仔稚魚期の免疫・脂質代謝を利用した抗病性種苗生産システムの開発
Project/Area Number |
21K05784
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
菅 向志郎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (60569185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平坂 勝也 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 准教授 (70432747)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 仔稚魚 / 脂質餌料 / 脂質飼料 / 細胞内寄生細菌 / ワクチン / 脂質代謝 |
Outline of Research at the Start |
仔稚魚は、獲得免疫が未発達で高度な免疫はほとんど機能していないと考えられている。しかし、申請者は、魚病細菌を暴露した仔稚魚は通常より抗病性を示す可能性を見出している。そこで本研究は、仔魚期の獲得免疫機構を魚病細菌を含む生物餌料を給餌する「経口ワクチン」で始動させ、稚魚期に感染防御能を増強させる「高脂質飼料の給餌」および追加免疫効果を誘導させる「浸漬ワクチン」の3工程を魚類種苗生産に導入し、魚にストレス無く細菌病に強い稚魚を安価で大量に育成する抗病性種苗生産システムの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
細菌やウイルスを原因とする疾病に対して抗病性を高めるには、魚類を含めた脊椎動物において免疫細胞の活性化や増加が効果的である。 低糖質高脂質を摂餌させるケトジェニックダイエットは、哺乳類において脂質代謝が増大し、免疫細胞ガンマ・デルタ型T細胞が増加することで感染防御効果を誘因することが報告されている。養殖現場で赤潮・疾病対策の餌止めは、脂質代謝亢進に起因する免疫能向上が斃死低減に繋がると考えられている。よって、低タンパク質・高脂質飼料の給餌は、ヒラメ稚魚の感染防御能の向上に繋がる可能性が高い。 今年度は、短鎖・中鎖脂肪酸を含む飼料を調製した。短鎖脂肪酸は腸管免疫を強化する物質として報告がある。作用機序として、短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を分解して産生し、腸のエネルギー源となる。短鎖脂肪酸は魚類の腸管に正の効果をもたらすことが他の研究機関から報告されている。そこで、基剤として市販の海産種苗用餌料およびデキストリン、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどと混合して飼料を作製した。給餌実験にはトラフグを用い、給餌後、麻酔薬および氷海水で深麻酔し安楽死させた後に解剖して、免疫に関わる組織である腸管をホルマリンで固定した。腸管の組織学的な変化を調べるため、パラフィン包埋切片を作製・HE染色した後、対照区と比較することで、腸管組織の変化を調べた。その結果、絨毛辺縁部の凹凸割合は、短鎖脂肪酸区および中鎖脂肪酸区において、対照区より有意に大きいことが明らかとなった。また、モデル生物として用いたマングローブキリフィッシュのレンサ球菌に対する病原性を検証した結果、高い病原性は無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き、ヒラメを用いた実験は、受精卵の入手が困難であり、実施出来なかった。 このため、入手が可能であったトラフグ稚魚を用いて、短鎖・中鎖脂肪酸を含む飼料の給餌による感染防御能の向上について実験を行った。短鎖・中鎖脂肪酸を含む飼料は、昨年度に引き続き、低タンパク質の飼料とするため、少量の海産魚用配合飼料、賦形剤として動物が通常資化できない糖質、植物油を混合する割合を変え、調製する際の造粒性、給餌する際の海水中での崩壊性、浮沈性を検討した。その結果、トラフグ稚魚が給餌可能な配合割合を見出すことが出来た。調製した飼料を給餌させたトラフグ稚魚の腸管組織を解析した結果、絨毛辺縁部の凹凸割合は、短鎖脂肪酸区および中鎖脂肪酸区において、給餌7日目において対照区と比較して有意に大きい(p<0.05)ことが明らかとなった。しかし、給餌14日目においては、両試験区において、対照区との有意差は無かった。給餌期間によって異なる結果となったため、短期・長期での給餌試験での変化を検証する必要が生じた。トラフグ以外の魚種においても同様の実験を進める必要がある。また、海産養殖魚のモデル生物として選定したマングローブキリフィッシュは、レンサ球菌の攻撃試験において、高い菌数の接種でも斃死率は高くなかった。このことから、他のレンサ球菌による攻撃試験を実施し、菌種による抗病性の違いがどの程度生じるのか検証する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施してきた調製した飼料を用いた給餌実験を継続する。またマングローブキリフィッシュについては、他の魚病細菌等を用いて病原性の検証を行う。 これまでヒラメ受精卵をもちいた仔稚魚の実験を計画していたが、トラフグなど入手が容易で実験に適したサイズの魚種を用いて実験を進める。また、モデル生物としてのマングローブキリフィシュは、基礎的な知見が得られつつ有る。一度に大量の受精卵や仔稚魚の入手は困難であるが、1年を通じて実験に適したステージおよびサイズを飼育でコントール可能であることから、引き続きマングローブキリフィッシュを用いた実験を進める。給餌試験、攻撃試験は可能となりつつあるが、処理区の腸管組織などの詳細な解析を進めるために、組織切片解析に必要な種々の手法について条件検討を実施する。また、養殖魚とはサイズが異なる為、給餌させる飼料についてもヒラメやトラフグで構築した飼料作製法では口径に適した飼料の作製は困難であることが予想される。よって、高脂質・低タンパク質飼料、短鎖・中鎖脂肪酸を含む飼料など、マングローブキリフィッシュに適した飼料の作製方法についても条件検討を行う。さらに、組織切片解析だけでなく、炎症に応答するマーカー物質や免疫関連遺伝子を検出する解析方法の構築を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)