Project/Area Number |
21K05719
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
高橋 史帆 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40732011)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | リグニン / 溶解度パラメータ / 工業リグニン / 溶解性 / Hansen溶解度パラメータ / 分散/凝集性 |
Outline of Research at the Start |
木材主成分のリグニンは、ベンゼン環を持つ天然ポリマーで、高強度、高耐熱性樹種などの高付加価値利用が可能な素材である。木材から抽出したリグニン由来物(工業リグニン)は機能性向上のため各種媒体中で化学修飾等が試みられるが、工業リグニンの媒体に対する溶解・分散/凝集性は、多くの選択肢の中から媒体や組合せを無作為に抽出し、実験的に調べる必要があった。溶解度パラメータは微粒子と媒体分子の親和性に関連する値であり、活用することで適切な媒体の選択が可能となる。本研究では、様々な工業リグニンの溶解度パラメータを体系化し、工業リグニンの溶解・分散/凝集性の予測のため溶解度パラメータを導入する評価法を開発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
工業リグニンの溶解度パラメータの体系化を進めるために、昨年度までに実施した針葉樹のスギに加え、本年度は広葉樹のユーカリ、草本類のモウソウチクを用いた検討を行った。それぞれの樹種のソーダアントラキノン蒸解およびクラフト蒸解においては、スギから調製されるパルプのカッパー価の目標を25、ユーカリおよびタケパルプの場合は20付近となるように蒸解条件を設定し、この条件で得られた黒液からリグニンを回収した。それぞれの樹種のソーダおよびクラフトリグニンの有機溶媒への溶解性試験を実施し、溶解率を求めた。さらに今年度は、実測の溶解率を用いる定量法を用いて、リグニンのHansen溶解度パラメータを評価した。 スギの場合、ソーダおよびクラフトリグニンで溶解度パラメータの値はほとんど同じであった。一方で、ユーカリおよびタケの溶解度パラメータは、蒸解法の違いによって異なることが確認された。全体の傾向としては、ソーダリグニンに比べてクラフトリグニンの溶解性が高い傾向で、この違いが溶解度パラメータの値に影響したものと考えられる。また、リグニンと溶媒の溶解度パラメータの距離(HSP距離)を横軸に、溶解率を縦軸にとりプロットすると、0.8程度の相関が得られた。一例としてタケのクラフトリグニンの場合は、HSP距離と溶解率の関係からHSP距離が14以上となる溶媒においては不溶となり、概ね4以下の場合には高い溶解率(>90%)を示しており、これらの結果から溶媒とリグニンとのHSP距離がわかれば、リグニンの溶解性を定量的に予測できることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度に実施した溶解率の測定において、精度の向上を図り、当初の予定よりもより煩雑な実験操作を伴う検討を行った。この検討により溶解率と溶解度パラメータの関係を明らかにすることができたが、本年度に予定した針葉樹、広葉樹および草本類のソーダおよびクラフトリグニンの化学的な特性評価まで行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に調製した針葉樹、広葉樹および草本類のソーダおよびクラフトリグニン等の化学的特性を評価する。この検討によって、様々な樹種および蒸解法により得られるリグニンの化学的特徴が溶解度パラメータに与える影響を明らかにする。
|