Exploration of synthesis and function of p-extended derivatives with azaphenalenyl moiety
Project/Area Number |
21K05024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
川瀬 毅 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (10201443)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 含窒素縮合多環状共役系 / アザフェナレニル / アザナノグラフェン / カチオンラジカル / オキサナノグラフェン / π拡張イミド類 / メカノフルオロクロミズム / メカノクロミズム |
Outline of Research at the Start |
窒素原子を含む縮合多環状共役系化合物は、炭素原子のみで形成された系とは異なる特異な光・電子特性を示すことが知られている。含窒素グラフェンにはその作用機構は解明されていないものの燃料電池触媒作用が見出されており、含窒素縮合多環状共役系化合物はそのモデル分子としても興味深い。本研究では、これまで知られていなかったアゾメチンイリド構造をもつ含窒素縮合多環状共役系化合物の性質や構造を明らかにするとともに、アザフェナレニル構造をもつ多様な含窒素ナノグラフェンモデル化合物の構築を行う。それらの化合物には高い酸化還元能が期待され、有機半導体、光材料、さらには燃料電池触媒への応用を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
先に申請者は、窒素原子上に嵩高いジイソプロピルフェニル基と2つのt-butyl基を導入した2-アザフェナレニル誘導体1を深緑色固体として単離することに成功し、構造や電子物性を明らかにした。この化合物は非常に高いHOMOエネルギーをもち、それがアゾメチンイリドとしての高い反応性の要因となることを見出した。そこで本研究課題として、化合物1を銀塩(AgPF6)で一電子酸化することで、相当するラジカルカチオン2を暗褐色の結晶として得ることに成功した。その生成はESRスペクトルと理論計算に基づくシミュレーションの比較によって行い、最終的に単結晶X線構造解析によって確認した。また、ナフタレン部にt-butyl基をもたないカチオンラジカルも合成・単離できることを見出した。この化合物はフェナレニルラジカルの類縁体として最も置換基の少ない単離可能な化合物であった。また、フェニル基や9-フェナンスリル基を持つベンズアンスロン6-ArBAやそのベンゾ拡張体8-ArDBAの酸性条件下脱水閉環によるカチオンの合成を試みたところ、酸素原子の残ったπ拡張キサンテニウムイオン類(BNX・BF4、DiBNX・BF4、TriBNX・BF4)が生成した。フェニル体から誘導したカチオン種BNX・BF4については単結晶を作成し、X線単結晶構造解析によって平面性の高い構造を持つことを確認した。フェナンスレン付加体から誘導したカチオン種(TriBNX)は重アセトニトリル中で濃度に伴ってNMRスペクトルが変化し、自己会合することが示唆された。また、ジクロロメタン中で可逆な還元波を観測したことから安定なラジカルが生成したと考えられる。キサンチリウムカチオンの酸素原子は窒素原子に変換することが可能であることを見出しており、多様な骨格を持つナノグラフェン系含窒素共役系化合物の合成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェニル基や9-フェナンスリル基を持つベンズアンスロン6-ArBAやそのベンゾ拡張体8-ArDBAの酸性条件下脱水閉環によるカチオンの合成を試みたところ、酸素原子の残ったπ拡張キサンテニウムイオン類(BNX・BF4、DiBNX・BF4、TriBNX・BF4)が生成した。フェニル体から誘導したカチオン種BNX・BF4については単結晶が得られたのでX線単結晶構造解析によってその構造を確認した。フェナンスレン付加体から誘導したカチオン種(TriBNX)は重アセトニトリル中で濃度によってNMRスペクトルが変化しており、自己会合することが示唆された。また、ジクロロメタン中で可逆な還元波を観測したことから安定なラジカルが生成したと考えられる。キサンチリウムカチオンの酸素原子は窒素原子に変換することが可能であり、多様な骨格を持つナノグラフェン系含窒素共役系化合物の合成できるものと考えられる。この方法を確立できたことから、研究の進捗は順調と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素原子を含む縮合多環状共役系化合物(含窒素ナノグラフェン)は,炭素原子のみで形成された縮合多環状共役系化合物と比べて,特異な光・電子特性を示すことが知られている。特に,その作用機構は良く知られていないものの含窒素グラフェンには燃料電池触媒作用があることが見出されており,そのモデル分子としても興味深い。フェナレニル1は単純な3つの六員環からなる縮合多環状共役系化合物でありながら開殻系の分子として非常に特異な電子構造をもつことが知られている。このフェナレニル骨格をもつ縮合多環状共役系化合物として一重項ビラジカル構造の寄与の強い化合物が中筋・久保らによって合成され、高いジラジカル性や酸化還元特性を示すことが見出されている。高いp型半導体特性を示すペンタセンの分子骨格に窒素原子を導入することで高いn型半導体としての特性が現れることがBunzらの研究によって明らかにされている。それらの研究から、それらの系に窒素原子を導入することで高い電子特性(半導体特性や酸化還元能など)が期待される。しかし、これまで窒素原子を含む類縁化合物はまったく知られていなかった。研究課題の核心をなす学術的「問い」として、申請者は縮合多環状炭化水素の炭素原子を窒素原子に置換することで、どのような電子的・光学的性質が付与されるかを明らかにすることを目的として研究を行っている。申請者は先に、N‐置換 2-アザフェナレルの初めて合成・単離したり、アセナフチレン-5,6-ジカルボキシイミドを出発原料にπ拡張フルオランテンイミド類を合成し、その性質を報告している。これらの化合物は特異な発光特性や分子会合などの興味深い性質を示す化合物である。ナフタレンイミド骨格はヒドリド還元によってアザフェナレニル骨格をもつ化合物へ変換可能であることが知られている。そこで、イミド類から、含窒素縮合 多環状共役系化合物を得る計画である
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Report
(2 results)
Research Products
(27 results)