希土類元素導入ペロブスカイト系太陽電池の最適組成の理論的探索と導入効果の検証
Project/Area Number |
21K05261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
鈴木 厚志 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (30281603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 光起電力特性 / 希土類元素 / 第一原理計算 / 電子構造 / 分子動力学 / X線回折 / 太陽電池 / エネルギー変換材料 / 無機デバイス関連材料 / バンド構造 |
Outline of Research at the Start |
ハロゲン化鉛系ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽電池よりも優れた開放電圧、高い光電変換効率を有しているが、短絡電流密度や長期安定性に乏しく、実用化する上で光活性層であるペロブスカイト結晶の劣化抑制、界面改善、電子構造制御による性能向上が求められている。本研究は、希土類元素の導入により長期安定性かつ高性能なペロブスカイト太陽電池の開発を行うことを目的とする。希土類元素導入により光活性層の劣化を改善しながら性能向上と長期安定化を行う。第一原理計算による材料設計と導入効果の実験的検証を行う。電子構造、格子振動、熱力学的安定性を考慮しながら材料設計・性能予測を行い、高性能な太陽電池を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ハロゲン化鉛系ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽電池よりも優れた開放電圧、高い光電変換効率を有しているが、長期安定性に乏しく、実用化する上で光活性層であるペロブスカイト結晶の劣化抑制や界面の構造最適化や電子構造制御を行い、性能向上が求められている。 本研究は、希土類元素の導入により長期安定性かつ高性能なペロブスカイト太陽電池の開発を行うことを目的とする。光活性層であるペロブスカイト結晶の電子構造解析から性能を予測し、光起電力特性、表面形態の観察や結晶構造解析から性能評価を行った。希土類元素 (Eu, Gd, Nd) やハロゲン化アンモニウム化合物の導入により光活性層の劣化を抑制しながら性能向上と長期安定化を行った。第一原理計算法により価電子帯、伝導帯付近のバンド構造から有効質量やバンドギャップEgを予測し、キャリア移動や開放電圧の改善を予想した。希土類元素のd軌道と配位子のp軌道の重なりから電荷移動の促進が予想され、Eu, Gd導入によりキャリア移動や電荷移動、短絡電流密度が改善し、変換効率が上昇することを予測した。分子動力学計算によりペロブスカイト結晶の熱力学的安定性や分子運動性を検討した。希土類元素 (Eu, Gd) 導入により安定性が向上し、有機カチオン脱離による分解を抑制することを予測した。Eu, Gdの酸化還元反応やシラン化合物およびフタロシアニン錯体の導入により光活性層の劣化を改善しながら性能向上と長期安定化を行った。希土類元素導入ペロブスカイト結晶の材料設計および性能予測により長期安定性かつ高性能なペロブスカイト太陽電池の開発が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペロブスカイト結晶の電子構造や安定性を考慮しながら性能向上のための材料設計を行った。第一原理計算によるペロブスカイト結晶の電子構造に関する希土類元素導入効果を検証した。ペロブスカイト結晶の価電子帯、伝導帯付近にEu, Gdイオンのd, f軌道が寄与し、配位子への電荷移動が促進することを予測した。Eu, Gd原子の導入により有効質量、キャリア移動、バンドギャップEgが改善し、短絡電流密度、開放電圧、変換効率が向上することを予測した。ペロブスカイト結晶の熱力学的安定性や分子運動性、拡散過程を分子動力学計算により検討した。ペロブスカイト結晶中の有機カチオンやH+の脱離がEu, Gd導入により抑制され、結晶の安定性が向上することが予測した。 第一原理計算の結果に基づき、希土類元素を導入したペロブスカイト太陽電池を作製した。光起電力特性、長期安定性、表面形態、結晶配向性などの性能評価を行い、導入効果を検証した。Eu, Gdを導入したペロブスカイト太陽電池の光起電力特性を評価したところ、短絡電流密度、変換効率ともに上昇し、長期安定性を示した。ペロブスカイト層の結晶性や配向性がEu, Gd導入により改善した。実験から計算予測を実証することができた。一方、Sm, Tb, Ceの導入系の場合、光起電力特性の測定結果から短絡電流密度や変換効率の低下を確認した。経時変化とともに劣化を引き起こし、変換効率の低下を示した。他の希土類元素の導入効果についても同様に検証を行っている。 加えて、ホール輸送層にフタロシアニン錯体を導入することにより光活性層の劣化を抑制しながら性能の長期安定化を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
希土類元素導入系ペロブスカイト結晶の材料設計と性能予測:Gd、Ndを導入したCsLnX3系、Cs2LnCl6 (Ln = Gd, Nd)、FAPbI3ペロブスカイト結晶を設計する。電子構造、分子運動、格子振動、フォノン分散、誘電特性を考慮しながら性能予測を行う。Gd、Ndの酸化還元反応を利用したペロブスカイト結晶の劣化抑制効果や熱的安定性も検証する。第一原理計算から得られた基礎データーに基づいてJV特性やEQEおよび暗電流特性を予測し、実験結果と比較検討を行う。
光起電力特性:Gd, Ndを導入したCsLnCl3系、Cs2LnCl6, FAPbI3系ペロブスカイト結晶の製膜、熱処理条件を最適化しながら太陽電池セルを作製する。光起電力特性(JV特性)、外部量子効率(EQE)から性能評価を行う。性能の経時変化から安定性について評価する。目標値は変換効率10%, 長期安定期間1か月以上とする。JV特性やEQEおよび暗電流特性からデバイスシミュレータを用いて解析し、光起電力機構を明らかにし、導入効果を検討する。
表面形態観察と表面分析評価、結晶構造解析:光学顕微鏡、SEM/EDX、STM/STS、レーザー顕微鏡を用いてペロブスカイト薄膜の表面形態や凹凸、組成分布を評価し、希土類元素導入によるペロブスカイト結晶の界面の不動態化について検証する。ペロブスカイト層の結晶性や配向性はX線回折を用いて評価する。変換効率の経時挙動や劣化過程から安定性を評価する。光活性層の表面形態学上の特性から光起電力特性や耐久性に及ぼす要因を明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)