ウルトラファインバブルを用いた乳化剤フリーエマルション作製技術に関する研究
Project/Area Number |
21K05479
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
|
Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
多田 佳織 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (10611775)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西内 悠祐 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (00455172)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | ウルトラファインバブル / エマルション / 乳化剤フリー / 分散安定性 / 乳化剤 / ファインバブル |
Outline of Research at the Start |
食品分野等で広く利用されている乳化分散において、液滴を微細化させ分散安定性を高める目的に乳化剤(界面活性剤)を添加する一方、多量の乳化剤の添加は製品の品質や風味の低減、安全性の低下を引き起こす。これらの課題に対し、乳化剤を使用しない、あるいは使用量を削減するための乳化分散技術が求められている。 本申請では、この乳化剤に替わる素材として1 μm未満の気泡であるウルトラファインバ ブル(UFB)を活用する。現状までの研究では、 液滴とウルトラファインバブルの比率が「丁度良い」場合に高い分散安定性を示した。本申請では、透過度や粒度分布、ゼータ電位等の計測と評価から最適なUFBの条件を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
食品分野等で広く利用されている乳化分散において,液滴を微細化させ分散安定性を高める目的に乳化剤(界面活性剤)を添加する一方,多量の乳化剤の添加は製品の品質や風味の低減,安全性の低下を引き起こす。これらの課題に対し,乳化剤を使用しない,あるいは使用量を削減するための乳化分散技術が求められている。 本申請では,乳化剤に替わる素材としてウルトラファインバブルを導入した乳化分散技術の研究開発を進めている。ウルトラファインバブルとは 直径 1 μm以下で定義されている微細な気泡であり,通常の気泡とは明らかに異なる特徴を示すことが知られている。ウルトラファインバブルはその微小さから長期間溶液中で分散することが確認されており,ウルトラファインバブルは液中で単独で存在するよりも,そこに存在する油滴や固体に付着してより安定的に存在すると考えられている。更にウルトラファインバブルは弱酸性からアルカリ領域でマイナスの電荷を帯びることが分かっており,その帯電性(静電的な反発性)をもって合泡化が阻害される。本申請では,この現象を逆転的に捉え,連続相にウルトラファインバブルを加えて油滴を付着させ,ウルトラファインバブルが持つ合泡阻害を乳化剤の代用とした利用を検討しており,ウルトラファインバブルを導入した乳化分散技術を用い,乳化剤低減あるいは不要とする乳化分散安定化技術の検討を進めている。 今年度は“分散相(水中に分散させる油分)を変更した場合のウルトラファインバブルの分散挙動の評価”および“乳化剤入りエマルションとUFBにおける分散挙動の比較”についての評価をおこなった。その結果,ウルトラファインバブルを用いない系,連続相にウルトラファインバブルを用いた系,またその比率を変化させた系のそれぞれにおいて,乳化分散挙動に差異がを確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は2項目について検討した。 まず,分散相(水中に分散させる油分)を変更した場合のウルトラファインバブル(UFB)エマルションの分散挙動の評価について評価をおこなった。 今回UFB含有エマルション作製にあたり,分散させる油分を香料として使用されているラベンダーを用い(生成するエマルション溶液に対し体積換算で1 vol.%となるように導入),連続相には超純水およびUFB水(原水は超純水)を使用した。今回使用したUFBの数密度は5.2×107 個/mLであった。他の比率については超純水を加水することによって調製した。保存環境は恒温槽(25°C)とし,作製したエマルションの分散挙動について評価した。UFBを用いない系,連続相中のUFB比率を変化した系において乳化分散挙動に差異が見られ,分散相を変化させた場合でも,UFBが乳化剤として活用できる評価(可能性)が得られた. 次に,乳化剤入りエマルションとUFBにおける分散挙動の比較について検証をおこなった。 エマルション作製の際、連続相は超純水及びUFB水とし,UFBの数密度は1.8×108 個/mLであった。分散相はラベンダー香料を主成分とし,ラベンダー香料とノニオン系乳化剤(マーポンACF-7),アニオン系乳化剤(マーポマーセPT)の三種を混合したプレミックス液を用い,体積換算で1 vol.%のエマルションを作製した。プレミックス液の割合は先行研究より,分散相1 vol.%中の乳化剤比率を20,40 %とし,試料保存環境は恒温槽(60°C)とした。 結果としては、乳化剤比率40%では乳化剤の効果が大きくUFBの有無による優位な差は得られなかったが,乳化剤比率20%ではUFBの有無において乳化分散挙動に差異が見られた。以上のことから,UFBの特性により乳化剤のような働きを示し,乳化剤の低減に期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後もウルトラファインバブルエマルションの分散挙動を検証を進めることで,ウルトラファインバブルが乳化剤の代替えとして使用可能であるかの知見の充足を目指す。 令和3年度では乳化分散に適したウルトラファインバブルの状態について検証を実施し,令和4年度では分散相(水中に分散させる油分)を変更した場合のウルトラファインバブルエマルションの分散挙動の評価と乳化剤入りエマルションとウルトラファインバブルエマルションにおける分散挙動の比較について検証を進めてきた。これまでの研究結果からウルトラファインバブルの乳化剤の代替えとして活用できる可能性が見えてきた。しかし、令和4年度の研究計画に上げていた“異なる気体種を用いたウルトラファインバブルエマルションの検討”については十分な研究成果を得ることができなかった。今年度は引き続きウルトラファインバブルを作製する際の気体種を変更した場合、エマルションの分散挙動にどのような影響をおよぼすかを検討する。空気以外の気体種にした場合であってもウルトラファインバブルエマルションの分散性や分散安定性が良い傾向が見られると新たな用途として期待している。今年度は気体種として窒素を導入した場合,これまでの空気ウルトラファインバブルと同様に窒素ウルトラファインバブルが乳化剤の替わりとして機能するか検討する。また、気体種を窒素にすることで、窒素ウルトラファインバブルが存在が酸化防止剤として役割を果たすのか検討する。窒素ウルトラファインバブルが酸化防止剤としての役割を果たすことができれば様々な分野への活用に繋がる。 その他、令和4年度で実施した内容についても補足実験を実施する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)