Study on molecular mechanisms of the interplay between endoplasmic reticulum dynamics and metabolic reprogramming
Project/Area Number |
21K06067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 泰憲 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (30467659)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 小胞体 / Three-way junction / TMCC3 / 14-3-3 / 小胞体ストレス / atlastin / lunapark / ユビキチン-プロテアソーム系 / 代謝リプログラミング / リン酸化 / 膜変形タンパク質 / 膜挿入装置 |
Outline of Research at the Start |
小胞体は生命の恒常性維持に必須の細胞内小器官であり、網目状の膜形態を意図的に変化させるが、その分子機構と生理的意義は不明である。私どもは小胞体膜タンパク質TMCC3がp30に結合して小胞体の形態変化を誘導することを見いだした。細胞はストレスにさらされると代謝をリプログラムして恒常性を維持するが、p30はこの代謝リプログラミングに関わる分子であった。本研究ではこの独自の知見に基づき、TMCC3とp30をツールにして小胞体の形態変化を誘導する分子機構の全容を解明する。膜変形と代謝変動の機能関係を明らかにし、小胞体の形態変化を起点とする代謝リプログラミング経路の実体と形態変化の生理的意義を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
小胞体は網目状の膜形態をした細胞小器官であり、恒常性維持の中心的役割を担う。細胞はストレスにさらされると代謝をリプログラムして恒常性の維持を図る一方、小胞体の形態変化を誘導する。私どもは小胞体膜タンパク質TMCC3が小胞体の形態変化を誘導することを独自に見いだしている。本研究ではTMCC3をツールとして小胞体の形態変化を誘導する分子機構を明らかにし、小胞体の形態変化を起点とする未知の代謝リプログラミング経路の実体と形態変化の生理的意義の全容解明を目的とする。前年度までに、TMCC3の15番目のセリン残基がリン酸化されること、リン酸化されたTMCC3はシグナル伝達分子14-3-3γ(p30)と結合すること、14-3-3γの結合はTMCC3の小胞体three-way junctionへの局在を抑制することを明らかにしている。 本年度はTMCC3の性状解析を推進し、以下の知見を得た。U2OS細胞の内在性TMCC3をsiRNAノックダウンすると小胞体のシート構造が増大した。小胞体シートの増大はTMCC3のトランスフェクションにより回復したが、リン酸化されないTMCC3変異体では部分的にしか回復できなかった。したがって、リン酸化依存的な14-3-3γ結合によるTMCC3の局在抑制が小胞体の形態形成に必須の役割をしていることが明らかとなった。U2OS細胞に小胞体ストレスを誘導すると、TMCC3のタンパク質発現量が低下した。小胞体ストレスによる小胞体シートの増大はTMCC3と膜融合タンパク質atlastinの過剰発現により回復した。したがって、TMCC3によるatlastinの活性制御が小胞体ストレス応答に関与することが明らかとなった。TMCC3とは異なるatlastinの制御機構として、ユビキチンリガーゼlunaparkを介したユビキチン-プロテアソーム経路による分解を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TMCC3はthree-way junctionに局在し、atlastinの働きを促進することで小胞体の網目状の形態を発達させる。本年度は、リン酸化依存的な14-3-3γ結合によるTMCC3の局在抑制も意外なことに小胞体の網目状の形態形成に必須であることを見出した。これらのことから、通常時では、TMCC3はリン酸化状態の制御によりatlastinの活性を適度なレベルに保持し、適切な網目状の小胞体ネットワークを維持していると考えられた。14-3-3γはストレス応答を伝達するシグナル分子であることから、ストレス応答時のダイナミックな小胞体の形態変化は、TMCC3のリン酸化の亢進あるいは低下に起因している可能性がある。今後、ストレス応答時のTMCC3のリン酸化状態の制御機構を明らかにすることで小胞体の形態変化を誘導する分子機構を解明できると考えられる。また、TMCC3のタンパク質発現量の低下が小胞体ストレス応答時の小胞体の形態変化に関与していることを見出した。これらのことから、TMCC3は様々なストレスシグナルと小胞体の形態変化を連結するハブ分子として機能する可能性が考えられた。このように小胞体の膜形態変化とストレスシグナルに関わる新しい知見が得られたことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
内在性TMCC3の代わりに、TMCC3の15番目のセリンをアラニン置換することでリン酸化修飾を消失させたTMCC3変異体を発現するHEK293変異細胞を樹立する。HEK293の親細胞と作成した変異細胞にストレス負荷(低酸素、酸化ストレス)を与え、RNA、タンパク質、代謝物質、脂質を抽出し、次世代シーケンサーと質量分析装置により、多階層オミクスデータを取得する。トランスオミクス解析によりストレス適応における代謝ネットワーク変動を再構築し、TMCC3のリン酸化状態変化により直接変動を受ける代謝リプログラミング経路を同定する。代謝リプログラミングと小胞体膜との接点となる可能性がある小胞体膜タンパク質の候補を抽出する。ストレス負荷により代謝リプログラミングを誘導した細胞から小胞体画分を生化学的に単離し、候補タンパク質の活性(候補タンパク質が酵素であれば酵素活性、膜タンパク質挿入装置であれば膜挿入活性、輸送体であれば輸送活性など)を測定し、ストレス依存的に活性が変化するものを選別する。選別した小胞体膜タンパク質の組換えタンパク質を小胞体の人工膜再構成系に適用し、TMCC3による膜形態変化により活性が変化するものを同定する。 得られた結果を総合し、TMCC3による膜変形が少数の小胞体膜タンパク質の活性を変化させ、それが起点となって細胞全体の代謝ネットワーク変動を引き起こす機構、すなわち小胞体の形態変化による代謝リプログラミング機構と生理的意義の全容を解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)