Space application of GaN photocatalyst
Project/Area Number |
21K05154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34030:Green sustainable chemistry and environmental chemistry-related
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
坂間 弘 上智大学, 理工学部, 教授 (10242017)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 宇宙コンタミネーション / 光触媒 / GaN / AlN / 失活 / 窒化物 / TiO2 / 酸化物 / 宇宙 / 窒化ガリウム / 汚染 / 水晶振動子マイクロバランス |
Outline of Research at the Start |
宇宙機コンタミとは、宇宙機に使われている有機材料から発生した揮発成分が宇宙機自身に付着したものであり、光学的観測機器のミラーやレンズ等に付着して観測データーの劣化をもたらす。宇宙機コンタミ対策としては、今までできるだけ付着させないようにするという消極的対策しかなかったが、本研究では付着したコンタミを光触媒で分解・除去するという積極的対策の開発を行う。宇宙は真空で原子状酸素、電子線などが満ち溢れており、これらの不利な条件を克服しなければ光触媒を宇宙で使うことはできない。本研究では、地上で利用されている酸化物光触媒に代わり、宇宙での利用が可能な新しいGaN光触媒を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
宇宙で使うことのできる光触媒としては、酸化物は不適当である。これは、反応中に酸化物中の酸素が消費されることによって酸素空孔による欠陥準位が生じ、欠陥準位を介した電子―正孔再結合が促進され光触媒反応が停止してしまうことによる。実際、二酸化チタン(TiO2)や酸化ジルコニウム(ZrO2)は真空中では約2日で光触媒活性を失った。一方、酸素を含まない窒化物光触媒は失活しない可能性がある。そこで、窒化物光触媒として、結晶性の比較的良好な薄膜が得られやすいGaNとAlNを選び、第一段階としてこれらの光触媒の大気中での光触媒活性を評価した。GaN光触媒による水の分解については多くの報告があるが、有機物質の分解に関する報告はほとんどない。そこで、GaNとAlNをサファイア基板上に成長させた薄膜光触媒を使い、その上にメチルレッドをスピンコート法で塗布し、大気中で重水素ランプからのUV光を照射して、照射前後の吸光度スペクトルを分光光度計で測定した。メチルレッドの吸収ピークの最大値を求め、その吸光度をUV光照射時間に対してプロットし、吸光度が照射時間に対して線形的に減少すると仮定して、その傾きから分解速度を求めた。その結果、GaNの場合の分解速度は0.0033(h^-1)で、一方AlNの場合の分解速度は0.0055(h^-1)となり、AlNの方がGaNより分解速度が大きいことがわかった。重水素ランプからのUV光は連続スペクトルを持つため、UV光の吸収率はAlNよりGaNの方が大きいと思われる。にも拘わらずAlNの方が分解速度が大きい理由として、(1)AlNの酸化力がGaNより大きい(正孔エネルギー換算で約2eV大きい)、(2)GaN薄膜に欠陥が多く結晶性が悪い、その結果、光励起された電子と正孔の再結合確率がGaN薄膜の方で大きく、量子効率が小さい、という可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の1つの問題は、水晶振動子上に良質な窒化物光触媒薄膜を作製することに成功していない点であった。一般に、良質な窒化物薄膜を作製することは難しい。2年目もそれに努力したが結局目標を達成することはできなかったので、とりあえず市販の薄膜を導入することで課題を解決した。その結果、GaNとAlNの大気中での光触媒による有機物分解に成功し、その結果、AlNの方がGaNよりも分解速度が大きいことを見出した。このような比較を行った例は今までになく、初めて得られた知見である。一方、QCM法によって有機物の質量を測定することで分解を見る手法の確立がもう1つの課題であった。これに関しては、前年度に水晶振動子にUV照射を行った際に共振周波数が減少するという現象を見出し、それが光をあてたことによる局所的な温度変動によるものであることを示した。しかし、それによる周波数変化が実際の分解による周波数変化よりも大きいために、精度よく分解過程を検出できなかった。そこで、今年度は銅を用いたQCMホールダーを新たに設計し、それに温度制御した水を流し水晶振動子を冷却することで水晶振動子の温度変動を小さくすることに成功した。これが2年目の1つの成果である。しかし、温度以外の要因での急激な周波数変動がありその理由が不明なため、まだ測定法確立には至っていない。当初計画では初年度にQCM による測定法を確立する予定であったので、その予定が2年目にずれこんだことで全体の予定が遅れている。また、水晶振動子上に良質の窒化物薄膜を作製するという命題は未解決のままである。3年目はこれを何とか解決したい。そして、3年目には、窒化物光触媒による有機物汚染の真空中における分解実験を行い、本研究の本来の目的である、二酸化チタンなどの酸化物光触媒と比べた場合の宇宙利用の点での窒化物薄膜の優劣を判定したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目(最終年度)は、まずQCM上に良質な窒化物薄膜を作製することに挑戦する。2年目まではこれに失敗していたが、解決の糸口はある。並行して行っている研究で、二酸化チタン薄膜をQCM上に成長させるとやはり非晶質になりうまくいかなかったが、年度終わりになってそれがQCM基板の電極となっている金が薄膜中に拡散しているためであることが判明した。金の拡散が起こるのは、堆積後の薄膜の焼成温度が高すぎたためであることが予想されたので、結晶性の二酸化チタンができる最低の温度である350℃で成長を試みた結果、金の拡散が防げ、同時に結晶性の薄膜を得ることができた。したがって、良質な窒化物薄膜が得られないのも同様の理由である可能性がある。解決策としては成長の低温化である。成長のために何度まで下げることができるかは不明であるが、試行錯誤で金の拡散が起こらず成長が可能である温度を見つけたい。それが達成できれば、QCMによる質量減少を使って、真空中での窒化物光触媒による汚染分解過程を定量的に測定できると思っている。しかし、その目論見がはずれて、低温化しても良質の窒化物薄膜をQCM上に成長できないかもしれない。その場合は、2年目に行ったのと同じく市販の窒化物薄膜を使い、光吸収スペクトルを測定することで分解過程を観察する。時間の余裕があればGaNよりもバンドギャップが大きな非酸化物を試す。具体的にはハロゲン化物が有望である。しかしそのほとんどは光触媒としての評価がされていない。ただし、ハロゲン化物の薄膜を作製するノウハウがない。そこで、まず市販されているハロゲン化物の粉末を購入し、光触媒としては不活性なSiO2膜をバインダーとして粉末を定着させる。二酸化チタンの場合は定着に成功している。この方法によりそれらのハロゲン化物粉末光触媒が宇宙機コンタミ除去用として使えるのかどうか見極めをつけたいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)