ミトコンドリアストレスに応答した細胞骨格制御の分子機構解明
Project/Area Number |
21K06069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
谷村 進 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (90343342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 弘資 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (10313230)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ストレス応答 / ミトコンドリア / 細胞骨格 / 微小管 / アクチン / マイトファジー |
Outline of Research at the Start |
細胞のエネルギー産生を担うミトコンドリアは、分裂、融合、移動を繰り返しながらその機能を維持している。しかし、機能を維持できなくなったミトコンドリアはマイトファジーによって積極的に分解除去される。マイトファジーの制御にはオルガネラ間の連携が必要であるため、障害を受けたミトコンドリアはその障害の程度を感知してマイトファジーを制御するシグナルを細胞全体に伝達し、細胞の恒常性の維持を図っていると考えられる。本研究では、ミトコンドリアストレスを起点とするシグナルがどのように細胞骨格を制御し、それがどのようにマイトファジーを調節し、細胞全体のストレス応答につなげているかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアストレスに応答した微小管制御の分子機構:昨年度までの解析より、ミトコンドリアストレスに応答してミトコンドリアから細胞質へと放出される脱リン酸化酵素PGAM5が、微小管結合タンパク質であるMAP7と結合して脱リン酸化する可能性を見出した。それを踏まえて、PGAM5ノックアウト細胞を用いて解析を進めたところ、マイトファジーの過程においてはMAP7のリン酸化状態に大きな変動は認められなかった。その一方で、微小管構成分子であるチューブリンのアセチル化(微小管安定化の指標)がPGAM5に依存して促進されることが分かった。また、MAP7の発現を抑制するとチューブリンのアセチル化が低下することが明らかとなった。よって、PGAM5はMAP7の脱リン酸化を介してではなく、MAP7と結合することによってチューブリンのアセチル化状態に作用する可能性が示された。 ミトコンドリアストレスに応答したアクチンフィラメント制御の分子機構:細胞分画・免疫沈降法によってマイトファジーの過程でPGAM5がアクチン結合タンパク質Cortactinと結合することを明らかにした。また、CortactinのPGAM5による脱リン酸化部位を同定し、PGAM5ノックアウト細胞ではマイトファジーに伴うCortactinの脱リン酸化が低下することを明らかにした。よって、マイトファジーの過程においてPGAM5はCortactinの脱リン酸化を誘導する可能性が示された。 ミトコンドリアストレスに応答した細胞骨格の制御を介したオルガネラ調節機構:Cortactinの発現を抑制するとマイトファジー誘導に伴うリソソームの形態が変化(肥大化)することを明らかにした。 当該年度の解析を通して、ミトコンドリアストレスに応答した細胞骨格の制御機構の分子メカニズムの解明につながる重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は、ミトコンドリアストレスに応答した細胞骨格の制御が細胞全体のストレス応答にどのように働くかであるが、そのために研究計画を3つの項目(1)ミトコンドリアストレスに応答した微小管制御の分子機構、(2)ミトコンドリアストレスに応答したアクチンフィラメント制御の分子機構 、(3)ミトコンドリアストレスに応答した細胞骨格の制御を介したオルガネラ調節機構に分けて進めている。 (1)と(2)についてはマイトファジーの制御において、それぞれの細胞骨格の制御に関わる具体的な標的分子を特定すること、またCortactinについては脱リン酸化部位を同定することができた。(3)についてはリソソームの制御機構の解明につながる結果を得ることができた。 以上より、当該年度では具体的な分子機構解明に向けた重要な成果を得ることができたことから、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究成果を踏まえて、微小管に関してはチューブリンのアセチル化に焦点をあて、MAP7とチューブリンのアセチル化を制御する分子との関わりに着目しながら解析を進める。また、アクチンフィラメントについては、Cortactinのリン酸化状態による調節機構に焦点をあて、リン酸化部位変異体(非リン酸化変異体・リン酸化模倣変異体)を作製して解析を進める。また、PGAM5の多量体を形成との関連についても、その多量体形成変異体を用いながら解析を進める。これらの解析を通して、ミトコンドリアストレスに応答した細胞骨格制御機構の分子メカニズムを明らかにする。あわせて、オルガネラ調節についてはミトコンドリアとリソソームの形態、活性、細胞内局在について解析を進めることで、上記分子メカニズムを介したオルガネラ調節機構およびマイトファジー調節機構の解明につなげることを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)