腰痛リスクを考慮した農業用身体アシスト装置の設計条件の解明
Project/Area Number |
21K05865
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田中 正浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (30795133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 覚 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (50761920)
菊池 豊 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, グループ長 (90391507)
向 霄涵 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (80967787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 農作業 / 人間工学 / バイオメカニクス / アシストスーツ / 腰痛 / 農業労働 |
Outline of Research at the Start |
我が国の農業を支える高齢農家が腰痛などの健康上の理由で離農することなく、いつまでも健康に働ける社会づくりが必要です。近年、体に装着することで人間の姿勢や動作を補助するアシストスーツが農業現場でも使われるようになってきましたが、農作業を起因とする腰痛をどれほど予防できるかは明らかになっていません。 本研究では、3D人体モデルにアシストスーツの力や人体の許容限界値、時間要素などを組み合わせることにより、アシストスーツが持つ農作業での腰痛予防効果を定量的に明らかにします。 本研究により腰痛予防効果の高いアシスト方式が提案されることで、農家の方が抱えている腰痛問題の減少が期待されます。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体力学手法を用いることにより、農作業時にアシストスーツが持つ腰痛予防効果を定量的に明らかにし、農作業に適した腰痛予防アシスト方式を提案することである。 本年度の研究実施計画は、開発した農作業生体力学モデルによって一連の農作業においてアシストスーツがどの程度腰痛予防に寄与するか定量的に明らかにすることである。本年度の研究実績の概要は以下のとおり。 農作業生体力学モデルについては、昨年度開発した2次元モデルを改良し、一連の農作業動作における経時的な身体負担の変化を解析できる3次元モデルに発展した。アシストスーツが使用される代表的な農作業である重量物の持ち上げ、中腰、腕上げ、しゃがみの模擬作業を考案し、重量物の持ち上げ模擬作業における動作(採集コンテナを軽トラックと同じ高さの台に持ち上げる)をモーションキャプチャを用いて取得した。出荷台数が現在最も多い人工筋肉を用いたPassiveタイプのアシストスーツ(マッスルスーツEvery)の動的なアシスト力(動トルク)の特性を我々が開発してきた測定装置及び方法を用いて回転角度(θ)及び回転速度(ω)の式で表した。これらを改良したモデルに入力した。その結果、アシストスーツを使用した場合、腰痛リスクに関連する指標である椎間板圧縮力が使用しない場合と比較して有意に下がった。さらに、椎間板圧縮力の増加に繋がる体幹前傾角も同様に有意に下がった。椎間板圧縮力は、まっすぐ台の上にコンテナを持ち上げる動作で8%、体をひねりながら台の上にコンテナを持ち上げる動作で12%下がった。体幹前傾角は、それぞれ6°、7°下がった。 これらの結果より、アシストスーツが腰痛予防に寄与すると考えられる程度を定量的に示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究実施計画の目標であった、農作業生体力学モデルによる農作業におけるアシストスーツの腰痛予防に寄与する程度の定量化は計画通りに達成されている。さらに、本結果の応用性の検討について、他の腰痛リスクに関連する指標にも応用可能であるか文献調査を既に進めており、おおむね順調に進展していると考えられる。 改良した農作業生体力学モデルは3次元の動作まで解析することが可能となり、様々な農作業の状況における身体負担解析や農業用アシスト装置の設計支援ツールとしての利用に向けて、ゲームエンジン上での再構築に着手している。令和5年度の研究実施計画の目標である新たなアシスト方式の提案とその実証において、このツールを用いてアシスト方式を設計し、令和4年度と同様の流れで実証する予定。 本研究に応用している我々が開発してきた動的なアシスト力の測定装置及び方法は、「パワーアシストスーツの動的なアシスト力の直接的な測定方法の開発」として農業食料工学会誌に掲載された。令和4年度に考案した模擬作業の一部は農作業研究に解説として紹介する予定であり、現在、投稿手続きを行っている。令和4年度の研究成果はApplied Ergonomicsへの投稿する予定であり、現在、投稿手続きを行っている。令和3年度の研究成果は現在執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和5年度の研究実施計画の目標は新たなアシスト方式の提案とその実証である。 現在、令和4年度に改良した農作業生体力学モデルを様々な農作業の状況における身体負担解析や農業用アシスト装置の設計支援ツールとしての利用に向けて、ゲームエンジン上での再構築に着手している。 今後、このツールを用いて今年度に考案した代表的な農作業の模擬作業を対象にアシスト方式を設計し、令和4年度と同様の流れで実証する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)