Project/Area Number |
21K05881
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
西村 誠一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (70354090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米村 正一郎 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (20354128)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化二窒素 / 土壌水分 / 被覆硝酸肥料 / ポリフィルム被覆 / 硝化 / 脱窒 / ポリフィルム / 硝酸肥料 / 土壌中酸素濃度 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、硝化による一酸化二窒素(N2O)生成の無い硝酸系化学肥料の施用と、施肥土壌内への降雨水分の浸透を防ぐためのポリフィルム土壌被覆とを組み合わせた栽培を行うことによって、N2O生成が促進される条件を回避して、N2O排出を大幅に削減できる新たな栽培技術を開発・実証する。 土壌内環境と硝化・脱窒によるN2O生成との関係を、特に従来の研究では十分に解明されていなかった嫌気的条件の発達に着目した室内実験により明らかにする。その後、圃場での作物栽培・ガスフラックス測定試験を行い、慣行栽培と比較することにより、本栽培技術の有効性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、農研機構農業環境研究部門内の試験圃場においてニンジンの圃場栽培・ガスフラックス測定試験を行った。被覆尿素(CU)または被覆硝酸カルシウム(CC; 70日溶出タイプ)を施用し、各々にポリフィルム被覆を行った区(+M)および行わなかった区(-M)の計4種類の処理区を、各3反復で設けた。ニンジン栽培期間に密閉チャンバー法でガス採取をし、N2Oおよび一酸化窒素(NO)フラックスを測定した。 N2Oフラックスは施肥直後(8月7日)に最大値(321~442μg/m2/h)を示し、その後は急速に低下した。9月5日には直前の多量降雨に起因すると考えられる一時的な高いN2Oフラックス(57~188μg/m2/h)を示したが、その後は試験終了まで30μg/m2/h以下の低い値で推移した。表層土壌(0~12cm深)の含水率は、施肥・畝立て後9日目(8月13日)までは+M区(植穴内)で-M区と同等であったが、その後は一貫して+M区(植穴内)の方が-M区より高い値で推移した。 積算N2O排出量は、+M区で-M区より19%低い値であり、昨年度の試験の結果(+M区で-M区より93%高い値)とは異なる傾向であった。またCU区とCC区との比較では、両者でほぼ同じ値であった。(昨年度の試験では、CC区でCU区より28%低い値であった。)積算NO排出量は、CC区でCU区よりも、また+M区で-M区よりも低い値であり、昨年度の試験結果と概ね同様の傾向であった。(削減率:27~47%) ポリフィルム被覆土壌では、降雨時に畝内土壌への雨水の流入が抑制される一方で、土壌からの水分の蒸発が抑制される影響も大きく、土壌含水率の経時変化が通常の畑土壌とは大きく異なる。このことがN2Oの生成・排出に及ぼす影響は単純ではないことが、本研究でのこれまでの2年間の圃場試験により明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の2年目から行ってきた露地野菜の栽培・ガスフラックス測定試験について、順調に実施でき2年間のデータセットを得ることができた。 これまでの試験の結果では、条件によってはポリフィルム被覆によってN2O排出が増加する場合があるという、我々の当初の仮説とは異なるに含まれるものの、学術的に新規の知見が得られており、概ね順調に課題を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
圃場栽培・ガスフラックス測定試験について、引き続き次年度も実施する。ガスフラックスの年々変動に加えて作目による違いも想定されることから、次年度は作目を変えて(葉物野菜を予定)栽培試験を行う予定である。 室内土壌培養・通気法によるガスフラックス測定試験を実施する。ポリフィルム被覆および降雨により低酸素濃度条件におかれた土壌に着目して、通常肥料および硝酸肥料の施用によるN2O生成・排出の詳細を明らかにする。 これまでの試験結果を取りまとめて、ポリフィルム被覆と被覆硝酸肥料がN2O排出に及ぼす影響とその削減効果を総合的に明らかにする。
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