Project/Area Number |
21K05717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
神原 広平 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60727577)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | シロアリ / ベイト工法 |
Outline of Research at the Start |
ベイト工法は維持管理型のシロアリ対策といわれており、国内で社会実装が進む中大規模木造建築物等に対して有効なメンテナンス方法になると考えた。本研究は、ベイト剤を摂食したシロアリ個体から薬剤成分を抽出し化学分析する方法を確立する室内試験と、ベイト剤施用環境下の薬剤成分伝播の実態を把握する野外試験から構成し、得られた成果から、建築物の規模に応じた施用方法を考案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、室内試験(ベイト剤有効成分をシロアリ個体から抽出し分析する方法の確立)と、野外試験(ベイト剤施用環境下のシロアリ個体の化学分析による薬剤伝播状況の実態把握)で構成する。令和5年度は、前年度に熊本県の常緑広葉樹林内に設営した野外試験地において、ヤマトシロアリによる安定的な被害状況が維持された試験区を用い、有効成分クロロフルアズロンを含有するベイト剤を施用した。その後、試験区内の被害状況の推移を経時的にモニタリングするとともに、試験区内に埋設したアカマツ角杭(餌杭)にシロアリが穿孔食害していた場合は、そのシロアリ個体を室内試験に供試するため採取した。野外試験において、試験区内の餌杭におけるシロアリの存否と、その食害状態を6段階の被害度に分類し評価した結果、ベイト剤の施用によりヤマトシロアリの存在率及び餌杭の平均被害度が減衰することが明らかとなった。さらに、試験期間中にベイト剤を施用する容器に改良を加えたことで、ベイト剤が顕著に減少し明瞭な食痕も観察できるようになった。これらのことから餌杭を等間隔に埋設し人為的に営巣木を導入した試験区でヤマトシロアリに対するベイト剤の施用とその効果を確認できることが示唆された。室内試験では、野外試験地より採取したシロアリ個体を用いて有効成分の抽出とガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)による化学分析を行ったが、室内強制摂食個体を用いたGC-MS分析と異なり、有効成分と推定されるピークは得られなかった。このことから、化学分析を用いた薬剤伝播状況の実態把握には更なる検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、室内試験ではベイト剤を強制摂食させたシロアリ個体を用いた分析条件の継続した検討と野外試験地で採取した個体の化学分析を計画した。野外試験では、ヤマトシロアリの被害定着を確認した試験地でベイト剤を施用し、経時的なシロアリ被害のモニタリング調査と餌杭として埋設したアカマツ角杭より分析に供試するシロアリ個体の採取を計画した。当該年度の研究成果において、野外採取個体を用いた化学分析には更なる条件検討を要することが分かったが、野外試験はベイト剤を施用する容器に改良を加えたことで顕著な喫食が認められるようになり、試験地内のヤマトシロアリ被害の減少も確認できベイト剤の効果範囲を示唆する結果を得た。次年度以降の試験継続に向けた準備も進んでいることから、総合しておおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、室内試験(シロアリ個体からのベイト剤有効成分の抽出及び分析方法の確立)と、野外試験(ベイト剤施用環境下のシロアリ個体中の有効成分分析と薬剤伝播状況の実態把握)で構成する。次年度の室内試験においては、野外試験区より採取した個体の化学分析を条件検討を含め継続する。野外試験においては、試験区内でのヤマトシロアリ被害の再発や季節的な消長といったシロアリ被害の経時変化の知見を蓄積するため継続したモニタリングを実施するとともに、室内試験に供試するシロアリ個体の採取を行う。
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