Project/Area Number |
21K05895
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
天野 朋子 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (60388585)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 出産時刻 / マウス / 生物時計 / 明暗サイクル / メラトニン / 環境の明度変化 / 出産のタイミング |
Outline of Research at the Start |
分娩は一日の特定の時刻に起こりやすい。このような生命現象は一日の中で繰り返す環境の変化(昼夜の明度の変化など)への反応であることが多く、我々はこれまでに一日の昼と夜(点灯時間と消灯時間)の長さを変えて妊娠マウスを飼育すると、分娩のタイミングが変わることを見出した。そこで本計画では、環境の明度の変化と分娩のタイミングをつなぐ物質(血中因子)を明らかにする。本課題の知見は、家畜の分娩を飼育者に都合のよい時間に集中させる技術の開発、精度向上とともに、ヒトでは全分娩件数の10%を占め、世界の新生児の死因のトップ(35%)である早産の原因解明や予防につながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
動物の分娩は特定の時刻(動物が安全な場所で休む時間:昼行性動物は夜間、夜行性動物は昼間)に起きやすく、分娩に際し捕食者から身を守るために獲得されたと考えられる。分娩のように一日のある時刻に起こる現象は、一過性で毎日起こらなくとも、昼夜の明度差のような日内の環境変化に反応して起こる可能性が高い。本研究では出産の時刻を決定する環境要因とそれに付随して起きる体内の機序を解明し、酪農・畜産農家で求められる動物の出産時刻の人為的制御法の開発につなげることを目的とした。 メラトニンは眼の光受容にて合成され、血中濃度に日内変動があり、ヒトやラットでは出産時刻の決定因と目されているが、それ以外の要因もあるかもしれない。本研究ではメラトニン合成酵素遺伝子(AANAT)の正常型(メラトニン合成可能)と変異型(メラトニン合成不全)の2つが整備されているCBA系統マウスにて、妊娠期間中に明暗条件を変更し、出産時刻を解析した。その結果、正常型では出産時刻が有意に後退したが、変異型では出産時刻に変化はなかった。以前我々は129SVとC57BL/6の合成系統マウス(AANAT変異)にて出産直前の明暗変更が出産時刻を変化させるとのデータを得ており、CBA系統のAANAT変異型でも明暗2処理区において出産時刻が異なり、それらの血清成分の比較から、出産時刻に関わるメラトニン以外の要因が抽出できると想定していた。しかしその検討は成立しなくなった。一方、出産時刻に差のあったCBA系統のAANAT正常型個体について、明暗条件と明暗変更条件では得られた新生仔の数には差はなく(3.3±0.4 vs 3.6±0.5匹)となり、体重にも差はなかった(1.2±0.1 vs 1.2±0.1g)。このことから、明暗条件の変更による出産時刻の変更は妊娠の維持や胎仔の健康への影響は少なく、実用に適することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は出産時刻を変化させるメラトニン以外の要因を探索することである。以前我々は、129SVとC57BL/6系統の合成系統マウス(AANAT変異のためメラトニン合成不能)にて出産直前の明暗条件の変更が出産時刻を変化させるとの知見を得た。そのため本検討でも、明暗条件によってCBA系統のAANAT変異個体でも出産時刻が異なり、さらに血清成分の比較から、出産時刻に関わるメラトニン以外の要因が抽出できると想定していた。しかし本検討では、CBA系統のAANAT変異個体にて、明暗条件の変更による出産時刻の変化は見られなかった。CBA系統はAANAT正常型と変異型の両方が整備されており、メラトニンの出産時刻への影響を勘案するために好都合であるため、系統の変更は難しい。また129SVとC57BL/6系統の合成系統は申請者が以前所属した国外の機関で作出されたもので、現在入手できない。一方、上述の「研究実績の概要」で述べた通り、メラトニンは抗酸化作用を持つことが知られるが、それ以外の機能は不明瞭であり、下流に子宮収縮作用を持つオキシトシンやプロスタグランジンの分泌を促進する伝達経路を持つと想定される。今後はこれらのメラトニンの下流にあり、協働する要因を「出産時刻に関わるメラトニン以外の要因」として探索する予定である。このように今後の研究の方向性を検討するために時間を要し、やや研究が滞った。そのため進捗状況として「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は出産時刻を変化させるメラトニン以外の要因を探索することである。メラトニンは抗酸化作用を持つことが知られるが、それ以外の機能は不明瞭であり、下流に子宮収縮作用を持つオキシトシンやプロスタグランジンの分泌を促進する伝達経路を持つと想定される。今後はこれらのメラトニンの下流にあり、協働する要因を「出産時刻に関わるメラトニン以外の要因」として探索する予定である。具体的には、CBA系統AANAT正常型個体を交配後2群に分け、明暗条件と明暗変更条件で飼育した後、両処理区とも3匹程度の個体から19日目(出産が起こる日)の早朝に採血し、血清成分を網羅的に解析・比較して違いがあるものを抽出する。
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