Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
本研究では従来の魚類麻酔科学にはない分子レベルから炭酸麻酔の有用性を証明するため以下の2項目を提起する。ストレス応答誘導ヒラメに炭酸など各種麻酔をかけ、麻酔の作用を強く受ける脳・腎臓あるいは色素胞で発現する因子「とくにI)体色調節関連新規因子やII) 脳や中枢神経機能抑制新規因子」を、次世代シークエンサーで網羅的に探索、比較解析し、苦痛を最も軽減させるであろう炭酸麻酔の作用機序を分子レベルから解明する。
研究代表者は、これまで、1:背地適応魚ヒラメのストレスを可視化する方法、つまり、ストレスを与えたヒラメが白斑を凝集、その後、体色全体が黒化するというストレスの0次応答を見出した。あわせて、2:ヒラメに化学的なストレスを与えることで均一かつ再現性のあるストレス誘導を引き起こすことに成功、研究2年目である令和4年度、これらを特願2022-128908「魚類ストレス判定方法」として出願した。また令和4年度本研究では、上記の方法に従い、ストレスを与え0次応答を誘導したヒラメに、炭酸、研究汎用魚類麻酔である2-フェノキシエタノールおよびオイゲノールを含む水産承認麻酔であるFA100に浸漬し麻酔をかけ、ストレスにより出現する白班凝集に脳における体色関連遺伝子(メラニン凝集ホルモン:mch・メラノコルチン受容体:mc5r)が関与するか否かを、q-PCRにより遺伝子発現量を調べた。その結果、脳mch mRNA 量は炭酸で低い傾向が認められたが、他区と差はなかった。他方、脳mc5r mRNA 量は、FA100に比べ、2-フェノキシエタノールと炭酸、特に炭酸で有意に低い値を示した。これまで、我々は、炭酸が脳下垂体のプロオピオメラノコルチン発現も低値を示すことを報告している。このことから、炭酸は、白班凝集を抑制、ストレスを軽減している可能性が考えられた。あわせて、各麻酔処理したヒラメの脳と脳下垂体の次世代シークエンス解析を行なったが、ヒラメはゲノム情報が公開されていないため、新規ストレス軽減因子の探索に時間を要している。
3: Progress in research has been slightly delayed.
研究2年目は、炭酸・オイゲノール・フェノキシエタノール麻酔下における0次応答誘導ヒラメの脳・脳下垂体における次世代シークエンス解析も行ったが、ヒラメはゲノム情報が公開されていないため、候補遺伝子のリシークエンスに時間を要している。
最終年度である今年度は、ゲノム情報が明らかになっているトラフグを用いて、0次応答誘導を調査、炭酸・オイゲノール・フェノキシエタノール麻酔下における0次応答誘導トラフグの脳・脳下垂体における次世代シークエンス解析を行い、顕著な発現差が認められた候補遺伝子を同定する。これを受けて、ヒラメの候補遺伝子の発現解析、抗体作成など次の研究に発展すべきデータ解析を実施する。
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