スギはどう高温を記憶するのかー高温順化分子基盤の解明ー
Project/Area Number |
21K05680
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
伊原 徳子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353594)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 高温順化 / スギ / トランスクリプトーム / レトロトランスポゾン / エピジェネティクス |
Outline of Research at the Start |
植物では事前に致死的でない高温を経験することでより致死的な高温ストレスに対する耐性が強くなる「高温順化」の現象が知られている。「高温順化」が針葉樹ではどのような仕組みで起きているかについて、高温を経験させることでスギのゲノムDNAにどのような変化が起き、それにより遺伝子発現がどう変化し、個体の高温への耐性にどのような変化が起きているかを調べることで分子的に解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、スギの高温順化による遺伝的変化を明らかにするため、自然光条件下で高温順化処理(36 ℃)と未処理の個体に高温ストレス(38 ℃)を与えた際のトランスクリプトーム解析を行った。順化処理1日後の個体で発現が高い遺伝子は過酸化水素、光、高温応答の遺伝子であり、先行して行った人工光下での結果と同様であった。一方、順化処理2日後にヒートショックを与えた際に順化個体で発現が高い遺伝子は光ストレス応答に関わる遺伝子が多く、人工光下での結果とは異なった。また、人工光下で38 ℃で順化し45℃のヒートショックを与えた場合、高温ストレス応答で重要な転写因子Hsfやレトロトランスポゾンの発現に順化処理による違いが生じていたが、自然光下で行った実験条件下ではこうした違いはみられず、環境条件の違いにより高温順化に寄与する遺伝子は変化することがわかった。また、共発現遺伝子解析(WGCNA)により光化学系へのストレスの指標であるクロロフィル蛍光パラメーター(Fv/Fm)の値と、光化学系II活性中心タンパク質などオルガネラで働く遺伝子発現とに正の相関があり、これらの遺伝子は気温により転写制御を受けていることが示された。 全体の期間を通じ、トランスクリプトーム解析では、環境条件によってスギの高温順化に関わる遺伝子には違いがあることを明らかにし、それぞれの条件で重要な遺伝子を明らかにした。生理的パラメータの測定では、順化処理温度により、その後の光化学系IIが高温により受けるストレスの程度が違うことを明らかにした。また、遺伝子発現データと生理的パラメータの関連から、自然光下で高温順化に重要な遺伝子を明らかにした。高温順化関連遺伝子の調節領域のメチル化レベルの解析のため、遺伝子調節領域を増幅するプライマーを開発し、スギでのバイサルファイトシーケンス手法を確立した。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)