Development of a general-purpose force field for analyzing the crystal structure and dynamic behavior of organometallic complexes
Project/Area Number |
21K05105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | CONFLEX Corporation |
Principal Investigator |
中山 尚史 コンフレックス株式会社(研究), 研究, 主任研究員 (90402669)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 希土類錯体 / 発光特性 / ベイポクロミズム / Ni(II)-キノノイド錯体 / 結晶構造探索 / ベンズ(a)アントラセン / 結合クラスター計算 / 分子力場ポテンシャル / 有機金属錯体 / 希土類元素 / 分子性結晶 / フラグメント分子軌道法 / 分子力場 / 結晶構造 / 結晶相転移 |
Outline of Research at the Start |
多様な構造を有する有機金属錯体の結晶構造と動的な挙動を高精度に再現し、材料設計に有用な情報を得るためのシミュレーションに適した古典力場パラメーターセットを構築する。既知の実測データや高精度な量子力学的手法により得られたデータを元に、遷移金属元素を幅広く網羅しかつ個々のパラメーターを最適化して高精度化する。さらに、一連の操作をルーチン化することで、あらゆる物質群に対応できる汎用的な力場を作り出すシステムの開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機金属錯体で構成される分子性結晶の構造変化に伴う物性を計算化学的手法により解析するため、結晶構造とその動的挙動の両方を再現することを志向した汎用的な古典力場の開発を進めている。2022年度は、発光特性を示す新奇希土類錯体についての解析(1)と、メタノールを選択的に吸収しベイポクロミズムを示すNi(II)錯体の結晶構造の特定(2)、さらにベンズ(a)アントラセンの基底状態およびS1励起状態の分子構造を特定した。 (1)北海道大学長谷川グループらとの共同研究により、強い発光特性を示しかつ異なる希土類元素を連結することで光情報を一方向に伝達することを見出した錯体について、その連結過程で重要なピリジンの配位と、錯体単体での発光波長を、量子化学計算により解析することに成功した[Nature Commun. 2022, 13, 3660]。 (2)東京都立大学波田・中谷グループ、および関西学院大学加藤グループとの共同研究により、メタノール蒸気を選択的に吸収してオレンジ色に呈色(ベイポクロミズム)するNi(II)-キノノイド錯体の、結晶構造が特定できていないメタノール吸収前の錯体の結晶構造について、この錯体に適した分子力場を構築して結晶構造探索を行い、得られた構造に対してさらにDFT-D計算を行った結果を実験データと照らし合わせることで、結晶構造を特定することに成功した[J. Phys. Chem. A, 2022, 126, 7687-7694]。 (3)京都大学馬場グループらとの共同研究により、ベンズ(a)アントラセンの基底状態およびS1励起状態について、それぞれの分子構造を、高精度の分子分光実験とDFTおよび結合クラスター計算により得られた回転定数や振動数を元に特定した[J. Chem. Phys. 2022, 157, 234303]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機金属錯体は、中心金属と配位子との組み合わせにより様々な光学特性や触媒活性を呈し、その性質を決定するのは固体であればその結晶構造と、外部刺激による構造変化である。古くから、密度汎関数法を中心とした電子状態計算により結晶構造を再現し、その物性を解明する試みが行われている。一方で、遷移金属を含まない有機分子のみの系では、様々な構造を広く網羅する必要性から、古典的な分子力場による構造解析も多く為されている。有機金属錯体の結晶構造を、古典力場を用いた分子シミュレーション手法により正確に特定することができれば、結晶構造未知の錯体について候補構造を網羅的に探索し安定構造を見出すために要する時間の大幅な短縮が期待できる。 今年度の研究では、東京都立大学波田・中谷グループ、および関西学院大学加藤グループとの共同研究により、メタノール蒸気を選択的に吸収してオレンジ色に呈色(ベイポクミズム)するNi(II)-キノノイド錯体について、既知の結晶構造を再現する分子力場を新たに構築し、これを用いてメタノール吸収前の未知結晶構造について結晶構造探索を行い、得られた構造についてDFT-D計算を行うことでそれぞれの構造の電子状態とエネルギーを求めて、安定構造によるスペクトルを実測データと比較することで結晶構造未知の錯体構造を特定することに成功した。本研究により、系に適した分子力場を用いて結晶構造を探索する有用性が示され、パラメーターセットを作成するノウハウが新たに蓄積された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まず電気通信大学平野グループとの共同研究で、結晶が熱分解することに伴い発光を呈するジフェニルアントラセンについて、溶液中よりも高い温度で分解・発光が生じるメカニズムを、粉末X線回折や熱測定に加えて量子化学計算により明らかにしており、現在論文投稿中である。 また、大阪大学福澤グループおよび星薬科大学米持グループと共同で、ケンブリッジ結晶学データセンターが開催している第7回CSP Blind Testにエントリーしており、今年度中に論文が発表される予定である。本エントリーでは、有機分子の結晶構造間のエネルギー評価にフラグメント分子軌道法を適用しており、その有効性が示されている。 最終年度のまとめとして、昨年度、一昨年度で発表した有機金属錯体用の結晶力場を構築した際に蓄積したノウハウを整備し、これと並行して、力場で求めた構造をフラグメント分子軌道法により再度エネルギー評価を行い、得られたデータを元にパラメーターの再修正を行う枠組みを設計する。これにより、結晶構造探索による予測精度の向上が期待される。さらに、結晶構造の再現や予測だけでなく、結晶相転移などの動的な挙動についても同様に検証し、緩やかな外部刺激により構造変化を引き起こす有機金属錯体結晶について、これを元にした材料設計に資する計算化学システムの構築を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)