Project/Area Number |
21K05983
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42030:Animal life science-related
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
迫 圭輔 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (50786291)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | pH / PIP2 / 細胞膜 / ゼブラフィッシュ / 初期発生 / 細胞外pH / フォスファチジルイノシトール / イノシトールリン脂質 |
Outline of Research at the Start |
細胞の生理機能は、酸性度 (以下pH)、温度、酸素に代表される環境因子から影響を受ける。細胞は、生存に適さない環境からのストレスを回避するために、外環境を感知し適応するための様々な応答機構を獲得している。温度や酸素の変動に対する応答機構は広く明らかにされてきた一方、細胞が周囲のpHを感知・応答する機構の全貌は明らかでない。本研究では細胞膜を構成する脂質に着目して解析し、pH変動に伴い細胞が機能調節し、変化に適応できる仕組みを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞は、酸性度(以下pH)、温度、酸素に代表される様々な環境因子に対して、適切に応答することで、初めて生存が可能となる。しかし、特に細胞外のpH変化に対して、細胞がどのように応答しているのかはあまり理解されていない。申請者は、新たなpH応答機構として、細胞膜内層に局在し、様々な生理活性を調節する機能性脂質であるPhosphatidylinositol 4,5-bisphosphate (PIP2)が、pHに応じて内層から外層に移行すること、さらに網羅的探索を行った結果同定した膜タンパク質(以下X)がPIP2の外層移行に関与することも明らかとした。本年度はXを欠損するマウス、およびゼブラフィッシュの解析を行うことで、in vivoにおけるpH応答機構の生理的意義を明らかにする研究を実施した。 Xを欠損するマウスは、胎児および胎盤の発育不全、骨形成の異常、発生直後に呼吸不全による致死など、多くの表現型を示した。これはin vivoにおける細胞外のpH変化に対する応答が極めて重要な役割を果たしていることをはっきりと示している。またゼブラフィッシュを用いた実験でも同様に、Xを欠損するゼブラフィッシュ胚は、1ヶ月齢の稚魚に成長する過程で、発育不全や高い致死率といった、マウスと同じ表現型を示していた。この結果は、種を超えてXの機能、細胞外pHに対する応答機構が極めて重要であることを示唆している。今後、それぞれの表現型に関して、なぜそうなるのかを細胞レベル、分子レベルで明らかにすることで、細胞外pH応答機構の意義を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに研究が順調に進んでいる。細胞膜内層に局在している機能性脂質であるPIP2が、細胞外のpH変化に応じて外層に移行するメカニズムの生理的意義が、個体を用いた実験でin vivoレベルで明らかになりつつある。培養細胞を用いた実験では、使用した全ての細胞でXの強い発現が観察されるのに比較して、様々なpH条件下であっても、X欠損による表現型を見つけることが困難であった。しかしX欠損マウスは致死を含め様々な表現型を示すことから、体内で常に変動しているであろうpHを感知しながら、周囲の細胞と連携し機能することが、生体ホメオスタシスを維持することに必要であることが強く示唆された。本モデル動物を用いた解析で、当初の研究目的が十分達成できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の検討課題は、本年度見出した様々な表現型を、詳しく細胞レベル、分子レベルで解き明かしていくことにある。マウスについては、まず臓器、細胞特異的にXを欠損するマウスを作成することで、どの細胞におけるpH応答が大事なのかを明らかにする。またその細胞周囲で、どのくらいのpH変化が起きているのかを調べていく必要がある。さらにpHに応じて変化するPIP2の機能を、下流のエフェクター分子に着目して、その挙動や機能について調べていく。ゼブラフィッシュ胚については、体内のpH変化だけではなく、水生生物であることに着目して、周囲の水環境が持つpHに対する応答が如何に胚発生に大事なのかを明らかにする実験も行う。これらの実験を通じて、これまでに知られていないpH応答の生理的意義をさらに明らかにしていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)