Project/Area Number |
21K05087
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2021) |
Principal Investigator |
松原 康郎 大阪公立大学, 人工光合成研究センター, 准教授 (90616666)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
|
Keywords | 電気化学 / 生体触媒 / 二酸化炭素還元 / 酵素反応 / ヒドリド移動反応 / 酵素 / CO2還元反応 / 二酸化炭素 / ヒドリド |
Outline of Research at the Start |
持続可能社会の構築のためには、再生可能エネルギーを効率よく使用する触媒を種々開発する必要がある。金属をごく少量しか使用しない酵素は触媒の理想的な見本として研究されており、その一つにCO2からギ酸(水素キャリアの一つ)を選択的に生成させることができるギ酸脱水素酵素(FDH)がある。本研究では、数あるFDHの中でも酵母candida boidinii由来のFDH (CbFDH)が、反応中心に金属原子さえ持たないのにも関わらず、なぜCO2をギ酸へと電気化学的に2電子還元できるのかを明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による1.5℃特別報告書で結論付けられたように、二酸化炭素(CO2)やメタンガスに代表される温室効果ガス (GHG)の累積排出量増加の抑え込みは喫緊の課題である。この問題に対処するために、化石燃料使用時に発生するGHGの回収と地中等への貯留が当面(2040年程度まで)の現実的な方法として考えられている。しかしながら、貯留に適した土地も限られており、目標への確実な到達の為には、化石燃料に替わるGHG排出量が少ないエネルギー源の確保や、GHGの有価物への変換が欠かせない。そのために、化学反応の電化、例えば、太陽電池に代表されるような自然エネルギーによって得られた電力と電気化学反応を組み合わせてCO2を一酸化炭素やエチレンなどの化成品原料に還元固定化するといった様な方法が、近年、盛んに研究開発されている。
本研究課題では、こうした化学反応の電化の方法論について注目しており、天然の酵母candida boidinii中に含まれるギ酸脱水素酵素(CbFDH)が、人工的な電子キャリア分子であるメチルビオロゲンを補酵素として、電気化学的にCO2をギ酸へと還元固定化する触媒として働くという実験的事実に着目した。通常、電気化学的にCO2をギ酸へと還元固定化するためには、人工的にはルテニウムやスズといたような金属を触媒として用い、また自然では金属を用いない場合にはフラボ蛋白という特別な分子を用いているが、この酵素には、どちらも含まれていない。そのため、この例外的な触媒反応を量子化学計算的手法により調べれば、逆に、CO2のギ酸への還元反応の電化についての一般論についての知見が得られると考えている。
この様な考えに基づき、2023年度は前年度に引き続き、ギ酸生成反応過程におけるメタダイナミクスの評価にむけた方法の検討を行った。また、酵素の反応中心という特殊な溶媒和環境を定量的に計算できるような計算方法の探索も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度では、メタダイナミクス的な手法により1電子還元されたメチルビオロゲンラジカルとCO2との反応性を明らかにすることを試みたが、目的の反応経路を見出すことに難航した。そのため計算手法の見直しも行い、相互作用点モデル理論にしたがって酵素反応中心をモデル化し、メチルビオロゲンラジカルの電子状態の電位依存性を調べれば、自ずと酵素の反応中心の特異な溶媒和環境を定量化できるという着想を得ることができた。これらのことから、概して全体を評価すると進捗状況としては「やや遅れている」といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度では、ab initio分子動力学計算のレベルではレアイベントであるメチルビオロゲンラジカルを電子源とするCO2をギ酸に還元する反応の機構について、酵素CbFDHの反応中心による特異な溶媒和環境を顕に表現できる相互作用点モデルに基づいた理論計算により、CO2還元の電子源であるメチルビオロゲンラジカルの電子状態の電位依存性の解明に取り組む。
|