ブドウ果実のメタボロミクスおよびトランスクリプトミクスによる成熟制御機構の解明
Project/Area Number |
21K05578
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
高居 恵愛 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70589770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 彰 京都大学, 農学研究科, 教授 (50442934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 果実成熟 / 植物ホルモン / アブシジン酸 / 遺伝子発現解析 / メタボローム解析 / 環状剥皮 / CE-MSメタボローム解析 / RNA-Seq / アントシアニン生合成関連遺伝子 / ABA代謝関連遺伝子 / ブドウ果実の成熟 |
Outline of Research at the Start |
果実は成熟過程において活発な生理変化に伴い、品質(味、色、香り、栄養素等)に直接関連する代謝産物の蓄積と同時に生理活性物質の変化も大きい。非クライマクテリック型果実であるブドウの成熟制御機構はまた解明されていない。本研究では、メタボローム解析とトランスクリプトーム解析等手法により成熟表現型の異なる果実を比較し、成熟誘導および進行の制御因子の探索を目的とする。得られた知見は、ブドウの成熟・着色を人為的に制御するための技術開発や環境適応型品種の育種に応用できるだけでなく、植物生理学などの基礎生物学の発展にも貢献すると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに無核果実を用いて研究行ってきた。しかし、果実の成熟過程において各種植物ホルモン間のクロストークの制御が重要であり、ジベレリン処理は果実成熟のパターンや組成などに、または、各種植物ホルモンの変化に及ぼす影響を明らかにする必要がある。2022年度では、‘ルビーロマン’と‘安芸クイーン’両品種を用いて、有核栽培と無核栽培の果実成熟について調査を行った。ジベレリン処理の無核果実は有核果よりベレゾーンが早くなり、果実成熟が促進された。一方、有核果より無核果の肥大は大きかったが、糖、酸含量は少なく、果皮アントシアニン含量も少なかった。果皮におけるABA含量は両品種で異なり、‘ルビーロマン’では、有核果より無核果のABA含量は成熟後期に高い傾向があった。しかし、ベレゾーンまでにジベレリン処理は内生植物ホルモンへの影響は明確ではなかった。これらの結果よりジベレリン処理は成熟のステージを促進するが、成熟過程における植物ホルモンの変化パターンを影響しないことが示唆された。現在、両品種の無核果と有核果サンプルについて、RNA-Seq解析を進行中である。一方、我々これまでの研究では、アントシアニンとABA含量の推移が‘藤稔’と‘ルビーロマン’、‘巨峰’と‘安芸クイーン’間の親子同士で似たパターンを示し、遺伝の可能性が示唆されている。2022年度では、これらの品種と近縁関係のある多数品種について成熟・着色パターンと内生植物ホルモン含量の変化を調査した。内生ABA含量が品種間で差が検出され、成熟中期~後期でABAが高く維持されるという形質が潜性遺伝(ホモ)、ABAが早期から後期にかけて低下する形質は顕性遺伝(ヘテロ)の仮説を立てた。今後この仮説を検証するため、さらに多くの品種を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、品種間比較と、有核・無核栽培法の比較により、成熟パターンの品種間差の原因と遺伝特性を解明と予定していた。2022年度では、‘ルビーロマン’と‘安芸クイーン’の有核・無核栽培試験の経時的な果実サンプル、または、多数品種の成熟過程に経時的な果実サンプルを用いて各種の解析を行った。これらの結果を纏めて果実成熟の分子メカニズムの解明を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまでにメタボローム分析とRNA-Seqで得たデータの解析を進み、各種の処理による異なる成熟表現型での代謝経路の差異を見出す。また、遺伝子発現の差異間の関連性を解析し、代謝経路の差異を引き起こす原因を探索する。さらに、果実成熟開始のスイッチとなる因子を探索するため、ベレゾーン直前に多数の発育ステージの異なる果粒を採取し、メタボロームとトランスクリプトーム解析を行う。最終目標としては、ブドウ果実成熟開始のトリガーを探索し、また、ブドウ果実着色の制御メカニズムを解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)