Project/Area Number |
21K05506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新屋 友規 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (80514207)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 植物-昆虫間相互作用 / 植物免疫 / 細胞壁 / イネ / 植食性昆虫 / 腸内細菌 / エリシター |
Outline of Research at the Start |
昆虫の食害に対する植物の認識系は、植物免疫機構の最前線で効果的な防御応答の誘導に重要な役割を果たしている。本研究では、昆虫食害時に産生する植物細胞壁由来断片が、植物の自己組織の損傷という危険信号として機能すると考えた。この仮説を検証するため、イネを食害するクサシロキヨトウ幼虫を用いた系で研究を展開する。細胞壁の分解においては昆虫腸内細菌に由来する酵素の重要性に注目して、危険信号の産生分子メカニズムを明らかにするとともに、植物の危険信号認識機構に迫る研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物は外敵との攻防において、外敵を適切に認識することで効果的に防御機構を駆動する。植食性昆虫の食害時には、植物自身の損傷にともない様々な植物由来の断片分子が生じ、その一部がエリシターとして植物に認識されることが知られている。近年、我々も植物細胞壁由来の新規糖鎖エリシターを、イネとイネを食害するクサシロキヨトウの相互作用系から見出していた。本研究では、イネ細胞壁損傷におけるクサシロキヨトウ腸内細菌の関与に注目して、植物由来糖鎖エリシターの食害時産生メカニズムを明らかにするとともに、植物の昆虫エリシター認識機構に迫る研究を行うことを目的としている。 これまでに、クサシロキヨトウの腸内細菌がイネ由来エリシター産生に関与していることを明らかにしている。さらに、クサシロキヨトウの腸内細菌の菌叢解析を行い、腸内細菌の一部が、当該糖鎖エリシター産生に関わる酵素を有していることを明らかにしていた。令和5年度は、クサシロキヨトウと他の害虫の腸内細菌叢の比較解析を進めた。その結果、当該エリシター産生酵素の遺伝子を有する、クサシロキヨトウ腸内で見出された細菌種が、他の昆虫腸内においても存在することが明らかになった。さらに、当該エリシター産生酵素の遺伝子は、広く微生物に存在することも確認した。以上のことから、本研究で見出した「腸内細菌の昆虫食害認識への関与」がイネ-クサシロキヨトウ相互作用だけでなく、他の植物-植食性昆虫間の相互作用においても存在する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、イネの食害認識に関わる植物由来エリシター産生において、クサシロキヨトウ腸内細菌がどのような役割を果たすか、分子メカニズムに関する多くの成果を得た。本研究の主要な目的の一つである「植食性昆虫の食害認識における腸内細菌の関与」について研究計画に沿って達成されたと考えている。また、イネの食害受容機構について、現在までに一定性の成果を得ているが、引き続き解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
イネの当該糖鎖の認識機構の理解に向けて、関与する受容体や膜タンパク質の同定に向けた実験を行う。応答解析としてリーフディスクや幼植物体を用いた簡易な昆虫エリシター応答解析系の構築を進めており、引き続き実験系の最適化を行うとともに、候補遺伝子の欠損変異体を用いた解析を行う。また、当該エリシター認識・応答解析に加え、新たな昆虫エリシターの解析を推進する予定である。植食性昆虫の食害認識における腸内細菌の関与について、これまで得られた成果をまとめ学術誌へ投稿する。
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