Project/Area Number |
21K05787
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
泉 庄太郎 東海大学, 海洋学部, 教授 (90450379)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 冷水病原因菌 / CRISPR / ファージ / プラスミド / 冷水病 / CRISPRアレイ / 起源解明 |
Outline of Research at the Start |
我が国のアユに大きな被害を与える冷水病は1980年代後半に初確認された。このアユの冷水病は北米のサケ科魚類由来の外来疾病であることが強く疑われているが,アユとサケ科魚類の冷水病原因菌は,表現型も遺伝子型も大きく異なることから,アユ冷水病の起源は依然として不明である。 本研究では,ゲノム編集技術として大きな注目を集めているCRISPR-Casシステムが細菌における免疫システムであるという本来の機能に注目し,冷水病原因菌のCRISPRアレイ中に残される細菌が受けた外来核酸の侵入の歴史を読み解くことにより,アユ冷水病の起源を過去にさかのぼって解明しようとする試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
F. psychrophilumのCRISPRアレイに関しては,昨年度スペーサー配列数やスペーサー配列の並び順による多型性の存在が明らかとなったが,今年度はその生成要因としてF. psychrophilumの継代培養操作の関与を検討した。初期培養時にスペーサー配列の詳細が判明している15株を10回以上寒天培地上で連続継代し,各継代毎にそのスペーサー配列の塩基配列を確認した結果,全ての株でスペーサー配列の脱落や増加といった変化は起きなかった。このことから,人為的な菌株の保存や継代によってスペーサー配列が変化する可能性は低いことがわかった。 F. psychrophilumのファージに関しては,複数河川でのサンプリングを行うと同時にファージの単離方法についての再検討も行った。濾過滅菌河川水とF. psychrophilumの混合培養の濁度を経時的にモニタリングすることによって,ファージ培養と回収の適切な条件が明らかとなったが,その後のファージ単離操作においては明瞭なプラークの確認ができず,安定してファージを単離することができなかった。 一方,F. psychrophilumのプラスミドに関しては,新たに8株のプラスミドの全塩基配列を次世代シーケンスで決定することができた。新たに判明したこれらのプラスミドの塩基配列はそのサイズやORFの塩基配列,シンテニーにおいて昨年度確認された4種類のプラスミドのいずれかとほぼ同等であり,F. psychrophilumのプラスミドにおいてはこれ以上のバリエーションがある可能性は低いものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
F. psychrophilumのCRISPRアレイに関しては,スペーサー配列の変異に人為的な培養や保存の操作の関与が低いことがわかった。F. psychrophilumのプラスミドに関しては,さらに多くの株においてその配列を決定し,ほぼ全てのプラスミドバリエーションをカバーできたと考えられた。これらの小課題については概ね順調に進捗していると判断できた。しかし,F. psychrophilumのファージに関しては,ファージ培養条件の検討は進捗したものの,単離方法についてはさらなる再検討が必要である。 全体としては一部遅れ気味の小課題もあることから,「やや遅れている」の自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
F. psychrophilumのCRISPRアレイに関しては,新たなプライマー設計によってさらに多くの株における塩基配列を調べて,宿主魚種間や分離地域間,分離年代の違いによるスペーサー配列の並びの傾向を調べていく。さらに,河川水中のファージとの共培養によってスペーサー配列が変化するか確かめ,F. psychrophilum株の経由した水域の情報がCRISPRアレイのスペーサーに記憶されている可能性について検討する。 F. psychrophilumのファージに関しては,単離方法についての再検討を行う。具体的にはプラーク形成のための二重寒天培地の組成や温度等を見直し,河川水中からのファージの前培養条件も2024年度の成果をもとに見直すことなどを考えている。
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