日本の林野火災リスク評価に向けた地表火の延焼速度・火線強度の推定
Project/Area Number |
21K05692
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
吉藤 奈津子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80514223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 林野火災 / 地表火 / 延焼速度 / 室内燃焼実験 / 林床可燃物パラメータ / カラマツ |
Outline of Research at the Start |
林野火災の延焼速度や強度を把握することは、被害の抑制や生態系への影響評価のために重要である。本研究では、日本の森林を対象に、林野火災の初期段階であり林床の落枝落葉等の可燃物が燃える地表火に着目し、その延焼速度を予測・評価することを目指す。そのために、室内延焼実験によって様々な林床可燃物条件での延焼速度を測定し、モデルによる予測精度を評価する。また、林床可燃物パラメータを収集・類型化し、日本の森林に適した林床可燃物パラメータセットの作成を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
カラマツ林を対象に、地表火の延焼速度に影響を及ぼす林床可燃物量やその堆積状況を明らかにするため、林床植生の異なる4タイプのカラマツ林分において、各20地点計80地点で林床調査を行い、単位面積当たりのリター堆積量、堆積深、林床植生量を計測した。リター堆積量の平均値は0.75 ㎏/m2、標準偏差は0.29 kg/m2で、場所によって値のばらつきが大きかった。また、他の針葉樹林(スギ林、ヒノキ林、アカマツ林)で計測したリター堆積量と比較して、統計的に有意な違いは見られなかった。 また、風乾したカラマツ葉のみを林床可燃物として敷き詰めた単純な模擬林床を用いて、無風かつ林床傾斜0度の条件で室内燃焼実験を行い、延焼速度の計測を試みた。堆積量を変えて二度実験を行ったが、いずれの場合も着火はするものの火炎は伝播せず着火後まもなく火炎が消えた。実験時の模擬林床のパッキング率は0.06-0.09と高かったことが、火炎が伝播しなかった原因だと考えられる。風を送ると再び火炎が生じる様子が確認できたことから、風速が大きければ、パッキング率が大きくても延焼が進む可能性があると考えられる。カラマツ林で実際に林野火災が発生した記録があるが、以上の実験結果から、カラマツ林で地表火が延焼拡大するには、風速が大きいこと、林床可燃物にカラマツ葉以外の葉や枝など多様なリターが含まれパッキング率が高すぎないこと、あるいは含水比が極端に小さいこと、などの条件が必要になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに予定していた、カラマツ林の林床可燃物及び林床植生の調査と、カラマツ葉を用いた室内燃焼実験を実施することができた。室内燃焼実験において、カラマツ葉のみを敷き詰めた単純化した林床では、無風条件下では着火後に火炎が伝播せず、延焼が進まないという予期しない結果となったため、当初予定していた延焼速度の測定やその他樹種との比較、Rothermelの式による推定値との比較は行うことができなかった。しかしこの結果から、カラマツ林で地表火が発生するには風速が大きいことやカラマツ葉以外の落枝落葉が林床に存在することなどの条件が必要であろうことが示唆され、新しい知見を得ることができたので、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
代表的な広葉樹林の一つであるコナラ林を対象に林床調査を行い、地表火の延焼速度に影響を及ぼす林床可燃物パラメータである林床リター堆積量、堆積深、表面積-体積比などの計測を行う。また、コナラ林の林床で採取した林床可燃物を用いて室内燃焼実験による延焼速度の計測を行い、林床リター堆積量やパッキング率の違いが延焼速度に及ぼす影響を明らかにするとともに、他樹種で行った実験結果との比較を行う。これらの調査・実験により、コナラ林で地表火が発生した場合の延焼拡大リスクについて考察する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)