落差遡上弱者カジカ類を指標とした農業用井堰改修による河川連続性の回復効果の検証
Project/Area Number |
21K05749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
田原 大輔 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (20295538)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 農業用井堰 / 魚道 / カジカ類 / 河川連続性 / 落差解消ユニット / 河川連続性回復 |
Outline of Research at the Start |
農業用井堰(井堰)は国内河川に無数に存在し、営農期に限定して河川を分断化するため、その影響や実態は明らかにされていない。井堰の改修事業が実施される兵庫県竹野川をモデルケースとして、落差遡上弱者のカジカ2種を主な指標として、井堰の魚道設置による水生生物の遡上回復の効果を明らかにする。さらに、井堰板棚に簡易設置できる“落差解消ユニット”を開発し、その有効性及び耐久性を検証する。本研究成果は、全国河川の井堰による河川分断化を解消し、健全な河川生態系の回復に寄与することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
魚道改修2年以降の2022・2023年の事後調査において、第1堰下流のカジカ中卵型の推定生息密度は、両年ともに、第1堰上下の生息密度に有意差は確認されず、これは第1堰改修後初めてのことである。現在のカジカ中卵型の分布上限は第4堰下であり、2021年までと同様で遡上分布上限に変化はみられなかった。さらに、主に汽水域から下流域に生息するミミズハゼは、2018年から2020年の改修前では第1堰下流においてのみ採捕されていたが、魚道改修後の2021年以降には第1堰上流でも少数ながら確認されるようになった。また、落差遡上能力の高いシマヨシノボリにおいても、2022年および2023年において改修前と比べて第1堰上流の生息密度が有意に高くなった。 2022年および2023年の標識採捕調査において、第1堰上流の調査箇所において、2021年に第1堰下流で標識したカジカ中卵型が第1堰上流および第2堰上流で確認された。また、2022年および2023年に標識したカジカ類による堰間移動は確認されなかった。両年において少数であるが、第1堰を越えて上流へ移動できている個体も確認できた。 以上より、竹野川第1堰における魚道改修はカジカ類には僅かな遡上回復効果があり、遡上能力の高いハゼ類に対してはより強い効果をもつことが示唆された。第1堰の改修した魚道出口には未だ遡上が困難な箇所が存在しているが、井堰の落差を軽減させる改修工事は水系全体の連続性を回復させる効果を有することから、今後も適正な改修および維持管理を要望していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
井堰改修後の事後調査を、改修後2年間の春から秋にかけて毎月実施することができたため、今後は季節毎の調査に変更して実施していく。遅れていた落差解消ユニットの基本的コンセプトを立てることができたため、課題期間を1年間延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の改修効果の事後検証調査は、春と秋の季節毎の調査に変更して実施していく。落差解消ユニットの現地設置効果の現地調査は、遡上期の春から夏にかけて3回ほどの短期間調査を実施していく予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)