A novel regulatory mechanism of the function of tumor suppressor p27 by a nucleolar protein NPM1.
Project/Area Number |
21K05510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
千葉櫻 拓 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (30227334)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 細胞増殖制御 / p27 / NPM1 / p53 / タンパク質分解 / 足場非依存的増殖 / 細胞遊走・浸潤能 / がん転移 / タンパク質間相互作用 / ARF |
Outline of Research at the Start |
細胞増殖のブレーキ因子であり、がん抑制因子でもあるp27の機能制御は、動物細胞の増殖制御に重要であり、その破綻はがん化の要因の一つである。本研究は、新規に分離したp27の抑圧因子NPM1によるp27機能制御の分子機構について、細胞レベル及び動物個体レベルで解明するとともに、多種のがんにおいてNPM1によるp27機能抑圧が普遍的であるかを明らかにするものである。さらに、p27-NPM1間の相互作用を干渉することによってp27機能の回復を試み、p27の機能制御を標的とした新規抗がん戦略の有効性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
NPM1によるp27機能抑圧機構:前年度にNPM1のp27相互作用部位として3箇所のアミノ酸残基が示唆されたため、当該箇所の置換変異体とp27との動物細胞内相互作用を免疫沈降法により解析した結果、内在性NPM1発現下では外来性NPM1-p27相互作用が検出されず、内在性NPM1発現抑制下で変異体の相互作用低下が示された。NPM1は細胞内の液-液相分離に関与することから、p27との相互作用も液-液相分離を介しており、細胞破砕液中では検出されにくいと考えられた。また、NPM1抑制因子ARFとp27機能との相関性を検証するため、ARF遺伝子の破壊および外来性導入を試みたが、前者はARF遺伝子領域の別遺伝子との重複、後者はARFの増殖抑制機能のため実現困難であった。 p53によるp27安定化機構およびp27発現とがん細胞表現型との相関性:前年度より、p53欠損によるp27タンパク質分解の促進、足場非依存条件下でのp53依存的なp27によるがん細胞増殖抑制が示唆されたため、p27の新規制御機構として重要と考え、積極的に研究を推進した。まず、p53はp27のポリユビキチン化非依存・プロテアソーム依存的分解を抑制することが示唆された。次に、p27の10番目セリン残基(S10)または187番目スレオニン残基(T187)の非リン酸化型変異により、p53欠損下でのp27分解が抑圧された。S10およびT187のリン酸化は各々異なるポリユビキチン化経路を誘導するが、p53に抑制されるp27分解系はこれらと同じシグナルに依存する未知の機構であることが示唆された。 p27とがん細胞表現型の相関については、創傷治癒アッセイにより遊走能を、トランスウェルアッセイにより浸潤能を検証した結果、両表現型ともp27の誘導発現により抑制された。また、マウスがん異種移植系においてp27の誘導発現により転移が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPM1-p27相互作用機構およびARF-NPM1-p27制御経路の分子解析については、いずれも上記の技術的・生理学的な問題があり、当初予測された成果には至ってないが、既に相互作用機構の概要とARFによるNPM1-p27制御機構は2021年度の成果として論文発表(*)したため、詳細な分子解析は一旦中断することとした。一方、昨年度より研究テーマの新機軸としたp53によるp27分解抑制機構と足場非依存下でのがん細胞表現型に対するp27の抑制機能については、順調に成果が得られており、多くのがんにおいて機能欠損しているp53とp27との関係性や、p27が細胞増殖のみならずがん細胞の遊走能・浸潤能・転移能を抑制するといった、新規の知見が蓄積してきた。また、動物個体におけるin vivo解析も順調に進んでおり、マウス以外に発育鶏卵を用いる異種移植系を新たに開始した。発育鶏卵は安価であり、短期に多くの検体を扱うことが可能である。現在、マウス異種移植系より得られた結果と同等の結果が得られてきており、今後のがんの増殖・転移アッセイ等に有効と考えられる。 *Differential regulation of p27Kip1 depending on culture conditions and its correlation with status of p14ARF and p53. Kometani T, Kawasaki Y, Chibazakura T. Genes Cells, 27: 229-237 (2022).
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Strategy for Future Research Activity |
新規に見出したp53によるp27分解抑制機構とp27による足場非依存下でのがん細胞表現型の抑制機構に注力して研究を推進する。 p53によるp27分解抑制機構については、まずp53欠損下でのp27のS10およびT187のリン酸化状態を解析し、リン酸化の亢進が見られればそれを担うキナーゼの発現・活性化に対するp53の影響を検証する。また、それぞれのリン酸化を認識する既知因子のp53欠損下での発現やp27との相互作用を解析し、既知の分解経路との相関性を検証するとともに、p53欠損下でS10またはT187特異的にp27と相互作用する因子を免疫沈降-プロテオーム解析により探索する。さらに、ポリユビキチン非依存プロテアソームである20Sの関与について、20S特異的阻害剤等を用いて検証する。 p27によるがん細胞表現型の抑制機構については、まず既知の遊走・浸潤・転移関連遺伝子群のp27誘導発現下での発現を転写・タンパク質レベルで解析する。その際、足場依存的(通常ディッシュ培養)・非依存的(軟寒天培養)条件で比較し、足場非依存下特異的なp27制御標的因子を探索する。そのために軟寒天培養検体からのmRNAおよびタンパク質抽出が必須であるので、それらの実験系を確立する。十分量のmRNA・タンパク質が得られれば、さらにトランスクリプトーム・プロテオーム解析による網羅的探索に着手する。また、発育鶏卵において、がん細胞の静脈注射による転移アッセイ系を確立する。これにより、腫瘍増殖への影響を介さず、転移能そのものへのp27誘導発現の効果を検証する。さらに、鶏卵漿膜へのがん異種移植系・静脈注射系ともに、腫瘍および転移部位における既知の遊走・浸潤・転移関連遺伝子群の発現をRT-qPCR法により転写レベルで解析する。以上より、in vivoにおけるがん細胞表現型のp27による抑制機構を明らかにしていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)