体的に、最終段階のリン酸基の導入が当初想定していたよりも困難であり、加えて生成物の精製が非常に難しいことが判明したため、計画の修正を含め、今後の研究の進め方を見直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本課題研究実施期間の最終年度であることを考慮し、また前年度までの研究の進捗状況および研究成果を踏まえ、慎重に研究を進める必要がある。本研究の最終目標が「天然グリセロリン脂質に共通の化学構造(B-Pモジュール)の生物学的意義の解明」であることも勘案し、当初の研究計画を適切に修正する必要がある。これまでの研究成果で明らかになった問題点の改善策あるいは回避策を十分に講じたうえで立案した今後の研究の推進方法について、以下に簡潔にまとめる。 (問題点)前々年度まで成功していなかった、合成経路の最終段階のリン酸基の導入に昨年度成功し、リン酸基に二つのエチル基が結合したカチオン性P1-N型リン脂質の合成に成功した。しかし残念ながら、中性およびアニオン性のP1-N型リン脂質の合成(または精製)には成功していない。この状況下で、当初の計画通りP2-N型あるいはP3-N型リン脂質の合成を試みるのは現実的に厳しく、また研究成果の観点からみても望ましい結果が得られる公算はかなり低い。 (修正案)P2-N型あるいはP3-N型リン脂質の合成は、長期的検討を要する今後の発展研究の一課題とすることにして、本研究ではすでに成功したカチオン性P1-N型リン脂質の合成をもとに、中性およびアニオン性のP1-N型リン脂質の合成・精製に優先的に注力することとする。また、当初の計画には含まれていない新規非天然脂質の一種である、脱リン酸型脂質(TAP)については、すでにアシル鎖長の異なる一連のTAPの高純度試料が入手出来ている。TAPは、天然のグリセロリン脂質のリン酸基部分が欠如した化学構造を有しており、当初の研究目的に適った非天然合成リン脂質の一つとみなせることから、TAP二重膜の物性測定についても並行して進めていく予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(20 results)