リンゴの果実発達に及ぼす外的・内的要因の解明:変形果実の発生軽減に向けて
Project/Area Number |
21K05556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田中 紀充 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40559259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 貞男 岩手大学, 農学部, 教授 (00333758)
渡邉 学 岩手大学, 農学部, 助教 (00361048)
大城 克明 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所果樹研究センター, 副主幹研究員 (20523103)
小林 達 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 農林部門, 主任研究員 (50700366)
舟橋 志津子 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所果樹研究センター, 主任研究員 (50523106)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | リンゴ / 果実成長 / 変形果実 / 温暖化対策 / 変形果 / 果樹 / 偽果 |
Outline of Research at the Start |
日本のリンゴ生産量が第1位の‘ふじ’は収穫期が近づいてくると変形果実が発生する性質がある。果実の変形を防ぎ、良好な果実に成長させるには5本の柱頭にまんべんなく受粉し、5心室すべてで種子形成させることが一番良い方法だと考えられてきた。しかし、これまでの申請者らの調査により、偏った種子形成だけでは果実の変形を説明できない事例が示された。果実の変形は上述の受粉不足を唱えるだけで注目されて来なかったため、調査研究および対策が全く手つかずの状態である。本研究では、リンゴの果実成長に及ぼす生理学的な内生・外生の刺激について解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
・リンゴの開花後からの袋かけ処理では、袋掛けによる成長抑制の影響を受けるのは主に6月~7月であると推測される。6月と7月において、袋掛け期間中の成長が縦径・横径ともに遮光性のある2重袋処理で抑制されていたが、日射量の低い環境は一時的に果実成長を抑制させると考えられる。また、5月の袋掛けは果実成長を促進していたことから、初期成長時の温度上昇は果実成長を促進させる。 ・リンゴの栽培されている数品種で種子と果実重・果形の関係を調査したところ、果実成長の細胞分裂には品種間差があった。果実の果肉部分の細胞分裂に部位による違いがみられ、これも品種間で違いがみられた。 ・IAA、GA3、CPPUを細胞分裂期のリンゴ果実に単用、もしくは併用で処理しても、果実の大きさおよび果形にはほとんど影響がなかった。一方、細胞分裂期におけるPGRs処理は果肉細胞の大きさや形に影響を及ぼした。その中でも、細胞分裂期のGA3とCPPU併用処理はがくあ部の細胞肥大を促進した。 ・ポット樹に対して満開後11~20日の平均気温を15.8℃または20.5℃として温度処理したところ、15.8℃では細胞分裂期間が満開後30日間と長く、細胞数が多かった。一方、20.5℃では細胞分裂速度は速かったものの、細胞分裂期間が満開後20日間と短く、最終的な細胞数が少なかった。横径では温度処理直後は温度の高い21.7℃の方が大きかったが、最終的な果実サイズは細胞数が多い15.8℃の方が大きかった。縦径は横径と異なる反応を示し、温度処理直後から15.8℃の方が大きく、一貫してLD比は15.8℃の方が高かった。 ・発芽期から結実後まで高温に遭遇した果実の変形果率に一定の傾向は見られなかったが、高温区は対照区より舟形果、扁平果、平行四辺形果の割合が高かった。また、高温区は1果あたりの含種子数が対照区より多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[田中]リンゴの開花直後からの袋掛けは顕著に果実成長を低下させた。また、開花後の果実への遮光2重袋を用いた果実成長は6月~7月の期間処理で著しく悪くなったことから、果実成長には温度も重要ながら6月~7月の日射量が果実成長に大きく影響することが示唆され、果実における光合成が果実成長に重要である可能性が示された。 [小森] (1) ‘ふじ’等の果実肥大モデルはほぼ作成できた。(2) 果実細胞の形状が部位別に変化する過程は既に把握しており、果実変形の原因解明に着手している。(3) 果実肥大に及ぼす種子の影響について統計解析中である。 [渡邉] ‘ふじ’の幼果期における植物ホルモンの外生処理により果肉細胞の細胞分裂期では細胞数と細胞形が変化していることを明らかにすることができた。 [小林]暖地の果実は扁平で寒冷地の果実は縦長と言われるが、細胞分裂期間中の温度も影響するものと考えられた。この傾向はこれまでの温度処理実験のなかでみられていたが、いずれの年も生育に伴って差が徐々に縮まり、収穫時にはLD比に差がなかった。本年は温度処理直後の6月から高温傾向が続き、暖地に近い気温だったことも影響した可能性がある。また、本年は人工気象器による温度処理で例年みられていた早期落果が確認されず、光合成有効放射が人工気象器よりも多かったことが影響したと考えられた。 [舟橋] 斜形果は含種子数が少ないほど発生率が高くなる傾向があった。発芽期から結実後までの高温は種子形成が良好になり含種子数が増加する一方、斜形果以外の変形果が増加する要因となる可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
[田中]2023年度は温度計に不具合があり、計測できなかった。リンゴの果実成長についての基礎的な知見について、温度、日射量について詳細に解析を進めていく。年度に間に合うように論文を作成し、投稿する。 [小森] (1) ‘ふじ’と‘黄香’の果実肥大モデルについて論文を作成し投稿する。(2) ‘ふじ’の果実細胞の経時的な形状変化に関する論文を作成し投稿する。(3) 果実肥大に及ぼす種子の影響について解析終了後に論文を作成する。 [渡邉] ‘ふじ’について、種子の入り方と果肉の植物ホルモン分布の関係を解明する。 [小林]リンゴの露地栽培と気象室内のポット樹を用いて開花後の気温と細胞分裂期間およびその長さについて今後も調査を進める。 [舟橋] 斜形果以外の変形果については、摘果時に果実が傾いているもので発生が多い傾向があった。春季の高温は斜形果以外の変形果が増える可能性があるため、摘果時に着果させる結果枝長や果実の姿勢に留意する必要がある。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)
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[Book] 果実日本2023
Author(s)
田中紀充
Total Pages
5
Publisher
日本園芸農業協同組合連合会
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