On Relationship between the biodiversity and the operation and maintenance of small irrigation ponds
Project/Area Number |
21K05832
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41030:Rural environmental engineering and planning-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
角道 弘文 香川大学, 創造工学部, 教授 (30253256)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ため池 / トンボ目幼虫 / 水生植物 / ガガブタ / 水質 / 栄養塩類 / COD / 生態系保全機能 / 絶滅危惧種 / 利用管理 / 抽水植物 / コウホネ類 / 生育条件 / 生態系保全 / 維持管理 |
Outline of Research at the Start |
全国各地の中山間地域にみられる小規模ため池には、生態系保全機能を有するものが少なくない。しかし、今般の豪雨災害を契機に、保全管理を継続して行うのか、潰廃・統廃合とするのかという意思決定を地域社会は迫られている。 本研究は、高齢化・人口減少が著しい中山間地域における様々な制約条件のもとでの小規模ため池の新たな管理保全計画策定について検討する。 具体的には、小規模ため池の維持管理が生態系保全機能にどういった影響を及ぼしているのか、維持管理水準と生息生物との関連性について評価する。また、小規模ため池の生態系保全機能を持続させるために必要な維持管理について推定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
小規模ため池の生物生息場としての評価を目的に、トンボ目幼虫の出現状況の把握するとともに水生植物の生育状況との関連について検討した。調査対象ため池は、長年放棄されていたものの、池底の沈積物の除去が行われ、沈水植物であるエビモ、ヤナギモ等の移植など、人為的による攪乱およびため池環境の修復が試みられたため池である。 50cm四方の正方区画において採集調査を行ったところ、夏季調査では7種32個体(28区画)、秋期調査では6種95個体(24区画)のトンボ目幼虫が出現した。第一優占種のクロイトトンボ、第二優占種のショウジョウトンボは、水草につかまり生息している種であることから、移植された水生植物がトンボ目の産卵場、幼虫期の生息場となっており、新たな利用管理方法として再生されたビオトープ池が、多様な生物の生息場として機能していることが分かった。出現個体数および出現種数を目的変数とし、沈水植物の現存量、抽水植物の生育箇所、樹冠被覆状況の3つの要因を説明変数として重回帰分析を行ったところ、秋季調査の出現個体数に対して沈水植物の現存量が正の影響を及ぼす要因として抽出された(p=0.024)。出現種数に対しては、沈水植物の現存量、抽水植物の生育箇所がそれぞれ正の影響を及ぼす要因として抽出された(p=0.023、p= 0.049)。また、両者の標準偏回帰係数を比較すると,出現種数に対しては抽水植物の生育箇所がより強い影響を持つことが考えられた。 また、水生植物を移植した場合の水質への影響について予測するため、浮葉植物であるガガブタが生育するため池において、同種の生育区域と無生育区域における水質の差異について検討を行った。その結果、ガガブタの生育の有無や季節的消長に伴ってい計測結果に違いが見られ、ガガブタ成長期である7月では、COD濃度、T-N濃度は生育区域の方が有意に小さかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では4つの目標を個別に掲げて調査研究を行っている。具体的には、①小規模ため池における生態系保全機能の定量的な知見を得ること、②小規模ため池の維持管理と生態系保全機能の関連について分析評価すること、③生態系保全機能の保持に必要なため池の維持管理水準について解明すること、④本研究の総括として、リソースの制約のもとで優先的に保全すべき小規模ため池を抽出するための計画手法について検討することである。このうち、③、④については、本研究の核心的な課題であり、これまでの調査結果を総合的に評価したうえで検討することとなるため未実施である。 ①については、ため池を生息場とする典型的な生物であるトンボ目、抽水植物(コウホネ)、浮葉植物(ガガブタ)、沈水植物(ヤナギモ、エビモ)を対象とし、それらの生息状況とため池環境条件を明らかにすることを通じて、小規模ため池の生態系保全機能を定量的に把握してきた。②については、ガガブタの生育の有無とため池の維持管理状況の関連について検討を行い、また、ため池の維持管理状況が反映される水質(富栄養化要因、有機性汚濁要因)と同種との関連について検討を行った。 最終年度の前年度である2023年度までには、①および②の目標を達成することが求められるが、ため池を生息場とする典型的な生物である魚類を対象とした調査が未実施であり、これを2024年度に行う予定である。一部の調査を最終年度に実施することとなるが、魚類の生息状況の面からため池の生態系保全機能を評価するためのもっとも重要な時期は産卵期であり、そのための調査や結果のとりまとめは2024年度8月頃には終えることが十分可能であり、最終年度に行うべき目標③、④を達成するための時間は2024年度下半期に確保可能である。こうした理由から「概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2024年は、これまで未実施であった魚類を調査対象とし、10か所程度の小規模ため池において調査を実施する。ため池の生態系保全機能を適切に評価するには、当該生物にとって再生産を可能とする環境にあるかが極めて重要である。そのため、産卵期である晩春-初夏にかけて集中的に調査を実施する。あわせて、各ため池の環境要素および維持管理の現状について明らかにする。 最終年度に予定している目標、すなわち、生態系保全機能の保持に必要なため池の維持管理水準の解明、および、リソースの制約のもとで優先的に保全すべき小規模ため池を抽出するための計画手法の検討については、上記の魚類を対象とした調査が完了した後(2024年度下半期)に行い、本研究の最終成果を得たい。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)