Project/Area Number |
21K05381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 紅 京都大学, 高等研究院, 研究員 (70401213)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ABCタンパク質 / 細胞内管状膜構造 / ABCC6(MRP6) / ATP / 弾性線維性仮性黄色腫(PXE) / 管状膜構造 |
Outline of Research at the Start |
細胞膜は細胞表面を覆うだけでなく、ときに細胞内部に深く陥入し、管状の膜構造を形成する。しかし、細胞がなぜこのような管状膜構造をもつのか、その存在意義についてはほとんど明らかになっていない。本研究は、膜タンパク質であるABCタンパク質に注目して、細胞内管状膜構造の形成機構と機能に迫ろうとするものである。さらに、管状膜構造内腔への基質輸送を解析することで、管状膜構造の生理的意義を明らかにすることを目指す。方法論的には、48種類のヒトABCタンパク質遺伝子プールを利用し、生化学的、細胞生物学的手法に加え、1分子イメージング法を駆使する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ある種の細胞は、その内部に多数の管状膜構造(tubules)を有することがある。これらの管状構造は、細胞膜が内部へと細長く陥入したもの、あるいはリサイクリングエンドソームが管状に長く伸びたものとして観察され、その内腔はトポロジー的に細胞外部と同等である。細胞膜と連続した管状の膜構造としては、筋細胞における横行小管(T管:transverse tubule)が知られている。横行小管は、筋細胞膜の活動電位を速やかに筋小胞体に伝達してカルシウムイオンを放出させ、筋原線維を一斉に収縮させるための構造であるが、筋細胞以外の細胞においては、細胞が何のために自らの内部にこのような管状膜構造をもつのか、その生理的意義について不明な点が多い。本研究は、細胞内管状膜構造を一種のオルガネラとしてとらえ、ABCタンパク質(ATP-binding cassette proteins)を手掛かりとして、その生理的意義と形成機構を明らかにしようとするものである。 令和5年度は、前年度に引きつづきABCタンパク質のひとつABCC6(MRP6)に着目して研究を進めた。ABCC6は弾性線維性仮性黄色腫(PXE)の原因遺伝子産物であり、ATP加水分解依存的に細胞外へのATP排出を促進する膜タンパク質である。HeLa細胞等にABCC6を発現させた際に観察されるABCC6-positive管状膜構造を、C6-tubuleと名付けて解析を進めている。生細胞におけるC6-tubule動態を観察したところ、C6-tubuleは伸展と退縮を繰り返す動的な膜構造であった。細胞内ATPを枯渇させると、C6-tubuleの伸展と退縮は抑制された。また、これまでABCC6のネガティブコントロールとして用いていたMM変異体は安定性が悪く発現量が低かったため、新たにEQ変異体を作成して解析を行った。さらに、C6-tubule形成を抑制するABCタンパク質を見出し、その抑制メカニズムの解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】において述べたように、令和5年度には主にABCC6(MRP6)に注目した研究を行い、C6-tubule動態に関する知見を得た。また、ABCC6安定発現HeLa細胞において、細胞外ATP刺激に対する細胞内カルシウム応答に変化が生じていることを見出した。令和5年度の結果により、C6-tubule内腔がシグナル分子と受容体との結合の場として機能し、細胞が自らの内部に引き入れた狭小な外部環境を利用してシグナル伝達を調節している可能性が示唆された。これは、細胞内管状膜構造の生理的意義に迫る進展である。さらに、C6-tubule形成を抑制するABCタンパク質を見出し、その抑制メカニズムの解明に取り組んでいる。 以上、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
<C6-tubule内腔におけるATPの可視化解析>FRETを利用したATP可視化プローブを用い、C6-tubule内腔におけるATP濃度を評価する。 <ATP受容体の解析>C6-tubule膜に発現しているATP受容体を同定し、C6-tubule内腔においてATPがシグナル分子として機能していることを示す。 <細胞内カルシウム応答の解析>C6-tubuleをもつ状態ともたない状態を作り出し、細胞外ATPに対するカルシウム応答に与える影響を検討する。 <HepG2細胞におけるC6-tubule動態の解析>極性を獲得したHepG2細胞においてC6-tubuleの動態観察を行い、C6-tubuleがbasolateral側へ連続していることを確認する。
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