Project/Area Number |
21K05758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 伸昌 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 福島再生支援研究部, 上席研究員 (50392212)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 淡水魚 / 放射性セシウム / 腸内細菌 / 窒素安定同位体 / 腸内細菌叢 |
Outline of Research at the Start |
海水魚と比較して、淡水魚は体内に取り込んだ放射性セシウムを体外に排出する速度が遅い。そのため、放射性セシウム汚染を抑制するには、放射性セシウムの体内への取り込み自体を減らすことが重要となる。腸内細菌はミネラルの吸収に関与することから、淡水魚の腸内細菌叢と放射性セシウム濃度との関係について調査する。放射性セシウム濃度の低い淡水魚に特異的な細菌を検出することで、淡水魚による放射性セシウム汚染低減化向けた取り組みに役立てる。
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Outline of Annual Research Achievements |
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性核種によって環境が汚染された。その結果、一部の淡水魚で出荷制限や出荷自粛が今も継続している。淡水魚の食としての安全と安心を確保するためには、放射性セシウムの魚体内への取り込みを抑制することが重要である。腸内細菌はミネラルの腸管吸 収を助ける役を担っていることが報告されていることから、本研究は放射性セシウムの体内への取り込み低減化に資する腸内細菌を見つけ出すことを目的として実施している。 2021度は魚食魚の腸内細菌叢にはPlesiomona属およびRalstonia属の細菌が多いことを明らかにした。魚食性の魚は放射性セシウムの蓄積量も多く、これらの菌が放射性セシウムの蓄積に関わっている可能性が考えられた。そこで2022年度は食性と放射性セシウムの蓄積量との関係をより詳細に検討することを目的とし、採捕した魚の筋肉部位における窒素安定同位体比と放射性セシウム濃度の関係について調査を行った。 禁漁期間であった6月及び7月を除き、魚は毎月採捕した。採捕した魚の糞便は腸内細菌叢解析用試料として回収した。筋肉部位は凍結乾燥し、窒素安定同位体比および放射性セシウム濃度を定量した。筋肉中の放射性セシウム濃度と窒素安定同位体比との間には2成分の正の相関関係が認められた。つまり、窒素安定同位体比が15‰未満の場合、回帰直線の傾きが0.01であったのに対して15‰以上では0.13に増加した。15‰を超える魚には、肉食性のカムルチ、オオクチバスなどに加え、数は少ないが雑食性のコイやフナも含まれていた。 今後、窒素安定同位体比15‰の前後の魚の腸内細菌叢を調査することにより、放射性セシウム取り込みに関与する可能性のある細菌を明らかにできることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採捕した魚の分析は現在も進行中である。今年度は窒素安定同位体比の分析を中心に行い、栄養段階の高い魚が放射性セシウムを筋肉に蓄積しやすいことを確認した。さらに、窒素安定同位体比が15‰以上の魚は体内に放射性セシウムを取り込みやすいことを明らかにした。この成果は2023年度において実施する腸内細菌叢の解析に役立つ知見である。つまり、どの魚試料の腸内細菌を解析するか選定基準を提供する。このように、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
禁漁期間を除き、月一度の野外調査は引き続き実施する。15‰の窒素安定同位体比を基準に過去に採捕した魚の糞便からDNAを抽出し、細菌叢の解析を行う。その時、異なる魚種間のみならず、同種間でも細菌叢の違いを比較し、放射性セシウムの吸収に関与している可能性のある菌種を探査する。汚染源である水質中の放射性セシウム濃度は年々減少傾向にあり、そのため筋肉中の放射性セシウム濃度も年々減少している可能性がある。そこで筋肉中の放射性セシウム濃度だけでなく、濃縮係数(溶存態放射性セシウム濃度に対する魚の放射性セシウム濃度の比)を利用し、放射性セシウムの吸収に関わる菌の探査を行う。得られた成果は学会発表とともに論文として公表し、さらにこれまでに得られたデータは整理して公開することを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)