Project/Area Number |
21K05884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
星野 裕子 (高田裕子) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (40354104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 温室効果ガス / 一酸化二窒素 / 糸状菌脱窒 / 脱窒系遺伝子 / 農耕地 |
Outline of Research at the Start |
農耕地から微生物活動により発生する一酸化二窒素(N2O)は、強力な温室効果、オゾン層破壊の性質を有し、その削減を検討する上で、発生機構の解明が大きな課題である。農耕地の環境は非常に複雑で、多種多様な微生物が関わる複合生態系の中で、詳細なメカニズムは解明されていない。本研究課題では、作物残渣からの発生に焦点を絞り、未解明な部分の多い環境中の糸状菌の脱窒等窒素代謝機能に着目し、N2O発生に至る詳細な代謝プロセスを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
作物栽培後に圃場に放置される作物残渣は、重要な一酸化二窒素(N2O)発生源になりうる。特に、6-7月の梅雨時期に圃場に放置された残渣から高いN2O発生活性が見られている。N2O発生時期に採取した作物残渣から分離した糸状菌について、培養試験においてN2O発生活性が高く、この時期に作物残渣で優占する糸状菌を前科研費(15K07818)で得られている培養糸状菌グループから昨年度までに選抜した。ここでは、一つの圃場の1年間のジャガイモの栽培における様々な時期の作物残渣や土壌を含むサンプルについて、サンプルから培養を経ずに抽出したDNAを用い、糸状菌ITS領域を対象とした次世代シーケンスによるアンプリコン解析において増大、優占する菌でかつ培養試験でのN2O発生活性の高い菌群を選抜している。今年度は、そのFusarium属あるいはPenicillum属などを中心とした培養糸状菌群において、糸状菌の脱窒系遺伝子NirK、P450nor等について、報告のある複数のプライマーセットを用い増幅し、遺伝子配列の解析を行った。糸状菌種によって、脱窒系の遺伝子の配列は異なっていたが、同じITS領域配列を持つ糸状菌種においてもそれぞれいくつかのタイプの遺伝子配列を見出した。同じITS領域配列を持つ糸状菌種で、NirK及びP450norのタイプが異なったり、二つの遺伝子のタイプの組み合わせが異なる事例が見られた。さらに、別の年度のジャガイモ栽培圃場およびニンジン栽培圃場の作物残渣から分離培養した糸状菌グループについても検討したところ、上記のグループには含まれない糸状菌種でN2O発生活性の高い菌が見られたことから、これらについても脱窒系遺伝子の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、研究代表者が圃場での残渣からのN2O発生時期を含め2か月間の病休を取得したことから、圃場での実験は実施せず、すでに得られている分離菌の解析を集中して実施することとした。昨年度、培養菌の遺伝子発現解析のための糸状菌の選抜を実施したが、環境中から分離した糸状菌群について、同じITS領域配列であっても培養特性に違いのある菌株がみられた。これらの菌株については、脱窒遺伝子の配列にも違いがあった。そこで、少数の分離株を詳細に調べるよりも、解析対象の分離菌株の範囲を拡大し、異なる分離源から分離された菌株を含め幅広く脱窒糸状菌の、培養特性と脱窒系遺伝子配列の解析を実施した。脱窒糸状菌遺伝子型の基礎的な知見の蓄積に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、分離糸状菌に関する情報の集積は進められたが、環境サンプルの解析を実施できなかった。環境サンプルからのRNA抽出法については一昨年に確立できていることから、次年度は環境サンプルのRNA実験と、得られた分離糸状菌のデータを用いた解析を実施する予定である。
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