含ケイ素二重結合化合物と遷移金属の複合化によるルイス酸・塩基反応場の構築
Project/Area Number |
21K05095
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岡崎 雅明 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20292203)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 俊 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (20733132)
是永 敏伸 岩手大学, 理工学部, 教授 (70335579)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | シランチオン / シライミン / 元素化学 / 有機金属化学 / ルイス酸触媒 / 反応場 / ケイ素二重結合化合物 |
Outline of Research at the Start |
有機分子触媒では、主要族元素が活性点となり、遷移金属錯体触媒では遷移金属が活性点となり、触媒反応が進行する。本研究では遷移金属と主要族元素化合物を複合化することで、ルイス酸・塩基反応場の構築と触媒反応への展開に取り組む。 主要族元素化合物としては、シライミン、ホスファシレン、シランチオン、シラノン等のケイ素二重結合化合物を主に取り上げる。ケイ素二重結合化合物の機能について大きな関心を寄せられてきたが、安定化のために導入された嵩高い立体保護基が機能開拓において足かせとなっていた。これら未踏化学種の準安定化を遷移金属への配位により達成し、ルイス酸・塩基反応場を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
有機分子触媒では主要族元素が活性点となり、一方、遷移金属錯体触媒では遷移金属が活性点となり、触媒反応が進行する。本研究では昨年度までに引き続き、主要族元素化合物と遷移金属錯体を複合化することで、新規ルイス酸・ルイス塩基反応場を構築し、触媒反応の開発を目的として実験を行った。 我々のグループでは、イミド配位子とシリレン配位子のカップリングにより、ルテニウム2核錯体上において、シライミンを発生させることで、シライミン架橋ルテニウム2核錯体の合成に成功している。さらに、シライミン部位にルイス酸を反応させることで、シライミン部位を脱離させ、溶媒として用いた種々の芳香族分子を2核ルテニウム反応場で捕捉活性化することに成功した。今年度は架橋した芳香族分子の性質の解明から着手し、結合交替が起こっていること、溶液中において動的挙動を示すこと、他の芳香族分子により容易に置換されることを実験的に明らかにした。また、ハロゲンを置換基として有する芳香族分子の捕捉活性化に、シライミン配位子が脱離して生じる反応場において取り組んだ。フッ素、塩素、臭素を置換基として有する芳香族分子を溶媒として用いて、40℃、20時間の条件下で実験を行ったところ、炭素-ハロゲン結合が切断され、Cp*と六員環芳香族分子を配位子としてもつサンドウィッチ型錯体が得られた。温和な条件下で炭素-フッ素結合が切断される興味深い実験結果といえる。 後周期金属を中心金属して有するシライミン錯体の合成にも取り組んだ。その結果、シライミン錯体の発生には成功したものの、さらに反応は進行し、イリジウム、ケイ素、窒素および炭素からなる四員環メタラサイクルが得られた。シランチオン配位イリジウム錯体の新規合成法を探索していく過程で、イリジウム、ケイ素、硫黄、ケイ素からなる四員環メタラサイクルを得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シライミン架橋2核ルテニウム錯体は、シライミンでマスクされた高度に配位不飽和な錯体反応場として捉えるとことが可能であり、ルイス酸との反応によりシライミンを脱離させた2核反応場において、炭素-フッ素結合を40℃という温和な条件下で切断できることを明らかした。これは当初想定していなかった新規性の高い研究成果といえる。2核ルテニウムで捕捉された芳香族分子において結合交替が起こっていること、溶液中において動的挙動を有すること、外部基質により容易に置換されることなど興味深い事象が明らかとなっており、今後、さらなる検討を起こっていく予定である。 後周期遷移金属を中心金属として有するシライミン錯体の発生には成功したと考えているが、さらに実験的および理論的検証が必要である。しかし、当初予想していた以上にその化学種が反応性に富み、単離することはできず、さらなる反応によって得られた誘導体の単離と構造決定に成功した。この実験結果をネガティブには捉えておらず、含ケイ素二重結合化合物と遷移金属の複合化により構築される反応場は極めて反応性が高く、未踏化学種を基質として用いた触媒反応場への展開が期待できる。 シランチオン配位イリジウム錯体の高収率合成に取り組む過程で、イリジウム、ケイ素、硫黄、ケイ素からなる新規四員環メタライクルの合成に成功している。これはシランチオン錯体の前駆体として、あるいはシリル(シリレン)錯体の前駆体として捉えることができ、今後さらに研究を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
目的達成に向けて、以下の通り、今後の研究を推進していく。 〇ケイ素と硫黄の間に不飽和結合を有するシランチオンを配位子として有する後周期遷移金属錯体の系統的合成方法を確立し、ルイス酸・ルイス塩基反応場を構築する。 〇ケイ素と窒素の間にシライミンを配位子として有する後周期遷移金属錯体の系統的合成方法を確立し、ルイス酸・ルイス塩基反応場を構築する。 〇シライミン架橋ルテニウム2核錯体をシライミンの架橋配位によりでマスクされた高度に配位不飽和なルテニウム2核錯体反応場として再定義し、炭素-ハロゲン結合活性化等を含む触媒反応を開発する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(15 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] Organometallic Chemistry2021
Author(s)
Y. Kawano, J. Koe, H. Matsuzaki, T. Mizuta, H. Nakazawa, M. Okazaki, K. Osakada, K. Ueno, edited by H. Nakazawa and J. Koe
Total Pages
283
Publisher
Royal society of chemmistry
Related Report
-
-