イオン液体の調湿機構解明による省エネ・イオン液体調湿空調機の開発
Project/Area Number |
21K05159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34030:Green sustainable chemistry and environmental chemistry-related
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Research Institution | Toyota Physical and Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 敏幸 公益財団法人豊田理化学研究所, フェロー事業部門, フェロー (50193503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | イオン液体 / 吸湿性 / ナノ構造体 / 小角X線散乱スペクトル / トリアゾリウムイオン液体 / ピラゾリウムイオン液体 / 平衡水蒸気圧 / ジカチオン性第4級アンモニウムリン酸ジメチル / 金属腐食性 / 調湿性 / 水蒸気吸放出機構 / 空調機 / 省エネ |
Outline of Research at the Start |
省エネは創エネと同等の価値を持ち,省エネ空調機の開発は環境保全技術の観点からも重要な課題である。液式調湿空調機は現在主流のコンプレッサー型空調機に較べて80%以下の消費電力で運転できる省エネ性能に加えて,換気を行いつつ調湿空調を行うという特長を持つため,新型コロナウイルスなどの室内感染を防ぐために有効な空調機である。ところが,現行の液式調湿空調機は高価な製品で普及が進んでいなかった。本研究では液式調湿空調機の調湿材としてイオン液体に着目し,イオン液体水溶液の水蒸気吸放出機構を解明し,液式調湿空調機に適したイオン液体のデザイン指針を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在,世界では1億台以上のエアコンが稼働しているとされ,省エネエアコンの開発はサスティナブル社会実現のために重要な課題である。液式調湿空調機は現行のコンプレッサータイプの空調機に較べて低消費電力であり換気しながら空調を行うことができるという特徴のために感染症対策に有効な空調機になると期待されている。ところが,現在の液式調湿空調機は30%塩化リチウムを調湿材として使用しているが,リチウムは産出国が偏在する元素である。そこで,塩化リチウムに替わる新たな液式調湿空調機の調湿材を探索するためイオン液体に着目した。初年度は第4級アンモニウム塩のジメチルリン酸イオン液体が優れた吸水性を示すことを明らかにした。この結果を基盤に昨年度は吸湿機構解明に焦点を当てて研究を行い,イミダゾリウム,ピラゾリウム,123-トリアゾリウム,124-トリアゾリウムカチオンとリン酸ジメチルの組み合わせからなる26種のイオン液体を合成して吸湿性能を調べた。その結果,従来最高の吸湿性を示した第4級アンモニウム塩を凌駕する吸湿性を示すイオン液体が見つかり,ジカチオン性のピラゾリウム塩,124-トリアゾリウム塩は,塩化カルシウムと比較してモル当たり吸湿能で20倍以上の吸湿性能を示すことがわかった。また,124-トリアゾリウム塩イオン液体の吸湿性はカチオン部の疎水性アルキル側鎖が長くなると向上した。そこで,124-トリアゾリウム塩イオン液体について小角X線散乱測定を行ったところ,特有のナノ集合体を形成しており,このナノ構造体中に水分子が取り込まれることがわかり,従来,存在が推定されていたイオン液体集合体中のwater pocketの存在を実証することができた。さらに,ナノ構造体は水分量を増やしていくと相転位を起こすこともわかった。イオン液体の吸湿性の起源の解明に大きな手がかりを得ることができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
イミダゾリウム,123-トリアゾリウム,124-トリアゾリウム,ピラゾリウムイオン液体を合成しその吸湿性を評価した結果,昨年までに見いだしていた第4級アンモニウム塩イオン液体を凌駕する吸湿性を持つイオン液体を合成することができた。次に,吸湿機構を調べるために小角X線散乱スペクトルを測定した結果,イオン液体のナノ集合体中に水分子が取り込まれて捕捉されるスペースが存在する事を突き止めた。従来,イオン液体中にwater pocketが存在することがMDシミュレーションで提唱されていた。今回,初めてwater pocketが確認できたことになり,イオン液体の吸湿機構解明に向けて重要な知見が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究でイオン液体が集合して生じるナノ構造体が吸湿機能発現の鍵になっていることがわかった。また,この過程でピラゾリウムイオン液体の吸湿性が124-トリアゾリウム塩に類似していることがわかった。本年度はピラゾリウムイオン液体に注目して吸湿機構を調べ,124-トリアゾリウム塩イオン液体と同様のwater pocketが存在するか調べることで,イオン液体の吸湿機構を解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Temperature Driven Current-Voltage Characteristics of Ionic Liquid Type Intelligent Connection Device2022
Author(s)
Kobayashi,M.; Orii, Y.; Shima, H.; Naitoh, Y.; Akinaga, H.; Sato, D.; Matsuo, M.; Kinoshita, K.; Nokami,T.; Itoh, T.
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Journal Title
IEEE J. Electron Devices Society
Volume: 10
Pages: 893-897
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dynamic Nonlinear Behavior of Ionic Liquid-based Reservoir Computing Devices2022
Author(s)
Matsuo, T.; Sato, D.; Koh, S-G.; Shima, H.; Naitoh, Y.; Akinaga, H.; Itoh, T.; Nokami, T.; Kobayashi, M.; Kinoshita1, K.
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Journal Title
ACS Applied Materials & Interfaces10
Volume: 14
Issue: 32
Pages: 36890-36901
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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