Project/Area Number |
21K05876
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金尾 忠芳 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (40379813)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 無機硫黄化合物 / 異化的硫黄代謝 / 酵素化学 / 結晶構造解析 / 酵素反応機構 / 遺伝子組換え発現 / refoliding / 部位特異的変異導入 / 硫黄代謝 / refolding / 硫黄酸化細菌 / 好酸性細菌 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、硫黄(無機硫黄化合物)を好んで食べる硫黄酸化細菌が持っている「硫黄を消化する酵素」を生化学的・分子生物学的さらには構造生物学的観点から研究することで、これまでほとんど研究がなされていなかった無機硫黄化合物の酵素化学という新たな学問分野を確立することを目的として行う基礎研究である。 本研究により、鉄硫黄酸化細菌から無機硫黄化合物の一種、テトラチオン酸(H2S4O6)を加水分解する酵素を精製し遺伝子を同定、本酵素の結晶化にも成功した。その結果、本酵素が他に類を見ない新規な構造と反応メカニズムを有しており、その立体構造と加水分解メカニズムを酵素のX-線結晶構造解析により解明した。
|
Outline of Annual Research Achievements |
鉄硫黄酸化細菌の一種 Acidithiobacillus ferrooxidans を研究の対象とし、硫黄化合物を代謝する酵素であるテトラチオン酸ハイドロラーゼ(4THase)について詳細な研究を行った。この4THaseは、無機硫黄化合物の加水分解反応を触媒し一部の好酸性微生物にのみ確認されている極めてユニークな酵素である。当該研究では既に、本菌の4THase遺伝子(Af-tth)の同定、結晶化による立体構造を決定した。さらに本酵素の活性中心D325がテトラチオン酸の加水分解に関わる新規な反応メカニズムを解明した。R4年度はD325の近傍に位置する3つのメチオニン残基(M172, M238, M279)から成るMetクラスターが硫黄原子を捕捉している様子を観察結果から、これらをCysに置換し、補足した硫黄原子が反応生成物の何に由来するのかを確認する実験に着手した。現在はこの変異酵素の結晶化を行っている。一方で、Af-tth遺伝子がテトラチオン酸を生育基質とした場合に強く発現することから、この発現を担うプロモーターについても解析を行なった結果、Af-tthの転写開始点とプロモーター領域を同定し、これを利用した本菌の組換え遺伝子発現ベクターを構築した。接合伝達による大腸菌とのシャトルベクターで、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を本プロモーターの支配下においたベクタープラスミドをA. ferrooxidansに導入し、テトラチオン酸を生育基質とした組換え菌株は、薬剤耐性を持ち緑色蛍光を示した。これによりGFPのA. ferrooxidansを宿主とした組換え発現に成功した。さらにHis-tagコドンを導入したAf-tthを発現させるベクターを本菌に導入し、アフィニティカラムにより簡便に高純度で精製した組換えAf-Tth(x6H)は本来のAf-Tthと同等の活性を有していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究結果により、Af-Tthのユニークな活性に3つのメチオニン残基からなるMetクラスターにおいて、M279が特に重要であることが分かった。したがって、これをシステインに置換したAf-Tth M279C変異酵素を作成することで、基質の硫黄原子とシステインのチオール基との相互作用を観察することができる。これにより反応中間体の検出が可能になると考えられ、その反応メカニズムの解明に向けた重要な証拠を得ることが期待できる。 またA. ferrooxidansを宿主としたGFP組換え発現に成功したことを踏まえ、Af-tthの停止コドンの直前にHis-tagコドンを導入したAf-tth遺伝子を本菌で組換え発現させた。その結果、この遺伝子を導入した組換え型A. ferrooxidansからNi/Coアフィニティカラムにより簡便かつ高度に生成されたAf-Tthを獲得でき、その活性は本来のAf-Tthと同等であった。大腸菌組換え発現では生育pHの違いのために封入体でしか獲得できない本遺伝子産物を活性を持つ酵素として、さらにアフィニティタグが付与されていることで格段に簡便に分離・精製できることを証明した。本手法を確立できたことから、大腸菌封入体からの煩雑な酸性refolding処理を必要とせずに、直接A. ferrooxidansから本来の成熟化酵素を獲得できた。このことは部位特異的変異を導入したAf-Tth酵素の作成や、さらにアフィニティタグまで導入して発現させ、直接菌体抽出液から分離・回収が可能となる。加えてAf-Tthのみならず、機能未知の遺伝子産物を正常な状態で分離・回収できるので、これの機能解析にも応用することが期待できるため、本研究の目的における強力な手法(道具)を獲得したことになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で開発されたAf-tthプロモーターを利用し、A. ferrooxidansを宿主とした遺伝子導入と組換え発現手法は、本菌(A. ferrooxidans)に外来遺伝子を導入して新たな能力を付与するだけでなく、本菌の遺伝子に部位特異的変異を導入したり、アフィニティタグを付与した状態で、本来の菌体タンパク質(酵素)と同様の成熟化過程を経たものを検出あるいは獲得することを可能にした。これまでは大腸菌など異なる宿主でのA. ferrooxidans遺伝子の組換え発現であったため、生育環境のpHの違いなど様々な要因により封入体を形成するなど本来のタンパク質(酵素)として獲得することは困難であった。このため、大腸菌で得られた組換えAf-Tthは、酸性refolding処理により本来の立体構造を回復させ活性型酵素として獲得してきた。本方法が確立されたことで、部位特異的変異とアフィニティタグの同時導入で変異酵素を本来の立体構造を保ったまま、アフィニティカラムで簡便に高純度・高収率で獲得することが期待できる。さらに硫黄化合物で生育した際にその発現が大きく上昇する、硫黄代謝に関連すると推測される遺伝子にアフィニティタグを導入して組換え発現することで、その遺伝子産物を簡便に精製して獲得することができるため、実際に活性測定や結晶構造解析などから、その機能を予測・同定することを目指す。具体的には、現在Af-tth(AFE_0029)のすぐ下流に存在する遺伝子(AFE_0030)の機能解明を目指す。AFE_0030は、コードしているアミノ酸配列よりporin タンパク質と予測されているが、Af-tthと共発現することから、テトラチオン酸の異化的硫黄代謝に関わっている可能性が非常に高い。したがって、AFE_0030を本手法によって獲得し、その機能解明を行う予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)