新品種導入・品種転換対応をめぐる小麦主産地間の比較動向分析―市場対応論理の導出―
Project/Area Number |
21K05792
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41010:Agricultural and food economics-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横山 英信 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70240223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 小麦主産地 / 新品種導入 / 品種転換 / 市場対応 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,近年,国内の小麦主産地での活発化している新品種導入・品種転換の動きについて,そこにおける経済論理の析出を行おうとするものである。 新品種導入・品種転換の動きの背景に「実需者が望む品質の小麦への積極的な切り換え」という主産地の戦略があるにしても,その動向は一様ではなく,主産地間でかなりの相違が見られる。したがって,その動きについては,「小麦取引における市場原理の貫徹」という抽象的把握な把握に止まらず,各主産地の個別的状況も含めた分析を行う必要がある。 本研究では,各主産地の現地調査を中心において,そこから主産地の新品種導入・品種転換の動向を論理的・体系的に把握する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2022年度)は,コロナ禍の影響で昨年度調査を行えなかった対象地を含めて,全国6道県の小麦主産地の農協系統・行政・製粉業者等に聞き取り調査を行った。 三重県では,2000年代以降「シロガネコムギ」から地元特産品の「伊勢うどん」の原料に適する「さとのそら」への品種転換を急ピッチで行うとともに,県内各地の小麦を1ヶ所の製粉サイロに集約して撹拌させ,品質の安定化を図っている。滋賀県では「農林61号」から「ふくさやか」「びわほなみ」への品種転換が進められるとともに,硬質小麦の「ミナミノカオリ」の生産拡大が見られる。群馬県では田作・畑作別にそれぞれに適した品種を選定し,市場動向に合わせた作付けを行い,また,県内での需要確保を図るために県内の中小製粉会社に県産小麦の約3割を供給している。北海道中央部のB農協では3年4作の畑作輪作体系において小麦を中心作目として位置づけ,単品用・ブレンド用の双方を睨んだ品種を選定するとともに,東京・大阪等の実需者への直接販売など販売ルートの多様化を図っている。札幌周辺に位置するI農協では,北海道産硬質小麦の主力品種が「春よ恋」「ゆめちから」になってきている中,パン用のブレンド品種として地元で根強い需要がある「キタノカオリ」を主力品種の1つとして位置づけ,小麦生産の確保を図っている。兵庫県では,汎用性に優れ,実需者からの評価が高い「シロガネコムギ」を引き続き主力品種とする一方で,小麦の地産地消を進めるために「ふくほのか」「ゆめちから」「せときらら」の生産を伸ばしている。2022年10月から学教給食用パンの原料の70%を県産小麦にした熊本県では県産小麦をめぐる農商工連携が強められ,県産小麦の需要拡大の取り組みが進んでいる。 以上,今年度の研究では各小麦主産地がそれぞれの状況に対応して新品種導入・品種転換を図っている様子を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(2022年度)は,コロナ禍の影響で昨年度(2021年度)に調査を行うことができなかった小麦主産地の一部と,当初より本年度に調査を予定していた小麦主産地の一部への聞き取り調査を行うことができた。調査対象の農協・行政等との調査日程の調査の関係で,当初の予定で昨年度と本年度に調査を行う小麦主産地でまだ調査を行えていないところもあるが,一方で来年度(2023年度)に調査を予定していた北海道石狩地域や熊本などの調査を本年度中に実施することができたため,全体としては昨年度の遅れを取り戻し,ほぼ当初予定どおりの進捗状況になったと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度・2022年度の研究実績を踏まえて,2023年度は九州・四国・北海道の小麦主産地を中心に農協・行政・実需者団体等への聞き取り調査を行い,新品種導入・品種転換についての市場対応の動向と各主産地ごとの特徴を明らかにする。そして,3ヶ年に行った調査の事例を比較対照し,整理することによって,新品種導入・品種転換の対応の動向を論理的・体系的に把握する視点を提示する。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)