Project/Area Number |
21K05660
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39070:Landscape science-related
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 都市緑地 / 小規模樹林地 / 建築物 / 障害物 / 鳥類 / 移動 / 植被 / 生物生息場所 / 鳥類の移動 / 植生構造 |
Outline of Research at the Start |
都市の生物多様性は、生物の移動可能性によって左右される。本研究では生物生息場所に隣接する建築物が鳥類の移動を阻害する可能性に注目する。緑地面積など鳥類相に影響する主要な環境条件が概ね類似しており、かつ、隣接地の建築物の状況は異なる緑地を選んで鳥類調査と環境条件の調査を行い、その結果から、建築物が鳥類にとっての緑地の価値をどこまで低下させるかを検討する。植栽により中高層建築物の影響を緩和する可能性についても併せて評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
調査対象地域として、1)光ヶ丘団地(東京都練馬区)、2)武里団地・せんげん台団地(埼玉県春日部市、越谷市)、3)新座団地。志木団地(埼玉県新座市、志木市)を設定した。それぞれの地域において15~20の調査地点候補を設け、2022年8~10月に予備調査を行って、各地域12の調査地点を決定した。調査地点には、a)広い面積にわたって樹冠が連続する大規模樹林地(地域において核となる生息場所となり得る樹林地)、b)周囲に中高層(4階建て以上)の建築物が少ない小規模樹林地、c)周囲の過半を中高層の建築物で囲まれている小規模樹林地が、対象地域ごとにそれぞれ3~5地点が含まれるようにした。 2022年11月より各地域にて全ての地点を1回ずつ訪れて鳥類と植被状況の調査を行った。鳥類の調査は午前8時から午後1時までの間に行い、降水がある時、および風速が6m/sを超える時には調査を行わなかった。樹林地内に半径20mの調査区を設定し、15分間の調査時間中にその中で観察された全ての個体について、種名、個体がいた場所を記録した。また、樹林地に隣接する建築物の壁とその延長線、及び車道で囲われる範囲を建築物と車道による包囲地(仮称)とし、この境界、すなわち樹林地に隣接する建物や道路を超えたり建物の間の隙間を通過したりした個体については、観察できた全てについて超えていったものの種類とおおよその飛翔高度を記録した。植被については、その最大高と階層別植被率を記録した。 2023年3月末までに計5回の調査を実施し、全36の調査区で23種2171個体を記録した。他の2地域に比べて高層の建築物が多い光ヶ丘団地では、a、b、cの間で鳥類種組成に明瞭な違いが認められたが、他の2地域ではbとcの間の差は明瞭ではなかった。建物を超える移動はハシブトガラス、ドバトなど限られた種についてのみ記録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象地には人が集まる公園の樹林地も含まれており、そのような場所で調査を行うことは、コロナ禍においては望ましくないと考えられたため、コロナ禍での行動制限が重視された期間中は現地での調査を行えなかった。結果、現地調査の開始が2022年11月と予定より大幅に遅れることとなり、結果として計画の進行が実質1年以上遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
越冬期の状況については3地域で把握できたと考える。引き続き繁殖期の状況について調査を行い、樹林地に隣接して存在する建造物などが樹林地内の鳥類に与える影響について分析するためのデータを得る。越冬期には、地域全体の食物の量が少なくなるため、鳥類は広範囲を移動しながら食物を確保する必要があると一般に考えられている。これに対し繁殖期には、食物の量が増える一方で、繁殖のための巣の防衛と雛への食物の運搬を行う必要が生じるために、個体の行動範囲は巣の比較的近傍に制約されやすいとされる。このことが鳥類の移動の様相に影響し、建物に囲われた樹林地は(その中に営巣した個体を除き)鳥類には利用されにくくなると予想される。繁殖期の調査結果と越冬期の調査結果を比較することで、この仮説を検証し、樹林地に隣接する場所にある建築物の影響を明らかにしたい。得られた結果を吟味の上で、結果の一般性をより明確に示すために、他の調査地域を設定して越冬期、繁殖期セットの調査をもう一回行う。 以上述べた分析を行うためには、各調査地だけでなくそれぞれの調査地の周囲にある植被の状況と、建築物など鳥類の移動の妨げとなり得る構造物の状況を把握する必要がある。現地調査だけでは対応できないため、衛星画像に基づく植被の分布状況の分析、建築物データに基づく対象地隣接部分、ならびにその外側一帯における建築物の高さと建ぺい状況の分析を行う。
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