ErbB4の部位特異的糖鎖解析による糖鎖機能の解明
Project/Area Number |
21K06083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 素子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00303941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10374191)
上原 康昭 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40882907)
長谷川 喜弘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90643180)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 糖鎖 / ErbB4 / 増殖因子受容体 / 質量分析 / ErbB / EGFR / Glycosylation / N-glycan |
Outline of Research at the Start |
本研究ではErbB4の部位特異的糖鎖構造解析を行い、糖鎖によるErbB4シグナル制御機構を明らかにする。 受容体の多くは糖鎖を持っており、糖鎖による機能制御を受けている。これまでにEGFRとErbB3の糖鎖解析を行い、特定の糖鎖構造が機能と関係している可能性について検討してきた。本研究でErbB4の糖鎖機能を明らかにし、ErbB受容体ファミリー全体の糖鎖機能メカニズムの解明をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
ErbBファミリーは、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4の4つの分子からなる増殖因子受容体ファミリーであり、いずれもがんの発症・進展に深く関与していると考えられている。特にEGFRやErbB2はがん治療のターゲット分子として臨床応用されているが、ErbB4の関連疾患はがんから精神疾患と幅広く、その機能についても未知の部分が多い。研究代表者はこれまでにEGFR、ErbB2、ErbB3の糖鎖解析を行い、糖鎖の機能を検討してきた。本研究では、ErbB4の部位特異的糖鎖構造解析を行い、糖鎖によるシグナル制御機構を検討した。令和4年度の研究では、以下の結果が得られた。 1)ErbB4の部位特異的糖鎖付加率および糖鎖構造:CHOK1細胞で発現させたヒトErbB4の細胞外ドメインを精製し、LC-ESI-MS/MSを用いて11か所の糖鎖付加ポテンシャル部位における糖鎖付加率と糖鎖構造を解析した。糖鎖付加率に関してはN146とN448の2か所は50%以下と低かったのに対し、他の部位は概ね高い付加率を示した。特にN113、N333はほぼ100%の糖鎖付加率だった。また、N113、N228、N523の3か所は高マンノース型糖鎖、それ以外の8か所は複合型糖鎖が付加することがわかった。 2)ErbB4の機能に重要な糖鎖の同定:CHOK1細胞を用いてErbBの野生型および糖鎖欠損変異体の安定発現細胞を樹立した。ヘレグリン刺激に対するシグナルを比較する予定であったが、タンパク質の発現量が非常に低く、シグナル検出量が一定しなかった。現在、その原因を検討している。 3)ErbB4細胞外ドメインの糖鎖欠損変異体の性質の評価: ErbB4の細胞外ドメインはEGFシグナルとヘレグリンシグナルの両方を抑制することを確認し、その糖鎖欠損変異体の性質を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ErbB4の部位特異的糖鎖付加率および糖鎖構造の解析:ErbB4細胞外ドメイン(sErbB4)にmyc-Hisタグを付加したものをCHOK1細胞で発現させ、カラムクロマトグラフィーにて精製した。LC-ESI-MS/MSを用いて、11か所の糖鎖付加部位における糖鎖付加率と糖鎖構造を解析した。糖鎖構造解析については当研究室の藤谷直樹助教が担当した。糖鎖付加率に関してはN146とN448の2か所は50%以下と低かったのに対し、他の部位は概ね高い付加率を示した。特にN113、N333はほぼ100%の糖鎖付加率だった。また、N113、N228、N523の3か所は高マンノース型糖鎖、それ以外の8か所は複合型糖鎖が付加することがわかった。 2)ErbB4の機能に重要な糖鎖の同定:CHOK1細胞を用いてErbB4糖鎖欠損変異体の安定発現細胞を樹立した。ヘレグリン刺激に対するシグナルを比較する予定であったが、タンパク質の発現量が非常に低く、シグナル検出量が一定しなかった。CHOK1細胞におけるタンパク質の発現量を規定する因子を1つ1つ検討している。 3)ErbB4細胞外ドメインの糖鎖欠損変異体の性質の評価:ErbB4の細胞外ドメインはシグナル抑制効果があることを確認した。今後、ErbB4の機能に重要な糖鎖を欠損した変異体を作製し、そのシグナル抑制作用と物性を調べる予定である。 ErbB4糖鎖欠損変異体のシグナル解析など、予定より遅れている項目もあるが、部位特異的糖鎖解析はほぼ完了しており、全体として研究計画自体は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ErbB4の部位特異的糖鎖付加率および糖鎖構造の解析:上記と同様の検討をHEK293細胞にて発現させたErbB4について行い、結果を比較する予定である。すなわち、糖鎖付加率の比較、糖鎖構造の比較を行い、それらを規定する因子について考察したいと考えている。 2)ErbB4の機能に重要な糖鎖の同定:ErbB4は他のErbBと比較して、発現量の多い安定発現細胞樹立が困難であることがわかった。CHOK1細胞におけるタンパク質の発現量を規定する因子(各種アミノ酸の濃度、血清量、その他)を1つ1つ検討し、安定発現細胞を樹立する。その上で、糖鎖欠損変異体の細胞表面の発現量、リガンド親和性、二量体形成能を検討し、シグナル制御メカニズムを明らかにする。 3)ErbB4細胞外ドメインの糖鎖欠損変異体の性質の評価:ErbB4の細胞外ドメインの大量調製に関しては問題はない。2)で同定された、ErbB4の機能に重要な糖鎖を欠損した変異体を調製し、野生型と比較検討する。物性解析としては、X線結晶構造解析、示差走査熱量測定を考えている。その他、リガンドとの相互作用、ErbB4細胞外ドメイン同士の相互作用、あるいはErbB4細胞外ドメインの構造変化のしやすさの指標を検討している。in vitroの実験が困難な場合、MDシミュレーションを行うことで、重要な糖鎖の欠損がどのような影響を及ぼすかの考察をしたいと考えている。現在、機器の整備など、その準備を行っている。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)
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[Journal Article] N-glycosylation regulates MET processing and signaling2022
Author(s)
Atsushi Saitou, Yoshihiro Hasegawa, Naoki Fujitani, Shigeru Ariki, Yasuaki Uehara, Ukichiro Hashimoto, Atsushi Saito, Koji Kuronuma, Kunio Matsumoto, Hirofumi Chiba, Motoko Takahashi
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Journal Title
Cancer Science
Volume: ー
Issue: 4
Pages: 1292-1304
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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