マイワシの卵形成を制御する分子・生理機構の基盤構築と再生産研究への展開
Project/Area Number |
21K05741
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
入路 光雄 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (50732426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 悠貴 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (20737316)
米田 道夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (30450787)
風藤 行紀 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 部長 (60399996)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | マイワシ / 卵形成 / 17β-水酸基脱水素酵素 / エストラジオール-17β / 再生産能力 / 水産資源 / 再生産 / 生殖生理 / ステロイドホルモン |
Outline of Research at the Start |
マイワシの再生産能力(成熟年齢、産卵数など)は、資源水準に応じて変化する。個体群における再生産能力の変化は、マイワシが持つ独自の繁殖生理機構に起因すると考えられる。本研究では、マイワシの卵形成を制御する分子・生理機構を明らかにするため、生殖内分泌軸の下流で卵形成に働くエストラジオール-17β(E2)の合成に着目して、その合成経路と、作用する17β-水酸基脱水素酵素を同定する。さらに、栄養状態に応じて変化するE2合成関連因子を探索して、栄養状態が再生産能力に及ぼす影響を内分泌学的に評価する。本研究は、資源変動が再生産能力の変化に及ぼすメカニズム解明に向けた内分泌学研究の進展に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の遺伝子発現解析により、マイワシが持つ8タイプの17β-水酸基脱水素酵素(17β-HSD)のうち、type 3、type 12a、type 12bが卵巣で高発現していて、卵巣発達に伴って発現が増加することが分かった。そこで本年度は、これら3タイプをエストラジオール-17β(E2)の合成に関与する17β-HSDの候補として選定し、in vitroでの基質特異性を解析した。まず、各遺伝子を単離してpCAGGSベクターに組み込み、哺乳類細胞用の発現ベクターを作製した。哺乳類細胞のHEK293T細胞に形質転換して、各酵素の組換え体を発現させた。それぞれの培養細胞に、アンドロステンジオン(AD)またはエストロン(E1)を添加して培養後、培養液を回収した。ADを添加したものは培養液中のテストステロン(T)量を、E1を添加したものは培養液中のE2量を定量した。その結果、type 12aとtype 12bは、19%の変換率でADをTに、50%の変換率でE1をE2に変換した。一方、type 3はどちらの触媒作用も示さなかった。 さらに本年度は、生殖腺刺激ホルモン(GtH)によりtype 3、type 12a、type 12bの遺伝子(hsd17b3、hsd17b12a、hsd17b12b)が発現制御を受けるかどうかを調べた。卵黄形成を完了したマイワシ卵巣を培養して、GtHを含む下垂体抽出物を加えて培養後、卵巣をRNA laterで固定した。卵巣からRNAを抽出してcDNAを合成し、定量PCRにより各遺伝子発現量を定量した。その結果、下垂体抽出物を加えていないコントロールと比べて、いずれも遺伝子発現量に差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の大きな成果はまず、哺乳類細胞を用いたin vitroでの基質特異性解析により、マイワシ17β-HSDのtype 12aとtype 12bがADからT、E1からE2に変換する触媒作用を持つことを示したことである。本成果は、魚類ではじめて、17β-HSDのtype 12がADからTに変換することを明らかにした。昨年度までの解析により、マイワシ卵巣ではE1は合成されないことが分かっている。そのため、マイワシの卵巣では、17β-HSDのtype 12がADからTに変換することで、E2合成に主要な役割を果たすことが示された。下垂体抽出物を添加した卵巣培養実験では、3タイプの遺伝子発現制御は示されなかった。本解析については、さらなる検討が必要である。以上、解析は当初の計画に沿って順調に進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
GtHによる発現制御を調べる卵巣培養実験では、本年度は卵黄形成を完了した卵巣を用いた。一方、昨年度の遺伝子発現解析では、hsd17b12a、hsd17b12bの遺伝子発現は卵黄形成開始前に当たる、表層胞の出現時期に増加していた。このことから、卵黄形成開始前の卵巣を用いて、再度培養実験を行う。また本年度は、栄養条件の異なるマイワシの標本を解析することで、肥満度に応じて変化するE2合成関連因子を探索するとともに、これまでに得られた成果の論文公表を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)